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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第098話 システィーナ王女の居場所

「なかなか、見つからないわね…」


 マルティナがソファーの背もたれにぐったりと身体を預ける。


「そうね、私たちは探偵ではない素人だし、また一日目ですからそんな簡単には見つからないわよ」


「でも、生徒が姿を消しているのよ? 学園側にも問題にならないのかしら?」


 マルティナは首だけこちらに向ける。


「それを言ったらマルティナ、貴方自身が転生する前に寝込んでいた時は、学園が隠蔽していて全く騒ぎにならなかったわ」


「へっ? そうなの? ちょっと待って、じゃあもしかしたら、今回の状況も学園側が隠蔽しているんじゃないの?」


「確かに言われてみればそうよね、シス王女もアレン皇子も権力者だから学園側に働きかけて何かを隠蔽しているかも…」


 私は何か手立てはないかと考える。


「なら学園の私たちの協力者にお願いするのがいいんじゃないの?」


「学園の私たちの協力者?」


 何故だかマルティナがニタリと笑う。


「もう、レイチェルったらとぼけちゃって、ディーバ先生の事よ」


「あぁ、ディーバ先生ね、確かに私たちに協力してくれるかも、以前もアレン皇子の事を相談した時に、アレン皇子たちの素行の悪さについて激怒していたからね」


 私がそう説明すると、マルティナはにやけ面から目を丸くする。


「へぇ~あの冷静沈着なディーバ先生が激怒するんだ…」


「私も最初は少し驚いたんだけどね」


 そう言えば、家庭教師のセクレタさんも似たような怒り方をしていた。やる気のある者や責任感の強いものは、大失敗しても怒る事はないが、やる気のない物や責任感のない物には烈火の如く怒りを露わにした。なので、歴史の授業では、歴史上の人物について、セクレタさんが自身の怒りを交えて、教えてくれた。そのお陰で私もセクレタさんと同じような人物が嫌いになったのである。


「じゃあ、兎に角レイチェルがディーバ先生の所に行って事情を聞いてきてよ」


「あれ? マルティナは一緒に来ないの?」


 いつも連れ立って行動するのに、今回に限って一人で行くように進めてくる。


「いや、ほら、私はレイチェルとディーバ先生を二人きりにしてあげようかなって…」


 そう言って、マルティナは再びにやりと笑う。


「あぁ、そう言う事ね、でも、私とディーバ先生とはなんでもないのよ」


 ただでさえ、今はややこしい状況なのに、更にややこしい事にはしたくはない。


「わかったわ、そう言う事にしておいてあげるわ」


 ちょっとマルティナの物言いにイラっとしたが、言い返しても更に疑惑を深める事になりそうなので、私は部屋を出てディーバ先生の事務室に向かおうとする。


「じゃあ、マルティナ、エマ、留守番を頼むわね」


「はい、レイチェル様、いってらっしゃいませ」


「レイチェル、いってらっしゃい~」


 私は二人に見送りの言葉を受けて部屋を後にする。



 そして、いつもの先生の事務室の前まで来ると、ちょうど先生の事務室からイニミークさんが出てきたところであった。


「やぁ、君は確かレイチェル君だったね」


 彼は片手を挙げて挨拶してくる。


「これはご無沙汰しております、イニミーク様」


 私は一礼して答える。


「私の名前を覚えていてくれたようだね、君もディーバに用事かい?」


「はい、ディーバ先生は居られすか?」


「あぁ、いるよ。君が来るのを待っているようだ」


「先生が私が来るのを待っていたのですか?」


 私は首をかしげる。私は先生に待たれるような事はしていないはずであるが…


「まぁ、中に入って見ると分かるよ、では私は先に失礼するね」


 そいうして、イニミークさんは立ち去り、私はその背中を見送ってから扉をノックする。


「なんだ、イニミーク、忘れ物か?」


「いえ、レイチェルです。ディーバ先生」


 私がそう答えると暫しの沈黙がある。


「…失礼した、入り給え」


 中に入ると、ソファーの所で少しムスッとした先生が座っている。なんで機嫌が悪いのであろう? イニミークさんと何か言い合いでもしたのであろうか…


「ようやく来たか、レイチェル君」


 あれ?どうやら機嫌が悪い原因は私のようである。私は何か先生の気分を害する事をしたのであろうか?


「はい、参りましたが…何故、先生は怒っていらっしゃるのですか?」


 私はそう答えながら、先生の前のソファーに腰を降ろす。


「君の実家で行われる転移魔法陣の設置工事の日時の事だ」


「あっ」


 私は思わず声が漏れる。


「その様子だと忘れていたようだな…私は早急にと言ったはずだが?」


 ディーバ先生の眉間に皺が寄る。


「すみません、報告を忘れていました…でも、大丈夫です。施工日時はまだ先ですから」


 私がそう答えると、眉間の皺が少し開く。


「いつだ」


「えっと、5日後の土曜日ですね」


 私がそう答えると、先生は懐から手帳を取り出して、スケジュールを確認する。


「うむ、大丈夫だな。万が一に備えて土日は開けてある」


「では、土曜日と日曜日、どちらにしますか?」


「そうだな、土曜の朝から出発して一泊させてもらおうか」


「えっ? 一泊なさるのですか?」


 私はディーバ先生の言葉に目を丸くする。


「予定通りに工事が開始されない場合もあるだろう、念のために余裕を持って一泊させてもらいたい、ダメか?」


「いいえ、ダメではありませんが、実家の方が公爵家の方を迎え入れる準備ができるかどうかが…」


「それは、君が報告を忘れて準備期間が短くなった為であろう。それに私は公爵家の人間と言えど所詮、直系ではない人間だ。気を遣わなくてよい」


 私が報告が遅れた事を持ち出されると反論しずらい…ここは先生の言い分を丸のみしないといけないだろう。


「分かりました、早急に実家に連絡を入れておきます」


「今度は忘れないように」


 先生に釘をされる。


「はい…わかりました」


「では、退出してよいぞ」


「少しお待ちください、私の方からも先生にお伺いしたい事があるんです」


 私は事務机に戻ろうとする先生を言葉で引き留める。


「なんだ?」


「その…最近、アレン皇子とシスティーナ王女の姿を学園で見かけないのですが、ディーバ先生は何かご存じじゃありませんか?」


 私のこの言葉を聞くと先生は表情を変えてソファーに座りなおす。


「それは本当か?」


「はい、本当です。ここ2・3日の間、アレン皇子達やシスティーナ王女の姿をお見かけしません」


「私の授業だけかと思っていたが、他の授業にも出席していなかったのか…」


 先生も自分の授業には姿を見せていないのは気付いていたようであるが、他の授業まで出席していないとは知らなかったようだ。


「では、学園側はマルティナの時の様に隠蔽している訳ではないのですね?」


「あぁ、あの時は私個人の判断で行っただけだ、システィーナ王女の時は流石に学園側の判断を仰いだがな。それにまだ2・3日という事は学園側も問題として把握はしていないだろう」


 私たちも知らない、学園側も知らないとなると結構マズいのではないかと思う。


「アレン皇子たちは通学しているので、家に引き籠っている可能性がありますが、システィーナ王女は留学生なので自宅からの通学ではありませんよね? 先生はシスティーナ王女の滞在場所はご存じですか?」


「システィーナ王女なら、海外留学生向けの屋敷があるはずだが…」


「その場所を教えてもらえますか?」


 先生は私の言葉に少し考え込む。


「分かった、教えよう。しかし、あまり問題を起こすなよ」


 そうして、先生からシス王女の滞在先を教えてもらうのだが、そこはマルティナが住んでいる上級貴族向けの寄宿舎の近くであった。




連絡先 ツイッター にわとりぶらま @silky_ukokkei


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同一世界観の作品

異世界転生100(セクレタさんが出てくる話)

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はらつい・孕ませましたがなにか?(上泉信綱が出てくる話)

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もご愛読頂ければ幸いです。

※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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