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第40話  ファスエッジダンジョン到着

本日2度目です。


 次の日、昨日の雨はすっかり上がり、雲一つない空模様となった。


 オレ達は朝から亡くなった人達の埋葬の手伝いをし、数件の家の破損箇所を錬成で直しておいた。

 村人達の心の傷は時間が解決してくれるのを待つしかない。


 陵辱された女性達は、早めにロードプルフへ行って避妊魔法を掛けてもらうらしい。

 一ヶ月近くは新たに妊娠は出来ないが、盗賊の子供を孕むよりはマシだと言っていた。

 どこへ行っても女性は逞しいようだ。


 村を出発する際、村人は大変感謝をして礼を申し出たが、オレ達はそれを固辞して村を出ることにした。



 村を出発して一時間、元の道まで辿り着きまたファスエッジダンジョンへ向けて進んでいく。


 雨の後のせいなのか、道が悪くなかなか進捗しない。

 ただの水溜りならそのまま進んでいくのだが、思いのほか泥濘が酷く車輪が嵌ってしまいその都度馬車を押して進む羽目になっていた。


 そこでオレは御者台に座り、酷い泥濘を見つけたらそこにファイアを放って乾かすという荒業で乗り切っていった。


 この日出てきた魔物はカエル種が多かったが、どれもポイズントードに比べたら大した事がなく、全く問題のない旅になった。


 この日の夜、キャンプを張る時にはオレは既に倒れていた。

 この日一日で放ったファイアは100以上。

 魔力の枯渇を初めて経験したオレはかつてない倦怠感に襲われ、起きようと思っても全く身体が動かなかった。

 改めて魔力管理はしっかりしようと、自分を戒めた。


 オレを除く全員でテントを張ると、エイルとディルでオレをテントの中へ運んでくれた。

 一応アイテムボックスを操作くらいは出来るので、必要なものの出し入れはしている。


 食事の支度は女性二人がやってくれているようだ。

 オレがウォッシュを使えないので、男性二人は湯浴みの準備をしている。

 一応アイテムボックスにドラム缶は入れておいたのだ。


 結局オレは最後まで動くことが出来ないままでこの日は終わった。



 翌朝には魔力はほぼ回復しているみたいだ。。

 その分朝の支度は率先してやったのだが、魔法の使用は禁止され、たまに怒られながら準備をしていた。


 この日の道は流石に乾いてきていて、魔法で乾かさなくても走行に支障がないくらいだ。

 既にカエル種の魔物は出なくなっていて、代わりにデカいクワガタやミミズなどの虫系の魔物が増えていた。

 しかもこれらは売っても二束三文にもならないらしい。

 役に立たない魔物を討伐しつつ、更に馬車は進んでいく。


「この調子なら今日の昼過ぎにはダンジョンに着きそうだな。」

 エイルはオレの出してるマップを見ながら予測を立てている。


「けどこの辺ってたまにアイツ出るんだよね。一応警戒は怠らないでね。」

「アイツって?」

 マリーの言葉にオレは即座に反応した。


「スクリューモールってデカいモグラよ。腕がドリルみたくなってて地面を掘って進んでるからいきなり現れるのよね。最高に嫌な相手よ。」

「しかもそいつも食用には向かないから肉はゴミなんだ。

 まあ、ドリルになってる腕はそこそこの金額にはなるけどな。」


 この流れって出てきそうだな、なんてこの時オレは思ったりしていた。

 そしてこの予感は的中したのだった。


 こんな会話の一時間後、前方の岩山が揺れてるように感じたオレはそれを皆に伝えた。


「あの岩、なーんか揺れてるように思うんですけど……。」

「んー、一旦止めてくれ。」


 エイルの判断で馬車は停止させておいた。

 実はこれが好判断だった。

 スクリューモールは地上の音で獲物を識別している。

 聴覚はいい方ではないらしいが、馬車の車輪の音など直ぐにわかってしまう。


 エイルは周囲を確認した後、ディルに岩山の角を落とすように指示する。

 矢が命中すると岩は崩れ落ちていく。

 その時、地面に穴が空きそこからモグラが顔を出してきた。

 コイツがスクリューモールだ。


「レイジ!魔法の使用を解禁するぞ。ガンガンかましてやれ。」

 エイルの言葉にオレは即座に反応する。


「了解です。いきますよ。ファイアショット!」

 ファイアボールを分散させた魔法がスクリューモールの顔から胸までの広範囲に命中する。

 それに追従するように、ディルとミルファの放った矢が直撃。

 エイルはその前から走り出しており、両手に短剣を構えている。


 オレはエイルの動きを見て横に移動しつつ、ウインドカッターを放っていく。

 するとスクリューモールの意識はオレに向かい、両手のドリルを振り下ろしてきた。


 その瞬間、エイルの陰翳殺(いんえいさつ)がスクリューモールを襲う。

 スクリューモールの血飛沫が上がるが倒れない。


 一度止まったその腕を再度オレに向かって振り下ろす。

 オレはアイテムボックスからシャムシールを出し、その腕に向かって斬りにいく。

 が、シャムシールは弾かれ、オレもドリルに弾かれるように宙を舞う。


「ぐあーっ、う……くっ……そ……」

 当たった腕から脇腹あたりの痛みが激しい。

 このままじゃヤバい。そう思ったが、パーティメンバーによる一斉攻撃でスクリューモールは此方には来なくなった。


 そして最後はディルのパワーアローがスクリューモールの眉間に射さり、咆哮と共に倒れた。



 倒しはしたがオレだけは満身創痍だ。

 直ぐにマリーが駆けつけたが、状態を確認すると、ミルファの練習に丁度いいという判断をした。


 ミルファはオレの傷に手を当てている。

 触れるたびに痛みが出るが、これから治してもらう以上文句は言えない。


 5ジョブに僧侶を付けてるので自分でも治せるのだが、やはりここは治してもらいたい。


 ミルファのヒールがオレの傷を包み込み痛みが引いていく。

 その傷は一瞬で治り、それを誰よりもミルファが驚いていた。


 この後はスクリューモールはしっかり回収し、馬車を走らせた。


 大方の予想通り昼過ぎにはダンジョン入口に到着した。

 しかしアタックするのは明日の朝からみたいだ。

 理由は休憩出来る場所の問題らしい。


 このダンジョンでは10階層毎にボスフロアがあり、そこにはボス以外の魔物はいないらしく、倒したあとに開く扉の先が開けている。

 その為、そのフロアは休憩するにはベストな位置だということになる。


 10階層移動を考えると朝のアタックが一番の為、今は明日に備え休んだほうがいいという事だ。


「あー、暇ならミルファと二人で一階だけでも見てこいよ。」

 エイルから提案された。

 確かに一階だけなら危険も少ない。そして暇でもある。


 そうしてオレはミルファと二人だけでファスエッジダンジョンに入ってみることになった

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― 新着の感想 ―
[一言] 41話で魔力の枯渇を初めて経験したとありますが、27話でも魔力が枯渇して倒れています。
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