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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第一章 幼少期
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魔法を学ぶ

「吾輩、魔法学ぶってよ」


 おっといけない、同じセリフを二度言ってしまった。独り言を言うだけならともかく、二度も同じ独り言を言うなんて自分でもびっくりだ。というか聞く人が聞けばこいつ頭おかしいと思われること間違いなしだ。だが、それくらい長かったのだ。なんせ、二年以上も待ったのだ。これまでずっと毎日瞑想を欠かさずにしてきたし、魔法のことを知りたいのを我慢してきた。本を読んでいろいろな知識を収集していると、時々魔法の本が混ざっていることがあって、読みたくなる気持ちを抑えるのが大変だった。

 姉ちゃんは五歳から剣や魔法の修業を始めていた。姉ちゃんは俺の三つ上なので、約一年前から修業を始めていたことになる。一年前から始めていたのだ。魔法入門に出てくるような、本当に簡単で少し練習すればだれでも使えるような魔法くらいなら使えるようになる。


 そして、母さん曰く俺は魔法な才能があり、魔力量もこの年にしてはかなり持っているほうだ。姉ちゃんはどちらかというと魔法よりも剣のほうが得意なようで、一応魔法の練習はしているが、修業中心はあくまで剣だ。

 そんな姉ちゃんですら使える魔法なのだ。俺は魔法の才能と魔力量があり、なおかつ二年以上前からずっと瞑想で魔力操作を練習して、魔力量の増大と魔力コントロールを鍛えてきたのだ。

 正直姉ちゃんが使っていた魔法は、見ただけでできるような感覚がある。これは錯覚ではなく、まぎれもなく事実であると思う。しかし、ここで魔法を使うわけにもいかない。使いたい気持ちでいっぱいだが、ここで我慢しなければもっと我慢しなくてはならなくなる。


 そして俺は、魔法を使てみたい、どんな魔法があるのか知りたい、といった欲求を何とか二年間抑え込んで、今日この日を迎えた。このことを考えると、あのようなテンションになるのもある意味当然といっても過言ではないだろう。


「ついにこの日が来たわね。喜びなさいウォル、今からあなたに魔法を教えるわ。正直私はあなたが約束を破るもんだと思ってたわ。でも、少なくとも私が知る限りでは約束を守ってくれたわ。このことは素直に称賛するわ。もし本当は約束を破っていたとしても胸を張りなさい。あなたはこの爆炎の魔女の目をかいくぐったのよ。そして約束を守りきれたならもっと胸を張りなさい。あなたは誠実で素晴らしい子よ。どちらにしてもさすが私の息子ね」


 母さんの言っていたことは大いにわかるが、最後だけは納得できない。もし俺が前者なら納得だが、今回俺は後者である、確実に母さんに似たわけではないだろう。


「ちょっとウォル。何か言いたいことがあるのかしら?」


「いや別に」


 相変わらずこういう時の勘の鋭さは一級品である。


「そうね。あなたは魔法とは何かわかる?」


 魔法とは何か?ずいぶん抽象的な質問だなあ。


「魔法っていうのは魔力を使っていろいろやることじゃないの?」


「そうね。ずいぶん大雑把だけどひとまずはそれでいいわ」


 えっ!そんな説明でいいの?それくらいならだれでもそういいそうだけど。


「確かに専門家とかはいろいろ、あーでもない、こーでもないとか言い合っているけど、私たちが使う分にはそんな感じの認識で十分よ」


 つまりこういうことか?普段体を動かしているのは酸素とか栄養素だったり、筋肉の動きや骨の動き、呼吸だったり、臓器の働きなど、様々な要素が絡み合っていて、体の中では同時進行で消化とかなんとかいろいろなことが行われているが、そこまで細かく気にしないし、そういった行為は無意識に行われている。それと同じで、魔力は自然にというか、徳の細かく原理だとか考えずに、一番使いやすい形で使えということかな?

 解釈は微妙に違うかもしれないけど、要するに深く原理だとかなんとか考えずに、自分が一番やりやすい方法で魔力を使い、魔法を発生させろということかな?


「私の言うことを理解できたかはわからないけど、とりあえず難しく考えないことよ。考えるのはとても大切なことだけど、考えすぎちゃうと逆にマイナスになるってことよ」


「わかったよーな、そうでないような。とりあえず思う通りやってみるよ」


「ええ。それでいいわ」


「さて、私はあなたに対して魔法を勉強することを禁じたわ。だからこれから魔法について簡単に教えてあげる。魔法には属性があるわ。火・水・風・土などが主な属性ではあるんだけど、これ以外の属性もたくさんあるし、この属性を使えない人も普通にいるわ。要は自分が何の属性が得意で何の属性が苦手か、何の属性が使えないのかはやってみないとわからないわ。それに、一つの属性の中でも特に得意な魔法とかもあるから、とにかくいろんな魔法を使うことが大事よ」


 なるほど。属性が複数あってどの属性のどの魔法が得意かは使ってみなければわからないわけだ。つまりいろんな魔法にトライすべしということだな。


「それとさっきも言ったけど魔法というのは魔力を使って色々することよ。当然オリジナル魔法も作れるわ。というかすでにある魔法も誰かが昔に作った魔法なんだけどね」


 それもそうだ。先人たちが魔法を作っているのに、俺たちに作れないということはないだろう。まあ、すでにたくさんの魔法が作られているだろうから新しい魔法なんてほとんど頭打ちの可能性が高いがな。


「魔法にはその効果や難しさによって階級が存在しているわ。具体的には下から初級・中級・上級・将級(しょうきゅう)聖級(せいきゅう)帝級(ていきゅう)霊級(れいきゅう)神級(じんきゅう)創世級(そうせいきゅう)よ。そして・・・・」


 母さんの説明によると、初級魔法は小さな光をともしたり、前世でいうライターくらいの火をともしたり、コップ一杯に水を入れたりするのに使われ、使い方次第では確かに敵を傷つけられるが、それができる魔法は少なく、ほとんどの魔法が足止めや陽動にさえ使えないことから、生活には使えても戦闘やほかのことにはほとんど使えない魔法ということで、別名生活魔法とも呼ばれている。


 中級魔法は戦闘にもちゃんと使える魔法であり、大抵冒険者などは練習として、もしくは水などの野営の時に役立ちそうな魔法として初級魔法をとる以外は、この中級魔法をとっている。中級魔法は戦いを生業とするものならほぼ百パーセント覚えているというくらいみんな使っている。


 上級魔法からは使える人の数が一気に減っていき、だんだん得意な属性しか上の階級で使えなくなっていく。実際神級や創世級などは本当にあるのかどうかすらも怪しい神話の物語である。

 ちなみにこの世界にはもちろん教会いくつもあるし、実際に神なのかどうかはよくわからないが、それっぽい奴がいたとかいう話もある。前世だったら何言ってるんだ?とか思いそうだが、この世界には魔法なんてものが存在してるんだ。もしかしたらそれっぽいのがいるのかもしれない。


 魔法をまとめるとこんな感じだ。



 初級魔法・・・別名、生活魔法。よっぽどじゃない限り誰でも使える。



 中級魔法・・・戦闘用魔法の入門。近接戦闘に優れた戦士じゃない限り、使えないとまともに戦            うことは難しい。Dランク以下くらい


 上級魔法・・・そこそこ強い。宮廷魔導士団に入る最低ラインで魔法の才能あり。Cランクくらい



 将級魔法・・・一流の魔導士。Bランクくらい



 聖級魔法・・・大天才。Aランクくらい



 帝級魔法・・・人外。Sランクくらい



 霊級魔法・・・地上最強。Sランクとは隔絶



 神級魔法・・・神話のなか。ほんとかわからない話まである。



 創世級魔法・・・この世で最強の魔法らしいが、確認されてはいない。


 こんな感じのようだ。といっても後ろのランクはあくまで目安である。もしも同じDランクでも、魔法が得意なものと苦手なものでは結果が違うからだ。まあ神級魔法と創世級魔法はあるとはされているが、歴史上それを使えたものは、少なくとも公式には確認されていないようである。よってこれらの魔法を使えるものは、大昔に存在していたか力を隠していたかのどちらかだろう。


 ちなみに母さんは将級魔法を問題なく使えるようで、爆発系統であったり火の魔法であったりとかなら、もう少しで聖級に届くかもしれないくらいらしい。年を経て技術が向上するのは当然だが、魔力も修行によって微量だが上がっているらしい。

 魔法使いは基本的に生涯現役らしく、ジジババでも、いや、ジジババのほうが魔法に関しては上なことが多い。現に、この国最強は爺の魔導士だ。


 基本的には得意な魔法が最も高い階級で扱え、それ以外はそれ以下でしか使えない。なので、大抵の魔法使いは自分の得意な魔法を重点的に鍛える。そして、得意な魔法だけでは弱点も多くなるので、それを補うための魔法を練習したり、階級は低いがいろんな魔法を使えるようにして対応力を上げるかしている。


 母さんの場合は得意な魔法をもうすぐ聖級までいくか?といわれるくらい鍛えて、そのほかの魔法は万遍なく覚えたらしい。もっとも、回復魔法だけは優先的に覚えていたようだが。これは父さんと二人だけのパーティーだったことも影響している。父さんは魔法があまり得意ではないので、使えた魔法は中級魔法がいくつか使えて、上級魔法は身体強化魔法しか使えなかった。

 二人の戦いは、後方にいる母さんが前衛の父さんに強化魔法を幾つかかけて、父さんが自分で自分にも身体強化魔法をかけて戦い、その後ろから母さんが魔法で攻撃するものである。父さんは身体強化魔法のほかには、中級の攻撃魔法と防御魔法しか戦闘で使えるものがなかったので、回復薬などはあるが、万が一のために母さんは回復魔法を優先的に覚えなければならなかったのである。


 それならほかにもメンバーを入れてみればよかったのにと思うのだが、二人は最初のほうから恋人同士であり、なかなかその中に入っていこうという冒険者はいなかったようである。母さんと父さんはなかなかに美形出ることもあるんだろう。まあ、気性の荒い母さんが怖くて入ろうと思ってもはいれなかった者も何人かいるかもしれないが。


「ねえウォル、なんか失礼なこと考えてない?」


 もう突っ込まない。これが常識だと受け入れよう。


 そういえば疑問に思ったことがあったんだった。


「ねえ母さん。もしオリジナル魔法を作れたとして、それが何級魔法かっていうのはどうやったらわかるの?」


 これが疑問だ。すでにある魔法はわかるのだが、新しくできた魔法の場合はどうなのか、どうやって判別してるのか。そもそも誰が何級とか決めているのかがわからない。


「そうねえ。なんか感覚でわかるらしいわ。私は新しい魔法を自分で作ったことがないからよくわからないけど」


 なんか釈然としないが、そういうものだと思っておいたほうがいいのだろう。


「じゃあこれから魔法を使うからよく見ててね」


 ようやく魔法を使えるようになるらしい。二年間も待たされたんだ。我ながらよく我慢したものだと思う。


 ついにこれから俺の魔法ライフが始まるんだ!









 

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