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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第三章 クラス対抗戦編
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クラス対抗戦開幕

「それではこれより、クラス対抗戦一年生の部を開催します」


 クラス対抗戦が始まった。クラス対抗戦は一日ですべての競技を消化するので、午前中から午後まで一日中行われる。すべての競技が同じ会場で行われるので、片付けなども迅速にしなければならない。事前にリハーサルなどを行わないことから、その辺は少し心配である。


 会場は前世で言う競技場形式であり、観覧席も当然たくさん用意されている。俺達も自分の競技までは観覧席で他の人の競技を見て、自分の番に近くなったら控室などに行くという形になる。チケットの売買などはしておらず、予約などをしなくても入ることができる。ここには貴族の子供がたくさんいるので、警備面もなかなかしっかりしている。


 今年はある理由から警備が例年よりも強化されているので、不審者が入ることは例年に比べて非常に難しいだろうが。


「おい貴様、絶対に手を抜くなよ」


 俺にくぎを刺してきたブーダも含めて、みんな結構やる気になっている。三年生になるときにどのクラスに入るかは、一年生と二年生の時の成績と本番の試験によって決まる。このクラス対抗戦も当然その選考の時の材料の一つになる。

 五年生くらいになるともうクラス替えはないが、騎士団なり貴族に召し抱えられたりといったいわゆる就職活動にもなるので、さらにやる気が出る。さすがにまだ一年生でそういうことを考えている人はほとんどいないだろうし、採用する側もさすがにこの段階ではほとんど注目していないだろう。


 だが、今回は例年の一年生よりもみんなのやる気は高い。二年生ならばあと半年でクラス替えだから、最後の抵抗で必死になるのはわからないでもないが、例年の一年生は基本的にやる気満々でもあくまで楽しさ重視だ。確かに賞金は少し出るが、それでもたかが知れている。ここにいる子供はほとんどが貴族なり商人なりの裕福な子供であるので、クラス対抗戦の賞金に興味くらいはあるだろうが、そこまで執着していない。

 

 俺やアーシャのように賭けでも楽しもうとしている者は少ない。それならばなぜ例年よりもやる気があるのかと言えば、答えは一つである。

 

「ある程度は頑張るさ。なんたって、この国の国王様が来てるんだからな」


 そう、今日はこの国の国王が観覧席にいるのだ。今年の一年生のやる気が例年よりも高いことと、警備が例年よりも厳重であることはこれが理由である。


 普段なら王族、それも国王が一年生の部のクラス対抗戦を見に来ることは無い。五年生や六年生の部になると基本毎年来ているのだが、一年生の部で来ることはほとんどない。来てはいけないというルールはないのだが、来るのは本当に珍しいのだ。そして、その理由は誰の目にもはっきりしている。


「国王様の四女であるディアナ殿下がいるのだ。当然と言えば当然なのかもしれんな」


「うわぁー。そうなると、これから国王に何かなければ、毎年のように国王が来るってことか」


「おい、国王様と呼べ。誰かに聞こえたらどうするのだ」


「わかってるよ。さすがに不敬罪や国家反逆罪などは怖いからな。それにしてもめんどうだな。競技とはいえ、この場で第四王女を負かしたらやばいんじゃないか?まあ、彼女と同じ競技ではない俺には関係のないことだから気が楽だけど」


「どうだろうな。あの国王様なら大丈夫な気がするが、ディアナ殿下が怒らないとも限らんしな」


「あー、そういやそうだな」


 以前あったディアナの性格から考えると、あり得そうだな。


「とにかく、お前は普段から本気を出さんのだからな。こういう時くらい本気を出すのだ」


「できるだけ頑張るさ」


 国王ほどの人物が来ている以上目を付けられたくはない。幸いにも冒険者仲間以外は俺の全力は見たことがないから、そこそこ頑張ればそれでいい。


「まずは100メートル走とシューティングを行います。参加者は案内に従って位置についてください。それ以外の方は自分の番が来るまで所定お位置で待っていてください」


 100メートル走は地球のルールと同じだ。よーいどんで一番早い人が勝ちだ。この競技では魔法やスキル等の使用ができるので、それこそ100メートル九秒台というのも普通にあり得る。上級生クラスになると、早い人なら五秒台や六秒台でゴールできる。方法も単純に走るだけではなく、空を飛んだりすることもできる。

 ちなみに俺だともっと早くゴールできる。なぜならテレポーテーションがあるからだ。100メートル走でテレポーテーションを使った人はいまだいないがルール上は可能なので、俺が出たら歴代最高を更新できる可能性が高い。


 シューティングは、魔法で作られた動く的を魔法や弓などで射貫き、それに応じた点数を得て、その点数で競い合う競技だ。


 会場が結構広いので、競技によってはこのように二つ同時に行うこともある。時間がかかる競技もあるので、一日で終わらせるにはこうするしかないのだ。


「一年Aクラスのみんな!観覧席でクラスメイト達を全力で応援しよう」


「そうだな」


「そうね」


「応援が力になるかもだもんね」


 みんなで応援する空気になっている。委員長に至っては、応援の練習するしていたくらいだ。


「がんばれAクラス!!」


「タッタいけー」


「頑張って走れー!」


 タッタは100メートル走に出ているAクラスのクラスメイトだ。スピードだけならクラスでもトップクラスである。


「やったー、タッタが一位で決勝進出だ」


「幸先がいいね。僕たちも彼に続こう!」


「「「「「おお!」」」」」


 タッタのタイムは10秒9である。俺達は日本で言う小学五年生にあたる。小学生で100メートル走10秒台となると確実に全国、いや世界トップの小学生だろう。このタイムは中学陸上の全国トップクラスに値する。十歳でそこまでいくとは、魔法はやはり恐るべき力である。


「タッタもやるね~。あっ、でもウォルはもっと早いか」


「なんだアーシャ、ちょっかいでもかけに来たのか」


「違うよ~、僕がそんなことすると思う?」


「思う」


「ガーン、ウォルは僕のことをそんな目で見ていたんだね。せっかくシューティングの予選の結果を聞いてきたのに」


 競技は基本的に予選と本選があるものと、一発トーナメントの二種類がある。なんせチーム数がS~Fまでの七チームある上に、例えば100メートル走とかだと一クラス二人出すのだ。そういったこともあって、大抵午前中に予選をして、午後に本選である。もしくは一回戦が午前中で二回戦以降が午後である。


 一人が出る競技はほとんどの人が一つなので、そうでもしないと午前中で全部終わる人がたくさん出てしまうのである。


 また、俺が出るパーティー戦は予選ではなく一発トーナメント形式である。チームが七チームである都合により一チームがシードである。残念ながらくじ運でシードにはなれなかったので、勝ち抜けた場合は午前中に一試合、午後に二試合である。


 パーティー戦は花形競技であるので、決勝は最終プログラムである。玉入れは予選形式ではあるが多くても二回しかしなくていい上に魔法を使うのは俺の役目ではないので、ただ上に投げるだけなので全然負担がないのである。


 アーシャが俺に予選の結果を報告に来たのは、賭けに関することだからだろう。さすがに二人だけであるから全競技者に関する情報は集まらなかったので、全部の競技に賭けているわけではない。


 シューティングと100メートル走は賭けている競技の一つであるから、二人で分担して結果を見ていたのだ。


「それでどうだったんだ?」


「僕たちの予想通りではあったよ。そっちはどう?」


「こっちもそうだ。タッタが上手く勝ってくれたよ」


「それはよかったね。これで少し儲けだ」


「何が良かったのだ?」


「ああルナか。ほら、タッタが決勝まで行ったからな。それに、シューティングのほうも一回戦は突破したようだからな。Aクラスの幸先がいいからな」


「ウォルコットが喜ぶなんてなんか変だぞ」


「ぷぷっ、確かにそうだね」


「失礼な。俺だってどちらかと言えばクラスメイトに勝ってほしいさ。それに、負けるよりも勝つほうがいいに決まっているだろ?」


「そうなのだが……」


「あっウォル、Bクラスが棒倒しで一回戦突破したよ」


「よし、想定通りだ」


「おいちょっと待て。なぜウォルコットはBクラスが勝って喜んでいるのだ?Bクラスが勝ってもAクラスへの利益はないだろ」


「優勝候補筆頭のSクラスに勝ったからな。喜んでもおかしくはないだろ」


「だが、具体的にこうとは言えぬが、何かおかしくはないか?」


「そんなことは無いさ」


「そうだろうか……」


 俺たちがやっている賭けは別にやましいことではない。ただ、分け前が減ることを恐れてルナを誘わなかったことに対する負い目があるのである。


「ほら二人とも、そろそろパーティー戦が始から準備しなくちゃ」


 パーティー戦、バトルキング、マジックキングの三つは他の競技に比べてけが人がたくさん出る。これは当然勝った方にもけが人は出るので、治療をする必要が出てくる。また、ケガしていなくても内容によっては疲れが大きく残ってしまう。そのため、一つ一つの戦いまでの時間を十分にとるために、一回戦は早めに行われるのだ。


「ああそうだな。そろそろ控室に行かなければな」


「ああっ、早く行こうぜ」


 アーシャが助けてやったと言わんばかりの顔を向けてきているが、これは俺だけでなくお前の問題でもあるだろと言ってやりたい。


「ふふん!」


 ルナがいる今ここでアーシャに言わなかった俺の自制心は、我ながら素晴らしいと思う。


 





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