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第54話  新武器作成開始

ブクマ100件いきました。

光栄です。これからも頑張っていきますね。

 今日は昨日と違い従来の時間に起床出来たようだ。

 それはミルファも同じだったらしく、既にベッドにはいなかった。


 今日は昨日チャレンジした武器の改良を成功させるのが目標だ。

 そう。キラータイガー・レッドグリズリー・ファイタードラゴン、それぞれの爪をオレのシャムシールに融合させるのだ。


 昨日からチャレンジはしてるのだが、なかなか思うように融合は出来ないでいる。

 何故成功しないのか……オレは始め、単純に錬成のレベルが足りないからだと思っていた。

 しかし、実際には全く違ったようだ。

 そもそも三種の爪素材を一つに混ぜる意味が分からない。

 何故そのような事をしようと思ったか。それは何となく格好良さそうだからだ。

 そのような理由でやろうとした事自体がそもそもの間違いだったのだ。

 その事に気が付いた時には既に正午近くなっていた。


 無駄なことをやっていた事に気づいたオレは、その三種の爪を使い一から作る事にした。

 それぞれの特徴を生かし、部位毎に分けて作ってから、最後に一つの剣に纏めればいいのだ。

 先ず、芯として使うのは強度と柔軟性に優れたレッドグリズリーの爪だろう。

 折れない爪として有名なくらいだ。間違いないだろう。

 ファイタードラゴンはその爪で攻撃を受けたりもする。それを踏まえるとその用途は鍔と柄頭になるのだろう。

 残ってるキラータイガーの爪だが、これは切先だけに使うとしよう。

 爪である特性は刺突にこそ発揮されるのではないだろうか。

 刃先に関しては鍛冶と錬成の組み合わせで合金を作ればいいだろう。

 ここは元鉄工所勤務で得た知識が活かされる唯一の機会であるはずだ。


 この作り方をする以上、オレの技術で曲刀は無理なので両刃の剣、所謂ブロードソードにする予定である。

 キラータイガーの爪以外を錬成で形作るまでは簡単だった。

 片手剣として使用するが、刀身は長めに欲しいと考えていた。

 そこでメインとして使う金属は軽量金属のアルミニウムを考えたのだが、如何せん柔すぎるのだ。

 しかし、その為に予め考えてあったのがアルミニウム合金である。

 銅とアルミニウムから成る合金、ジュラルミンだ。

 割合はイマイチ分かっていないが、材料は亜鉛とマグネシウムがあればいいはずだ。

 それは両方とも以前鉱山で採掘した際に採って来ている。


 鍛冶と錬成の合わせ技で適当に混ぜ鑑定していく。

 数回でその結果が「ジュラルミン」と出た。

 これで刃先、カッティングエッジを作っていけばいい訳だ。


 しかし、残念ながらここでギルドに行く時間になってしまったようだ。

 今日の作業はここまでのようである。

 しかしながら、新たな剣の方向性は間違っていないはずだ。

 芯であるレッドグリズリーの爪、キラータイガーの爪、そしてこのカッティングエッジをうまく接合すれば現段階でのオレの思い描く剣になってくれるはずだ。


 この日はミルファとマリーも一緒に来るらしい。

 ディルは朝から外出してるので此処にはいない。

 たまにこうやって居なくなるのだが、誰もそれについての話はしないのでオレも触れていないのだ。

 しかし、考えたらこのメンバーでいる時間はかなり長いのだ。

 実際に各々の時間は結構限られているかもしれない。

 オレは今のところ、それを苦に感じたことはないが、長く共にいる三人は離れて過ごす時間も必要なのかもしれない。

 まあ、オレは皆で過ごす時間が好きだからそんな考えは一切無いので実際は全く分かってないのだが。


 ともかく、今日は四人でギルドにやって来て、真っ直ぐ解体場へと向かった。

 

「おおー!今日も綺麗に片付いてるなー。またよろしく頼むよ、諸君。だーはっはっはっ。」


 エイルの態度が大きく更には饒舌になってる。

 マリーの鉄拳が飛ぶ前にその態度は止めた方が良いと思ったのだが、間髪入れずにマリーに耳を引っ張られてこってりと絞られていた。

 エイルのこういうところは、いい意味で反面教師として勉強になっている。

 遠巻きにその様子を眺めていたオーグストンも呆れたような表情をしていた。


 流石に三日目ともなると、解体班にも余裕が伺えるようになってきている。

 少し驚かすのに全部出してやろうかとも思ったが、そこは自重してこの場所に置ける分だけにしておいた。

 そこに今回出していったのは、魔獣系を中心とした食料としても、かなり高級になる素材たちだ。

 中でも全員の目を引いていたのがトロルだ。

 自分達の食べる分として相当数を残している為、今回出したのは20匹だけだが、小さくても2メートルを超える巨体が20体も目の前に並んだのだ。慣れてきていた解体班もこれには再度硬直している様子だ。


 流石に大きいのが並んだら思ったより置ききれず、全部で400匹程出してこの日は止めておいた。

 爪を使用している三種の魔物やドラゴンなどが今回出されることなく残る事になったのだった。


 オーグストンが言うには、もしかしたら大台に乗るかも知れないとの事だったが、相当な額はある程度予想してるので、特別驚きはない。

 その流れで、昨日の査定分の結果を受け取る。

 ある程度の金額を予想していたオレだったが、それを見た瞬間吹き出してしまった。

 その額……3000万だ。

 昨日出したのは約700匹分。安いのは1匹1万から、高いのだと1匹10万になったらしい。

 あんな悪魔やら骨やら死肉などがそんな高いとは思っていなかった。

 せいぜい1000万いけば御の字くらいにしか思っていなかったのだ。

 その額に驚愕している姿を見たオーグストンは追い打ちを掛けるように、


「トロルは1匹50万を下回ることはないと思うぞ。」


 なんて言ってきたのだ。この忙しさの仕返しとばかりにオレ達を驚かせに来ている。

 マリーとミルファは驚きのあまり意識が飛んでしまっている。

 エイルはずっとなーはっはっはっ、と笑いが止まらないようだ。


 受付では既にこの金額が伝わっていたようで、そのお金は待つことなく渡されたのだ。

 大金を引渡し、ひと安心している受付嬢を困らせるようにエイルは動く。


「今日査定に出したのはこれ以上だと思うからな。ちゃんと金の管理しておいてくれよー。」


 受付嬢は顔面蒼白だ。エイルはそれを面白そうに眺めていた。

 そして案の定マリーから、虐めないの!と言われ、今度は鼻を引っ張られていた。


 エイルもこんな大金持ち歩きたくないと言い、結局アイテムボックスに入れる事になってしまった。


「ああ、そういや今日ディルは夕食食べてくるからいらないとよ。四人だけだから食べに行くか?」


 エイルの言葉にオレが即座に反応した。


「あ!じゃあ食楽亭に行きたいです。宿を出てから行ってないし。」


「殆ど一か月ぶりか……じゃあ、レイジとミルファのウチに来て一か月記念って事で、食楽亭でパーティーにしようぜ。」


 そうなのだ。オレは勿論、ミルファが加入してからでも、既に一か月が経っていた。

 一か月、随分と様々な事が起こりすぎて、目まぐるしかった気がする。

 ほんの一か月前は、まだミルファとも今のような関係ではなく、隣に寝るだけでもドキドキしてるような感じであったのだが。

 戦闘における強さもだ。当時はまだ3ジョブでそのレベルも一桁だったのだ。

 この一ヶ月で本当に世界が変わったな。素直にそう感じていた。



 一ヶ月ぶりの食楽亭だが、その人気は全く変わっていない。

 オレは始めてこの列に並び、食事をする事になるのだ。

 待つこと一時間。漸く席に着くことが出来た。


「肉は普段からいいもの食べてるからな。ここはやっぱり魚だろ!」


「オレもそうします。」


 どの料理でも宿泊客向けメニューと一般客向けメニューには違いがある。

 値段の差もあるので、此方の方が種類はかなり豊富である。

 それでも最近、肉だけは豪華になっている。それに比べ魚は殆ど食べることはない。

 なので四人とも今日は魚料理を満喫する事にした。


「お待たせしまし……あ!レイジさん!」


 給仕をしていたのは此処で働いていて、以前買い物に付き合ってもらった事のあるデュティだった。


「久しぶりですね。お元気でしたか?」


「デュティ?久しぶり!普通に冒険者やってるよ。デュティも元気そうで良かったよ。」


「えへへ。たまにこうやって食べに来てくださいね。待ってますから。」


 そう言うと、全員に持ってきた料理を配膳していった。



「レイジさん。今の子は?」


「以前此処に泊まってる時に色々世話をしてくれた子だよ。ミルファが心配するような事は何もないから大丈夫だぞ。」


「ちょ、そんな心配はしてないですから!マリーさんも笑わないでくださいっ。」


 この日の食事はホントに楽しい時を過ごす事が出来た。

 この店に来た事で、少し初心も思い出したし、ミルファを誂うのも可笑しかった。

 勿論最後にはフォローするのも忘れずに褒めてあげると、顔を赤くしながら俯いてしまった。

 相変わらず可愛い姿だ。


 お酒も程々に、この日はただ楽しく過ごし家路に着いた。

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