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白狼②

75:VIPがお送りします


そこから、老兵の素性について話されたんだ。


どうやら老兵は。


この土地の神主の――


「慣れ果て」だったらしい。



76:VIPがお送りします


……は?



77:VIPがお送りします


神主の何?



78:VIPがお送りします


「慣れ果て」って何だよ。



79:VIPがお送りします


慣れ果て?



80:VIPがお送りします


俺も最初は意味が分からなかった。


曾祖父さんも分からなかったらしい。


ただ。


老兵は自分のことを、そう呼んだ。



81:VIPがお送りします


80


結局なんなんだよ



82:VIPがお送りします


76


それも後々話す技術だから、少し待たれよ。


今ここで説明すると、たぶん話が分からなくなる。



83:VIPがお送りします


なんだその言い方



84:VIPがお送りします


ただ一つ言えるのは。


その老兵は、普通の人間ではなかった。



85:VIPがお送りします


神主本人じゃなくて「慣れ果て」ってのが怖いな



86:VIPがお送りします


曾祖父さんは。


老兵の話し方を聞いているうちに。


これが嘘じゃないと分かったらしい。


白狼を食べたこと。


自分だけ何ともなかったこと。


土地に起きる不運のこと。


そして。


自分自身がどうなるのか。


全部。


老兵は知っていた。



87:VIPがお送りします


曾祖父さんどうしたんだ?



88:VIPがお送りします


情けない話だけど。


曾祖父さんは、老兵に縋り付いた。


戦争から帰ってきたばかりで。


家に帰れば何とかなると思っていた。


でも。


自分が知らないものを食べて。


知らないものに取り憑かれて。


知らない土地の神様を殺して。


そのせいで、これから何が起こるのかも分からない。


そんな状況だった。



89:VIPがお送りします


だから老兵に頼んだ。


「助けてくれ」


って。


すると老兵は。


しばらく曾祖父さんを見たあと。


こう言った。


「なら、俺のところへ来い」



90:VIPがお送りします


老兵は。


神みたいなものだった。


白狼から曾祖父さんを守ることもできた。


ただし。


その代わりに条件があった。



91:VIPがお送りします


曾祖父さんを。


自分の養子にする。


そして。


自分の仕事を手伝わせる。



92:VIPがお送りします


つまり。


曾祖父さんは、その土地に残ることになった。


自分を助けてもらう代わりに。


老兵の仕事を継ぐために。



93:VIPがお送りします


そして。


それが俺の一族の始まりだった。



94:VIPがお送りします


曾祖父さんはその後。


老兵から色々なことを教わった。


怪物のこと。


神のこと。


土地のこと。


そして。


「諏訪之瀬」のこと。



95:VIPがお送りします


俺の一族は。


そこから代々、その仕事をするようになった。


だから俺が子供の頃には。


もう、それが「家業」になっていた。



96:VIPがお送りします


ただ。


ここで一つ問題がある。



97:VIPがお送りします


曾祖父さんが白狼を殺したのは。


戦争中だった。


つまり。


老兵が曾祖父さんを養子に取った時には。


まだ、白狼が死んだ直後だった。



98:VIPがお送りします


じゃあ。


俺の一族が何代も怪物退治をしてきた理由は。


「仕事を継いだから」だけじゃない。



99:VIPがお送りします


たぶん。


あの白狼を殺したことが。


全部の始まりだったんだ。

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