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元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第36話:聖女服が本体

堅苦しい聖女服を脱ぎ捨て、街娘風衣装に身を包んだ俺はウキウキと市場に向かった。


「ステラさんの、そんなニコニコされたお顔初めてみました。とても可愛いです」

惺がそんなことを言い出した。


「え、あ、ありがとう?」

元オヤジとはいえ、不意打ちで褒められたりすると対応に困ったりする。


それに、記憶がオヤジから継続しているとはいえ、15年も女の子をしていると、どうにも身体に意識が引っ張られることもある。

不思議だね。

結婚とか子供とか考えられないけど、子供とか生んだら俺が消えそうで魔神や魔王より怖いよ。


「あ、あ、あ、ステラちゃん早いよ待って!」

煌が慌ててついてくる。

良くわからんが、俺は自然と早足になっていた。


***


街の中央に大きな広場があり、そこには様々な屋台が軒を連ねていて、人で賑わっていた。


「最近のハイライト王国ってどうですか?」

俺は屋台で山に積まれた林檎っぽいものを片手に取って、店主に聞いてみる。

「どうって何が?」

(ふむん)

「物の値段とか、商品の数とかですよー」

「んー」

店主は目を細めて俺を眺める。

「どこの大店の娘さんかしらないけど、情報はただじゃないよ」

(ぐぅ…)

「林檎っぽいもの20個下さい」

「そうだな、値段は変わらないらしいが、ここ数日は物が減った気がするって話だよ」

「うんうん」

「はい、林檎っぽいもの」

(あれ?)

「林檎っぽいもの20個分はもう話したよ」

(くっ、世知辛い)


「ステラちゃん、林檎っぽいものじゃこんなものだと思うよ」

悔しそうにする俺に、煌が言葉をかけてくれる…

「なんか、聖女でないステラさんって新鮮です」

惺がなんか赤いんだが…

「なんかイキナリ表情が豊かになった気がするよね」

(なんだろう、聖女服が俺を高貴に見せているだけだとか言われてる気がする…その通りだけど)


「ステラちゃん。気を取り直して、冒険者ギルドへ行こうか」


「そうですね」


リアナがラフィールに向かって、折り返して今日で大体一週間。


物が少なくなったのは、流通に問題が出ていると考えるべきだろう。


逆に、ラフィール側で買われて行くものが知りたい…


冒険者ギルドは街の中心ではなく、街の入口近くにあった。

この街では、比較的大きい建物で二階建てだ。

中に入ると、一斉に視線が集まる。


ヒューーー


戦士風の男たちが口笛を鳴らす。

(テ、テンプレだ。やだ、楽しい)

「ステラさん何ウキウキしてるんですか?」

(…)


「何かお困りですか?」

俺はカウンターに向かうと金髪三つ編み眼鏡っ娘のギルド職員が声をかけてくれた。


「すみません、ハイライト王国の情勢をギルドでは何か掴まれていないでしょうか」

俺は大聖女のプラチナ・カードを提示して小声で聞いてみる。

眼鏡っ娘は、カードを手にすると矯めつ眇めつかざしている。

(?)

「あのこれなんですか?」

「え?これ知りませんか?」

「教会発行の聖女の印に似ていますが…こんな色しりませんよ?」

「…教会発行の大聖女の印ですよ?」

「いままで見たことないですよ」

(それは世界に一枚しかないから…)

「それに聖女服着てないのがおかしいです。」

(何その聖女の本体が聖女服のような言い方…)

「身分詐称、印の偽造は重罪ですよ」

眼鏡っ娘が、おどろおどろしく両手を上げて俺に迫ってくる。

「ヒッ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。

彼女は本当に大聖女ステラフィールその人だ」

煌が見かねて助けに入ってくれる。

「貴方はなんですか?

重犯罪者を庇い立てすれば貴方も同罪ですよ」

「僕は、連邦の勇者だ、ほらこれ!」

「勇者の印なんて私、見たことないですよ」

(だめだ、この人単に勉強不足なだけだ。この人相手じゃ、水戸の御老公の印籠すら役に立たない…)


汗が滴り落ちる。


「冒険者のみなさん協力して下さーい。

この人たちを捕まえて下さーい」

(ななな、なんていうことを…)


強面の冒険者が立ち上がる。

俺たちを逃がすまいと囲い込み、魔法使いが拘束の呪文を唱え始める。

「ちょっと、待ってください!

嘘なんかついてません!

もっと偉い人か、勉強してる人を連れてきて下さいーーー」


***


「ステラ…貴方、今日は何してたのよ…」

マリアの言葉である。


あの後、ギルド長の前に引き出されたことで疑いが晴れた。


当然、眼鏡っ娘はギルド長とともに平謝りしてくれたが…


果たしてこの騒ぎで、聖女巡礼作戦が通じるか疑問が残る状態になってしまった…


「ごめんなさい、今日は浮かれてました…」

「ステラさん、何時も凛としていて、格好いいけど、今日はすごく可愛かったんですよ」

(惺それはフォローじゃないよ…)


「ギルドから、ハイライト王国の情勢を頂けることになったのは幸いでした」

マリアが頭を振りながら、それだけ言って、溜息をついた。

(今ギルドでは情報を集め、精査してくれている)


「貴女は10歳から聖女ですものね…」

「その前は私付きの女官見習いでした」

シャルが俺を突っつく。

「12歳で大聖女様ですよね。浮かれても仕方ないかもしれません」

エテルナが同情してくれる。

「取り敢えず、ステラはこの旅の間は聖女服以外を着ない、それで許します」

「まるで、聖女服が本体みたいですね」

紫が呟いた。


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

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