トンちゃんとミュラー
すこし戦うのが、楽しくなってきていた、自分の身を守るためだとしても生命をうばうことは良いことではない、慎重にしなければ、と、自分をたしなめる、魔物といえど人に害がなければ、倒したりする必要はないはずだ。
おそってくる魔物を、次々と倒していくと、人の声が聞こえた。
声のした方に行くと扉がありその先から、まだ声が聞こえている、扉を開け先に進む、外に出たような感覚になる、大きい屋敷のベランダのようなところに出た、いたる所がボロボロで崩た所も。
声は下の一階から聞こえる、声に焦りを感じる。
危険かもしれないので慎重にのぞきこむ。
西洋の騎士のような人たちが1メートル以上あるクモの魔物と戦っている。
一匹対4人なのにクモを倒せないでいる。
もう1人クモの糸らしきものにからまって動けない人がいる。
「くそっ」
「ジャイアントスパイダーの足に剣が弾かれてしまう」
「奴の糸も厄介だ、からまったらそう簡単には抜けだせない」
「このままモタモタしていては他の魔物がやって来るかもしれない…… 仕方がない、ミュラーには悪いがこのままでは全滅しかねない」
「全員この場から退却する、いくぞ!」
その言葉で動ける4人は、走り去っていく、動けない1人を残して。
「まっ、待ってくれ、見捨てないでくれー」
クモの糸で動けない1人が叫んでいる、だが仲間の4人は、ふり返りもせずに走っていく。
スパイダージャイアントが糸で動けなくなっている人に近づいていく。
「うわっ、くるなっ、くるなー」
動けない人が、もがきながらひっしに叫んでいる。
クモは動きをやめない。
このままでは、あの人クモの餌食になってしまう。
クモの足が邪魔にならなければなんとかなるかもしれない。
怖い、が、助けられるかもしれない、やってみなければ。
スケルトンが持っていた剣を手に、下りられる場所をさがす。
突然足下が崩れ、バランスを崩し自分も落ちてしまう。
真下にジャイアントスパイダーが来ていた、まだこちらに気づいていない、剣をクモにむける、なんとかクモの背に剣を突き立てる事が出来たがそのはずみで、ユキの体が地面にころがる。
トンちゃん(鎧)のおかげでか、かすり傷1つ、ついていない、クモの方を見てみると動かなくなっていた、倒せたようだ。
立ち上がり、クモの糸につかまっている人のところに行く。
「大丈夫ですか」
「助けてくれたのか、おまえは一体…… 」
「何でもいいが、早くこの糸を切ってくれ」
声が大きい、まあ、危機一髪だったので興奮しているんだろう。
クモから引き抜いた剣で糸を切ってみるが、糸がベタベタしていて切りにくい。
「助かった礼を言う、それであなたは冒険者か?」
(冒険者、異世界ものにつきものの)
1人でこんな所に居るのは不審がられるかな? こっちもここがどこかわからないし、助けてもらいたいんだけど、異世界から来たなんて言えないし、(信じてもらえないだろうし) とりあえず話をあわせていろいろ情報を聞きだしてから考えよう。
「私は冒険者ではありません、たまたま、ぐうぜん立ち会っただけなんですが」
「こんなダンジョンの中で、冒険者でもないのにぐうぜん立ち会う?」
「はい、そうなんですが、あなたの方こそ、こんな所で何をしていたんですか? 他の人達は逃げていったようですが」
「女だったのか、よくジャイアントスパイダーを倒せたな」
質問の答えが返ってこない。
しかも女って、全身鎧だからわからなかったのかな? 声で判断したようだ。
兜のシールドを上げる。
「オンナ、オトコは関係ないと思いますよ、行動する勇気が、あるかないかじゃないですか、(まあ、足下が崩れ落ちて結果オーライなところがあるんだけど)それで去っていった人たちもふくめて、皆さんは騎士のようですが、何をなさっていたんですか」
「そうだな、その前にあらためて礼を言わせてくれ、助かった、ありがとう、私の名前は、ゲンツ・ミュラー、ミュラーと呼んでくれ、助けてもらっていて申し訳ないが、ここにいた理由はおしえられない、本当に申し訳ない」
どうしても知りたいわけでもないので、それ以上は聞かない事にする。
「そうですか、私の名前はユキ、現在まいご中です」
「は? まいご、まいごなのか」
「地上に出ようと迷っていたところで、クモとミュラーさんに出会いました」
それからしばらくは、ミュラーさんからいろいろ情報を聞きだした、ミュラーさんの歳は30歳で、侯爵に雇われている騎士だそうだ、そしてダンジョンの出口だが、上官についてきただけなので、出口への道はおぼえていないそうだ。
役に立たない、ダラダラ歩いてたんだろうな。
それとなくこの世界のことも聞く、今いるここはカノコール王国で、大陸の最も東に位置しているそうだが、今この国は大変な事態になっているらしい。
北の国ブルガンド帝国が周辺諸国を制圧していき、このカノコール王国にも魔物の大群をひきつれ侵攻して来ているそうだ。
現在、要塞都市ダウリンに迫っていて、あと1週間ほどでやってくるそうで、ダウリンを王国はまるはだか、王都が目と鼻の先になってしまうとの事で、現在ダウリンに兵を集中させて、迎え撃つ準備をしているとの事。
大変なときに来てしまった様だ。
話しが大きくなりすぎたので、いったん話をやめ2人で地上への出口を探すことにした。
熱が出て体調不良になってしまいました。




