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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第三章 クラス対抗戦編
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盗賊退治

「みんな!準備は大丈夫か!?」


「僕は大丈夫。それより、敵が来てるよ」


 盗賊達が連携を組みながら攻撃してくる。盗賊たちはボスから訓練を受けている影響で実力も連携も他の盗賊団をしのぐ。


 ルナたち三人が戦った夜に襲撃してきた八人は、隠密行動に関しては彼ら七人よりは上だが、単純な戦闘力だけなら今の七人よりは下になる。今回はあの時と違ってローマがいるとはいえ、彼女たちが勝ちきれるかは怪しい。


「おいお前ら!もっとお互いサポートしながら戦うんだろ!?」


「わかってる!おいそこ、敵が来てるぞ」


「くっ!助かったぜ。こいつら、ガキのくせにかなり強いぜ。ボスの言った通り油断はできねえな」


 盗賊たちの力はFランクからEランク、個々ではEランクのルナたちには敵わないが、連携面では彼女たちよりも上になる。連携だけでなく数も上であり、個々では上だとは言っても大きな差はないので、やはり互角の戦いになる。


「〈アイスボール〉」


 ローマは基本的に魔法を使って戦う。普段は『くまくま』しかしゃべることができないのに、なぜか魔法を唱えることだけはできるのだ。


「この子熊は魔法を使うのか!?こんなクマ聞いたことないぞ!」


 盗賊たちがフェアリーベアーを知らないのもしょうがないことだ。フェアリーベアーは結構珍く、特にメスはオスよりもっと珍しいのだ。


「そうだ。ローマもいるのだったな。ウォルコットがいないのでローマの言葉はわからないが、こちらの指示を聞くくらいは大丈夫なはずだ。そうだなローマ?」


『くま!』


「これはたぶん了承だろうな」


 ルナたち三人がローマと会うのは、依頼の時と訓練している時である。そのため、ローマをテイムしているうえに常に一緒にいるウォルほどは無理だが、本当に少しだけならわかるようになってきているらしい。


 もちろんこれは一緒にいるからだけでなく、ローマが人間の言葉を理解できていることも一つの要因である。


「いくです!」


 ニニャが先頭に立って突撃していく。そしてそれをアーシャが援護している。


 ニニャは一見考えなしに突撃しているように見えるが、どうすれば後ろが援護しやすいかなどをちゃんと考えて行動している。これは小さいころから幼馴染のアーシャと一緒に二人で連携して戦っていた経験がなせるものである。

 アーシャは近中距離タイプなので、完全に近接戦闘しかないニニャと一緒に戦うとどうしてもフォローに回らざるを得ないので、ニニャも自然にアーシャがフォローしやすいように動くようになったのだ。


「それそれです!」


「このチビ、かなりのパワーだぞ」


 ニニャのパワーはそこいらの戦士には負けない。それに身軽でスピードもあるので、捕らえるのも難しい。


「私も行くぞ」


 ニニャに続いてルナも斬りかかる。それを前にいる盗賊が防ぎ、後ろにいる盗賊たちがルナたちに攻撃を加えようとする。


 だが、その攻撃はアーシャやローマの魔法を投擲などによって防がれる。どちらも戦況を決定づけるような切り札がないので、この均衡はなかなか崩れない。


 このような戦況になると、ミスをして先に戦力を減らした方が負ける。だが、両方ポーションなどの回復アイテムなども持っているので、こうなったら戦況はなかなか動かないだろう。もしかしたら、盗賊団のボスとウォルコットの勝者が決まってからかもしれない。大きな傷を負ったとかでなければ、この二人の勝者が戦力に加わったほうが間違いなく勝つと言えるだろう。






sideウォルコットVS盗賊団ボス


「お前の連れもなかなかやるじゃねえか。俺のかわいい部下をことごとく殺してくれたんだからそうじゃなきゃいけねえ」


「それはどうも。そちらの部下たちもやるようだから、こちらもさっさと終わらせたいのだけどな!」


 俺は強力ではあるが自分の体が問題なく耐えられる強さの身体強化魔法、つまり学校などでは使ったことがないような威力の身体強化魔法を使って剣で斬りかかった。


「甘い」


 ボスは俺の攻撃を難なく防いだ。


「まだまだ」


 俺は今まで学校などでは見せたことがないほどの近接攻撃を見せているが、ボスは小回りの利かないはずの斧を上手く使って俺の攻撃を防いでいる。


「魔力は高いし魔法もいいが、近接戦闘はいまいちのようだな」


「うるさい黙れ。そんなことは言われ慣れてるんだよ!」


「これが本当の戦士というものだ。〈渾身の一撃〉」


 ボスがスキルを使って斧を振るう。


「これはやばい!」


 最初は剣で防ごうとしたのだが、なんかやばそうな予感がしたのでとっさの判断でかわした。


『ガァァン』


 俺が斧を躱すと斧が地面に直接突き刺さり、地面が割れてしまった。


「これはやばいな」


 もしも当初の予定通り剣で防いでいたらおそらく剣ごとやられていただろう。俺の使っている剣は確実に壊れただろうし、体だってやばかった。正直、近接戦闘だけでは勝ちの目が無さそうだ。


「とっさによけるとは、勘は働くようだな」


「あんたもかなりやるじゃないか。どうしてこんなとこで盗賊なんかやってんだ?」


 これだけの力があれば盗賊なんかやる必要はないはずだ。騎士団なんかにも普通にはいれるだろう。王都の精鋭騎士団ではどうなるかわからないが、地方の騎士団に入れば結構上まで行けるだろうし、冒険者でもDランクやCランク、下手したらBランクまで言ってもおかしくない。


「確かに俺は元々冒険者だった。冒険者になれば自由に生活できると思ったからだ」


「自由じゃなかったのか?」


「全然違う!俺は真の自由を求めていたんだ。冒険者の自由なんて、あくまで偽りのものでしかない」


「偽り?」


「そうだ。冒険者は自由と言っても、国の法律には従わなければならない。ギルドを通した依頼での税金はギルドが勝手に払ってくれてはいるが、そうじゃないのは自分で払わなければならない。自由と言っても、女を好きには犯せないし人を殺すのも自由にはできねえ。自由だなんだと言いながら、結局法律には逆らえねえんだよ!」


「それはそうだが。それはしょうがないことだろう」


 こいつの言いたいことはわかった。賛同はできないが、何を言いたいかはわかる。つまり、自分の思うままに行動することができないのが嫌だということだ。


 集団生活をする以上ある程度共通のルールは必要である。人間の場合はそれが法律という形になって他の生物よりも特にしっかり決まっている。こいつはそれが窮屈に感じるのだろう。

 

 確かに前世でも現世でも法律が面倒と感じることがなかったわけではないし、「こんな法律いらなくない?」と思ったこともある。だが、法律というもの自体は必要であることには異論がない。そうでなければ、それこそ盗賊のような輩ばかりが幅を利かせることになるからだ。


「それなら盗賊になるしかないな」


 もしも法律などのルールで縛られるのが嫌なら、今のように法を平気で破るような盗賊になるか、自分で法律から何まで作れるような絶対の支配者になるしかない。


 前者ならともかく後者は実現性が乏しすぎるので、彼は盗賊になるしかなかったのだろう。


「そうだ。盗賊はいいぞー。ものすごく自由だからな。お前もなってみるか?」


「悪いな。俺はそこまで窮屈してはいないし、騎士や冒険者に追われ続けるのもごめんだ」


「まあ若いうちはそうだろうな。元冒険者としては将来有望な若い芽を摘むのは悪いと思わなくもないが、相応の覚悟してもらおうか」


「当たり前だ。人を殺そうとしているのだから、自分が死ぬかもしれないことも覚悟しなければならない。それが常識だろ?自分だけが特別だと思うことほど愚かしいことは無い」


「その通りだ!」


 今度はボスのほうから攻撃に来た。


「〈ストーンウォール〉」


「そんな石の壁くらい、簡単に壊せるぜ」


 ボスは石の壁を簡単に壊して、自分の斧の届く距離まで間合いを詰めようとしてくる。


「ストーンウォールをそんなに簡単に壊せるならこれでどうだ!〈クリエイトゴーレム〉」


「そんなでくの坊でも意味ねえぜ」


 ボスはゴーレムたちも難なく突破してくる。


「これはどうする?」


 ボスが斧が届くところまで距離を詰め、勢いよく斧を振るってきた。


「〈テレポーテーション〉」


 俺はボスが斧を振り下ろしてくるタイミングに合わせて〈テレポーテーション〉を使って後ろに回った。


「〈ウィンドボム〉」


 本日三度目のウィンドボムをボスの無防備な背中に撃ち込んだ。


「グハァ!」


 ボスは俺の魔法を背中からもろに食らってかなりのダメージが入っているように見える。彼の部下たちは正面からの一撃で何人も死んだのだが、背中から受けても死なないどころか倒れもしないボスの防御力は大したものだ。

 いくら部下たちよりもいい防具を装備しているとはいえ、ボス自身の肉体能力も大したものである。


「はぁはぁ、まさかテレポーテーションまで使えるなんてな。お前、化け物かよ」


「失礼な。というか、ウィンドボムをもろに受けても死なないどころか戦闘を継続しようとするあんたも怖いんだが」


「そう言わないでくれ。まあ俺にはまだこれがあるからな」


 そう言ってボスは懐から液体の入った瓶を取り出す。


「やらせるか!〈ストーンバレット〉」


「マジか!くっそ、これくらい見逃してくれよな」


 ボスは必死にストーンバレットをよけたり斧で防いだりする。だが、ダメージを負って動きが鈍い上に瓶を持っている方の手が使いずらいので、いくつかは直接当たっている。


「やべ!瓶がやられちまった」


 ストーンバレットのうちの一つがたまたま瓶に当たり、瓶の中の液体が地面にこぼれてしまった。


「ハアハア、エリートのくせに抜け目ねえな。回復ポーションを飲ませる暇も与えねえのかよ」


 やはり瓶の中身は回復ポーションだったようだ。


「あいにくとそんなお上品な教育は受けていないのでな」


 今が好機である。敵は深手を負っており、動くのでさえつらい状況だ。その上飲もうとしていた回復ポーションを飲めなかったとあっては、精神的なダメージもある。これだけの強者相手にここを逃す手はない。


 ボスは近接戦闘や戦闘経験は俺よりも上である。どんな隠し玉を持っているかわからない以上、近接戦闘を挑むのは危険だ。また、手負いの獣ほど恐ろしいという言葉もある。もちろん向こうは人間だが、それでも追い込まれている状況では何をするかわからない。


「とりあえず離れたところから魔法で攻撃だな。〈エアバレット〉」


 エアバレットの効果はストーンバレットとほぼ同じだ。ストーンバレットへの対処を見るに、大きな体で大きな斧を使うボスには、複数の小さい弾丸による攻撃は対処しずらいものであると見た。

 

 エアバレットはストーンバレットよりも威力は小さいが、空気の弾丸であるために石の弾丸を放つストーンバレットよりも目視しづらいという利点がある。


 今の深いダメージにより疲労がたまっている相手には、威力よりも命中する数が多いほうが効果的だという判断だ。


「くそっ!徐々に体力が奪われてきやがる」


 俺の目論見通り、ストーンバレットの時よりもエアバレットの時のほうが命中率が高い。また、ボスはすでに負っているダメージにより、動けば動くほど体力がたくさん減っていく。完全に八方ふさがりのはずだ。


「まだだ!油断して今ある勝機を逃すのは愚かなことだ。幸いまだ魔力は残っているから、ここは攻勢を弱めずに押し切る!!」 


 俺はその後も攻勢を弱めることなく、エアバレット以外にも様々な魔法で遠距離から攻撃し続けた。


「ハア…まったく、大したガキだよお前は」


 そう言って、今回一番の討伐対象である盗賊団のボスは倒れた。


「ハア、ハア、やった。何とか倒せたぞ。正直テレポーテーションがなかったらかなり危なかった。下手したら負けていてもおかしくはなかったな」


 今回勝った要因はまさにテレポーテーションのおかげだろう。敵の予想できていなかった魔法を使いそれを見事に勝利につなげたのは、我ながらよくやったと思う。もしももう一回戦えと言われたならば、それこそ勝敗は全くわからないものになるだろう。それくらいの強敵だった。


「おっと、休んでる場合じゃないな。ルナたちがどうなっているか確認しなければ」


 俺は七人の盗賊たちと戦っているルナたちのサポートをしに向かった。





「みんな大丈夫か!?」


「ウォル!さすがだね。まさか僕たちよりも早く決着をつけてくるなんて」


「なに!ボスがこんなガキに負けちまったてのか!?くそっ!お前ら、こうなったらボスの弔い合戦だ。あのガキだってボスとの戦いである程度は疲弊しているはずだ。全員で一気にかかるぞ!」


「「「「「「おお!」」」」」」


「あんなこと言ってるけど、実際はどうなの?」


「確かに盗賊団のボスは強かったし、俺だって少なくないダメージは負ったさ。それに、魔力だってかなりつかわされたしな。だが、当然こいつらと戦う前に魔力や体力、けがなどは回復魔法や各種ポーションを使って回復させている。あいつらが言っているほど疲れ切ってはいないさ」


「なら大丈夫そうだね」


「ああ大丈夫だ」


「二人とも、しゃべってないで準備しろ!盗賊たちが来るぞ!」


『くまくまー』


 盗賊たちが来たが、ボスがやられたことによる動揺と、俺達が全員そろったことによる戦力増加により、盗賊たちは全員いとも簡単にやられてしまった。







 


 


 


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