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第30話  鍛冶と調合

 この日の夕食は焼き鳥にした。

 タレは分からないので、味付けは塩にしている。

 これもなかなか評判がいい。


「レイジくん、今日ね、ミルファちゃんが育った孤児院に行ってきたのよ。マザーも他の人達も皆いい人だったよ。レイジくんも今度行かなきゃね。」

 なんか羨ましい。でも緊張しそうだし……うん、いいや。


「ところで明日は?」

「あー、明後日の準備もあるし明日は基本なしだな。ミルファも明日までは休んでたほうがいいだろ。」

 そうか、じゃあオレは……

「どうせレイジは鍛冶やるんだろ?」

 忘れてた。そうだ、その為に今日は鉱山まで行ったんだ。

 明日は鍛冶を、途中休憩がてらに調合もアリだな。




「レイジー、風呂いいぞー。」

「あ、レイジさん、私まだ湯船はダメそうですが、背中くらい流せますので一緒させてください。」

 非常に嬉しい申し出がきた。ミルファの言葉に甘えよう。


「今日はギルドにも行ってきたんだよな。何してきたの?」

「えへへ。避妊魔法を掛けてもらってきました。これでまた今日から大丈夫ですよ。」

 避妊魔法?知らなかった。そんなのあるのか。



「よし!じゃあ今度はミルファを洗うよ。」

「え?いや、あの……あ、すみません。ありがとうございます。」

 背中だけと言わず全身を綺麗に洗ってもらったので、お礼にミルファの身体を丁寧に、丁寧に洗った。

 ウォッシュ?使わないよ。魔力が勿体ないからな。


 風呂から出ると既に皆部屋へ行き、リビングには誰もいなかった。

 オレ達も部屋へと行き、ドライで髪を乾かしてからベッドに入った。


 翌朝、ミルファの唇の感触で目が覚めた。それもバッチリと。

 勿論オレもそれを迎え入れたのだが。

「おはようございます。昨日のお返しです。」

 昨日……うん、確かにオデコにキスはした。しかしこんな艶かしいものではなかったはずだ。

 まあ、オレはこっちのが嬉しいし問題はない。

「こんなお返しだったら毎日でもいいな。」

「じゃあ毎日しますね。」

 うん、グッジョブオレ!


 部屋を出てもまだ誰も起きていない。

 ミルファはいつもこんな時間から起きているのか。

 誰も起きてこないうちに一緒に風呂を済ませる。ウォッシュではなくあくまで風呂だ。


 出るとキッチンにマリーが立ってる。

「おはよう。早いねー。」

 ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべたマリーは、そう言うと料理を始める。

「あ、私もやります。」

 マリーに先にさせてしまった事に罪悪感を覚えているのか、ミルファは直ぐにキッチンに立った。



 エイルとディルは二人共朝食ギリギリに起きてきた。


「今日は鍛冶やるのに作業部屋って使わせてもらって大丈夫ですか?」

 あの部屋の状況が分からないので聞いてみる。

 火気を扱う以上其の辺の確認はしておかないといけないからな。

「一々聞かなくていいぞ。勝手に使えよ。」

 うーん。火気使用が出来るか聞きたかったのだが、言葉が足りず伝わらなかったようだ。

「えーと、作業部屋での火の取り扱いとか大丈夫なんですか……。」

「……え?火の取り扱い?」

「はい。壁の状態とか床下になにか入ってるとか。」

「ああ、それな。えーと、なんだ?大丈夫じゃね?多分。うん。」

 ああ。これはあれだな。うん。突っ込まないでおこう。

「レイジくん。ごめん。多分大丈夫よ。」

「いえ、わかりました。多分鍛冶も調合もするので。」

「おう、まあ大丈夫だ。水魔法あるだろ?じゃあ大丈夫だ。問題ない。」

 まあ、水魔法は使うつもりだが……問題ないならいいか。



「じゃあ私達は明日の準備で買い出し行ってくるから。適当にやっててね。」

「おう、火の取り扱いには気をつけろよー。」

 エイル達は出かけて行き二人で家に残った。


 とりあえずオレは当初の予定通り鍛冶を始める。

 ミルファも一緒に来て見てるようだ。

 部屋に設置されている炉に火を入れる。

 昨日採ってきた鉄を出し、ウォーターカッターを使い必要な大きさに切り分ける。

 そこで迷った。火入れをして鋼を作るべきか。このまま鉄の剣にするか。

 やはり直ぐに作れそうな鉄の剣だろう。

 火力をあまり上げずに鉄を伸ばせる温度を保つ。

 あとは素人なので適当に打つ。

 本当に適当に。


 しかし何故かきちんと形になった。

 これが鍛冶LV4の力なのか。

 鑑定してみても【鉄の剣】と出ている。

 以前部屋を掃除した時にあった丸太を出し、切れ味を見る。

 普通に切れた。


 今使ってるシミターを少し長くして幅を細くしたのが欲しいのでその形を作ってみる。

 それも適当に。なんとなくで。

 これも完成した。鑑定すると【シャムシール】だった。

 かっこいい名前になったようだ。


 同じように短剣も作り、槍、斧、矢尻も作ってみた。

「えーと、レイジさん初めてなんですよね?」

「武器は初めてだな。鉄を加工して繋ぎ合わせたりして色々作ってはいたけどな。」

「それでこの精度ですよね。凄いですよ。」

 ちょっと物足りなくなってきたので刃の焼入れをしっかりさせた短剣を作ってみる。


 先程の要領で適当に形作り、そこからの焼入れをしっかり行った。あくまで自己流、見よう見まねだ。

 多分強度が上がってるはずだ。鑑定ではわからない。

 丸太を切ってみる……スッパリ切れた。切り口が滑らかになっている。

 これは凄い。


「ミルファ。はいよ。」

 今作った短剣を渡した。

「護身用な。」

「は、はいっ。ありがとうございます。」


 少し疲れたので調合にチャレンジしてみる。

 実は少し本を読んでポーション作りの基本は知っている。

 ただ、スキルが無いので成功するかは分からない。


 最近集めたアフラ草を出し、ミルファにも渡した。

「一緒にやろうぜー。」

「うん、やった。」

 やりたかったらしい。言って欲しかった。

 以前買った調合セットを用意し、覚えてる手順でアフラ草を潰していく。

 ミルファもオレのを見ながら必死に作っている。


 完成品を鑑定すると【ポーション粗悪品】と出ていた。

 それから二人でドンドン作っていく。

 五回目も粗悪品。

 六回目……【ポーション】

 完成した。やっとだ。

 いや、たった六回だと言うべきか。


 この際残ってるアフラ草全部やっちゃうか。

 ミルファと只管ポーションを作り続けた。



「ただいまー。ってなにこれー!」

「どうしたーって、うーわっ、すっげ。」

 帰ってきたマリーもエイルも驚愕している。

 そうだろう。50を超えるポーションがそこに置いてあるのだから。


「これ、お前らが作ったの?」

「「ぷっ、はーははははははっ!」」

「いや、すげぇわ。完全にスキル獲得しただろ?」

 そういえば見てなかったな。確認してみるか。

 ステータスの確認とミルファの鑑定をしてみると、ちゃんと調合のスキルを獲得していた。


「この武器はレイジが作ったのか?」

「一応は。まだまだですよね。」

「……いや、初めてでこれなら今後……いや、鍛冶師のジョブスキルないとダメなのか?……うーん。」

 エイルも分からないらしい。本職の鍛冶師に……そうだ、バルザムがいる!

 しかし住所も店も知らないな。まあ、その内会えるだろう。


 ディルは矢尻を確認している。

「まあまあだな。でも十分実践で使えそうだ。」

 及第点なのか?でもいずれはいい出来だと言わせてみせる。


 やってみたがまだまだって感じだったな。

 しかし、元の世界と違ってスキルで出来るようになるんだ。

 これから頑張ろう。そう思った。



 少し遅めの夕食。

 皆で作って、皆で食べている。


「俺達は説明受けたりなんだかんだってあるから、いつも通り出るわ。」

 エイルが夕食時に皆に話しだした。

「夜は毎日帰ってくるのか、夜間警備込みなのかも分からないから、レイジ達は、俺達の事はこの期間はいないものと思って行動しててくれ。」

 エイルはリーダーらしく、説明してくれている。

「とりあえずは三日と言われているので、依頼を受けるにしてもそのタイミングでは家に居れるようにしてくれ。」

「なーに?レイジくん達居ないと淋しいの?」

「そうじゃなくて居なかったらその後の行動が困るだろ!。」

「ふふっ、そうね。」

 何となく二人のやりとりが違うような……気のせいか?

「まあ、そんな感じなんで、いない間は頼むな。」



 夜……

「明日からは二人ですね。ちょっと寂しいですね。」

「今日も昼間は二人だったじゃん。」

「そうじゃなくて、完全に仕事として別じゃないですか。」

「どうする?コモンの依頼でも探してみるか?」

「二人でどれだけ出来るか、ですか?ちょっと不安です。」

「一人だったら不安だけどな。今は不安よりも楽しみのが大きかも知れないわ。」

「……私もです!」

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