白狼①
35:VIPがお送りします
まず俺が家業を知るようになった話。
前半半分は曾祖父さんの話だけどw
だから、後半までは俺に直接繋がらない。
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36:VIPがお送りします
うちの曾祖父さんの青年の頃の話になるんだけど。
戦争で、曾祖父さんも兵士だった。
当時は食料が貴重だったらしくて、現地ではほとんど自給自足だったみたい。
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37:VIPがお送りします
何戦争?
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38:VIPがお送りします
詳しくは伏せる。
兎とか猪とかを捕まえて、食べてたらしい。
ある日、曾祖父さんが一人で獲物を探していた時。
老兵らしき男から、
「白狼を見なかったか」
と聞かれた。
当然、曾祖父さんは見てなかった。
というか、そんなものがいることすら知らなかったから、
「知らない」
とだけ答えて、その場で話は終わった。
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39:VIPがお送りします
白狼って普通の狼?
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40:VIPがお送りします
その時の曾祖父さんも、そう思ってたらしい。
ただの、珍しい白い狼だと。
だから。
数日後、曾祖父さんがそいつを見つけた時も。
何も疑わなかった。
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41:VIPがお送りします
その頃には、曾祖父さんは餓死寸前だった。
数日、ろくに食べていなかった。
だから。
“白狼”を撃ち殺してしまった。
42:VIPがお送りします
おいおい。
それ大丈夫なのかよ。
白狼って、さっきの老兵が探してたやつだろ?
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43:VIPがお送りします
曾祖父さんは、その白狼を仲間のところまで持ち帰った。
そして。
早速、鍋にして食っちまった。
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44:VIPがお送りします
食ったのかよwwwww
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45:VIPがお送りします
でも。
食べ終わってから、すぐだった。
白狼を食った仲間たちが、一人、また一人と倒れていった。
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46:VIPがお送りします
吐いたり、痙攣したり。
死んだ奴はいなかったらしい。
でも、一時は本当に全員死ぬんじゃないかと思ったみたい。
不思議なことに。
曾祖父さんだけは、何ともなかった。
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47:VIPがお送りします
食中毒じゃね?
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48:VIPがお送りします
曾祖父さんも、そう思ったらしい。
白狼の肉が腐っていたのか。
あるいは、普通じゃない病気を持っていたのか。
でも。
倒れた仲間たちは、しばらくすると全員回復した。
後遺症もなかった。
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49:VIPがお送りします
じゃあ何だったんだよ
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50:VIPがお送りします
分からない。
その時の曾祖父さんたちにも。
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51:VIPがお送りします
ただ。
曾祖父さんだけが、白狼の肉を一番多く食っていたらしい。
それなのに。
一人だけ、何ともなかった。
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52:VIPがお送りします
それ絶対フラグだろ
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53:VIPがお送りします
その後、戦争が終わった。
曾祖父さんは生き残って、故郷へ帰ることになった。
その帰還の日。
あの日の老兵が。
曾祖父さんの前に現れた。
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54:VIPがお送りします
怖い怖い怖い
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55:VIPがお送りします
老兵は。
殺気だった顔をしていたらしい。
曾祖父さんを見つけるなり、近づいてきて。
「白狼を食ったな」
と聞いた。
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56:VIPがお送りします
曾祖父さんは、そこでようやく分かった。
あの老兵は。
あの白狼を探していた。
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57:VIPがお送りします
もちろん。
食っちまったことについては悪いと思った。
でも、仲間たちは一瞬体調を崩しただけで、その後は何ともなかった。
だから曾祖父さんは。
「すまん。知らなかった」
くらいの感じで、軽く謝ったらしい。
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58:VIPがお送りします
すると。
老兵の顔色が変わった。
曾祖父さんの顔を、じっと見て。
しばらく黙ってから。
「おめえさん」
と言った。
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59:VIPがお送りします
「憑かれちまったか」
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60:VIPがお送りします
は?
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61:VIPがお送りします
曾祖父さんも、意味が分からなかったらしい。
ただ。
老兵は、それ以上説明しなかった。
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62:VIPがお送りします
そして曾祖父さんを。
有無を言わせず、寺まで連れて行った。
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63:VIPがお送りします
寺wwwww
急に怪談になったな
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64:VIPがお送りします
そこで。
曾祖父さんは初めて聞かされた。
自分が食べた”白狼”について。
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65:VIPがお送りします
あの白狼は。
ただの狼じゃなかった。
この土地に昔からいる。
“神”だったらしい。
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66:VIPがお送りします
は?
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67:VIPがお送りします
その白狼がいることで。
この土地の災いは、どこかへ流れていた。
逆に言えば。
白狼がいなくなれば。
流れるはずだった不運が、この土地に溜まる。
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68:VIPがお送りします
つまり。
白狼を殺したことで。
この土地そのものが、不運に導かれる。
そういう話だった。
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69:VIPがお送りします
曾祖父さんは。
当然、意味が分からなかったらしい。
戦争から生きて帰って。
ようやく故郷に帰れると思った矢先に。
「お前が狼を食ったから、この土地は不幸になる」
なんて言われたんだから。




