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第23話  王立図書館

本日2度目の更新です。


 翌朝、相変わらずの快晴だ。あれ以来雨は降っていない。

 昨夜もミルファと勤しんでいたオレは、服を着ることから始まる。

 既にベッドにミルファの姿はない。オレより早く起きたようだ。


 リビングには誰もいない。しかし、キッチンからは音が聞こえる。

 やはりキッチンではミルファが朝食を作り始めていた。よく見るとマリーも一緒だ。


「おはようございます。早いですね。」

 声をかけると二人揃ってビクッとし、こちらに振り向く。

「お、おはよう……お願い、背後からいきなり声かけないで。」

 マリーは気の抜けたような顔で懇願している。ちょっと涙目になっているようだ。

 ミルファはクスクスと笑っているが、同じくらい吃驚していたのを知っている。今度ネタに使おう。


「先にお風呂入ってきてもいいのよー。どうせ昨夜も頑張ったんでしょ?」

 ニタリと笑い、そう言ってきた。

 なんてことを言うんだ。その通りだけど。

「そんな事言うけどマリーさんもじゃないですか?」

「だからもう入ったわよ。ね、ミルファちゃん。」

 この人には勝てないなー。なんて思いながら言われるまま風呂に入ることにした。


 出てくるとディルが起きてきていた。

 よく見るとオレの分のお茶を用意してくれている。

「おはようございます。お茶ありがとうございます。」

 ディルは小さく頷き、気にするなとでも言ってる風であった。


 少ししてエイルが起きてきて、全員揃った所で朝食にする。

「それにしても、なんだかんだで全員揃って朝飯って事が多いな。三人の時はバラバラだったのに。」

「皆で食べた方が美味しいでしょ。私は嬉しいわよ。」

「まあな、賑やかなのはいいことだな。」

 いつもこうだと思っていたが違うらしい。オレも宿で一人で食べてるより全然楽しいし、ミルファも笑顔で皆の話を聞いている。


 この日は食後全員で片付け、掃除と洗濯をしてから行動する事にした。

 それはスキルにレベルという概念がある事を知り、日頃からやっていれば上がっていくのでは?と、考えたからである。

 各自の部屋の掃除までして、一旦ギルドに向かうこととなった。



「そこを何とかお願いできないでしょうか?この子達はまだコモンですが、この先の成長には魔道書を閲覧が欠かせないんです。」

 マリーはオレ達の為にギルド長に懇願してくれている。

「しかしなぁ、ルールはルールだからな。こいつらだけ特別って訳にもいかんのだ。」

「やっぱ無理だろー。おっさんだと頭硬すぎて話し通じないんだよ。」

「お前がそういう態度だから余計に協力する気が無くなるんだ。」

 やはりギルドでの閲覧は無理そうだ。

「なあ、おっさん、たまにはこっちの頼みも聞いてくれないと、こっちだって指名依頼受ける気無くすぞ。」

「何言ってんだ!お前はいっつも我儘しか言わんだろ!しかも指名依頼だって受けるの半分だけだろうが!!」

 エイルはやっぱりエイルだった。言ってる事はかっこよかったのに。


「やっぱり予定通り領主邸ね。いきましょう。」


 この街の中央に位置する領主邸。その内お礼を含め、挨拶をしに訪れようとは思ってはいたが、こんなに早く来る事になるとは思っていなかった。

 入口の衛兵にギルドカードを見せ、面会の申し込みをする。

 今日は辺境伯はこの街に滞在していて、今から15分は面会出来るそうだ。



 応接室に通され数分、辺境伯が入ってきた。

「待たせたね。冒険者ということだが私に何か……キミは!」

 オレに気が付いたようだ。

「ご無沙汰しております。その節は大変お世話になりました。その時にお借りしていたお金を返しに参りました。ありがとうございました。」

「そうか、わざわざ丁寧にすまんな。こちらはキミのパーティになるのかな?」

「お初にお目にかかります。俺はこのロードウインズのリーダーで、冒険者ギルドランクゴールドのエイルと申します。よろしくお願いします。」

「うむ、ロードプルフ辺境伯のミルス・ロードプルフだ。よろしく頼む。ロードウインズ、噂は聞いてるよ。ゴブリンの集落を発見したのも君達だったよな。あの時は助かった。礼を言う。ところで、今日は用事はこれだけか?」

 辺境伯から聞いてきた。


「いえ、辺境伯にもお世話になったこちらのレイジですが、大変な才能を持っていまして、まだコモンでありますが王立図書館にて魔道書を閲覧させたいと思ってます。そこで辺境伯の推薦状などを認めて頂けないかと。」

「そんなことか。構わんぞ。レイジ殿には私も特別な何かを感じていたしな。誰かいるか?」

「お呼びでしょうか?」

「彼らに王立図書館特別室への入場許可証を頼む。」


 その後、辺境伯は忙しいらしく「また何かあったら来い」と言い足早に部屋を出ていった。

 それよりもエイルの丁寧な言葉使いに驚いてしまった。それは俺だけじゃなく、その場にいた全員が思ったらしい。


 10分ほどして、使用人が図書館の入場許可証を持ってやってきた。

 それを受け取り、図書館へ向かう。



 王立図書館は街の住宅地区に王立学院と併設されている。

 王立学院には国から指名された国定学者も在籍しており、状況によっては図書館に篭って仕事をしていることもある。

 その王立図書館の中でも特に重要な文献が貯蔵されており、一般人の立ち入りが禁止されている部屋がある。

 重要文献特別室。

 そこには国、あるいは世界の歴史に纏わる文献や、国の指定遺産文書など様々な本が収められている。

 魔道書もその中の一つで、一般人には決して見ることの出来ない文献となっている。


「すみません。こちらの特別室へ入りたいのですが。これが許可証です。」

「少々お待ちください。」

 受付嬢はそれを見ると慌てたように奥の部屋へ入っていく。

 数分すると白髪の男性と共に戻ってきた。


「お待たせしました。こちら、今回担当致します、スワートです。」

「スワートです。今回の特別室でも目的はなんでしょうか?」

「魔道書の閲覧です。」

「畏まりました。特別室内での行動は私の指示に従っていただきます。よろしいでしょうか?」

 かなり堅苦しいようだ。エイルとディルは行かずに待ってるらしい。


 特別室内の本棚は全て魔法による封印をされていて、案内の許可なく手にすることが出来ないようになっている。

「魔道書はあちらになります。どの魔法について調べたいでしょうか?」

 魔法と言っても沢山の種類がある。大きく分けて、『黒魔法』『白魔法』『暗黒魔法』『時系列魔法』そして、『召喚・精霊魔法』である。

 この内、『時系列魔法』と『召喚・精霊魔法』は遠い昔に扱えるものがいなくなった【古の魔法】と言われており、『暗黒魔法』はその危険度から使用を禁止されており、実際に使えるのは『黒魔法』『白魔法』の二つだけなのである。

「見ることが出来るものの中で、魔法を覚える為の本を出来るだけお願いします。あ、知識に関するものは要らないです。」

「畏まりました。となると……こちらの四冊ですね。あちらのテーブルをお使いください。では、ごゆっくり。」


 それは黒魔法初級、中級と白魔法初級、中級だった。

「ちょっと試したいことがあるんですよ。」

 オレはそう言うとその本をドンドン捲っていった。

 一応見てはいる。一秒で2ページずつ捲っていく。

 その本の全ページをめくり終わると、メニューから『世界辞書』を選ぶ。

 この機能は使ったことが無かった。これは自分が見たり聞いたりしたことが項目として増えていくのだ。その為最初はほぼ何も書かれていなくて、使う機会が無かったのだ。

 世界辞書には魔法という項目が出来ており、その中に今見た黒魔法初級がある。

 詳細を見ていくと……成功だ。本に書かれていることが分かりやすく纏められそこに記されている。


「これで後から見たほうが楽だな。」

「レイジくん、あまり早く終わると怪しまれるよ。」

 確かにそうだ。こんなところで悪目立ちは良くないのだ。

 とりあえず世界辞書に登録させていき、終わったものからミルファに渡していく。

 ジョブ変更をしてみる。すると、『魔道士』『僧侶』が増えている。

 とりあえず目的は果たした。後はミルファが一冊読み終わるのを待って、時間を費やすだけだ。


 一時間後ミルファも読み終わったので、残りは読んでるふりをしながら三人で談笑して過ごした。

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