表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/10

第10話 昇格試験

 深夜。


「で、できた」


 上裸で格闘すること5時間、目の前の空間に血液で魔法陣を描くことに成功した。

 部屋に設置したバケツに、血液を落とす。


「クリムゾン……血液を出す魔法、相性いいみたいだ。無詠唱でも使える」


 頭の中で『クリムゾン』と唱えるだけで、右手の先から血液を生成できる。無詠唱魔法なんて初めてできた。

 無詠唱のデメリットとして血液の生成量が完全詠唱時より減っているけど、魔法陣を描く分には問題ない。全然足りる。


 なんか、魔法のセンスが開花しているような気がする……コンボフレイムやコンボアイスをいっぱい使ったおかげかな。


 最初こそ左胸に魔法陣を描いていたけど、もうそれも無い。心臓にマナを溜めるコツは完璧に掴んだ。


(クリムゾン)


 手の先から血液を出し、その血で魔法陣を描く。


「アイス」


 左手から氷を魔法陣に向けて発射。魔法陣は氷を吸収する。


「バウンド」


 わたしが唱えると、魔法陣が吸収した氷を発射した。氷は台所の洗い場に落下する。

 血液魔法陣――完全会得。わたしは畳の上に大の字で寝そべる。


「これがあれば、相手の魔法は封殺できる」


 クリムゾンは自身の血液を複製し、発射する魔法。血液にマナを通すとその分少しだけマナ消費が大きくなるが、問題ない範囲だ。


 しかし、『コンボ魔法』に『血液魔法陣』……他所の魔法のレベルは凄い。なんでここまで差があるんだろう。


「……歴史の差、かな」


 他の次元の人達は魔法やマナを『当然の物』として捉えていた。わたしたちの世界は違う。まだこれらの技術は超常の力だ。当たり前、ではない。


 ダンジョンが出来てまだ50年程。つまり、魔法の歴史もまだ50年。50年という数字は、他の次元の人達からしたら浅いのだろう。今度エデンさんに会ったら魔法の歴史を聞いてみようかな。


 そんなことを考えながら、わたしは上裸のまま畳の上で寝てしまった。



 --- 



 翌日。

 畳の上で寝たせいで首と腰を痛めてしまったが、なんとか予定通りの時刻に起きることはできた。

 支度をしてギルド協会に向かう。

 ギルド協会に入り、指定された場所、Fエリアの受付に足を運び、女性の協会員に受験票を提出。すると、協会員の女性に『3』と書かれたバッジを渡された。バッジを胸に着けると、施設内の大部屋に案内された。


 円形の土のフィールドがある大部屋。部屋の奥に設置された長机には協会員と思われる制服の人達が座っている。


「あちらの椅子に座ってお待ちください」


 お姉さんに言われた席に向かう。

 フィールドのすぐ横に並べられた3つの椅子、あれが受験者の席みたいだ。すでに椅子は2つ埋まっている。受験者はあの2人とわたしで3人か。

 わたしは最後の空席に座る。

 左をちらりと見て、他の受験者を確認。

 銀髪のちっちゃな女の子(受験番号2)と顔に傷のある男(受験番号1)。銀髪の女の子は顔を青くさせ、体を震わせている。男の方は余裕そうに鼻歌を歌っている。両極端だ。


 わたしはと言うと、緊張は無かった。ここまで来たら蓄積した技術を発揮するだけ。自信はある。


「はい。少し早いですが、受験者が全員集まったので説明を始めますね」


 と、協会員の1人、ロングヘアーのお姉さんが土のフィールドの中央に立ち、説明を始めた。


「試験内容はプラチナランクシーカーとの1対1の決闘になります」


 ひぇ。と隣の女の子が小さな悲鳴を漏らす。

 試験官はシルバーランク以上のシーカーとは聞いていたけど、まさかプラチナとはね。


「ただし、対戦相手であるシーカーは武具を使いません。消費アイテムやスクロールも使いません。魔法と肉弾戦しか(おこな)いません。あなた方も消費アイテムやスクロールは禁止とさせていただきます。ただ武具の使用は大丈夫です。制限時間は20分。フィールドの外に出たり、背中を地面に着けたらそこで試験は強制的に終了します。それと、もしも棄権したい場合は『ギブアップ』と口にするように。試験は両者がフィールド端の白い線についたら始めます。もちろん、相手のシーカーに勝つことが昇格の必須条件ではありません。大事なのは内容です。ブロンズランク足る『力』を見せてください」


 ひとしきり説明を終えた協会員のお姉さんは腕時計を確認する。


「……遅いな。もう暫しお待ちください」


 どうやら試験官を務めるシーカーが来ていないようだ。


「なんだよ。まだ来ていないのか、あの人」


 受験番号1番の男が言う。


「……試験官が誰なのか、知っているのですか?」


 わたしが聞くと、男は小さく笑い、


「ああ。俺の従兄弟(いとこ)なんだ。この試験に合格したらギルドに入れてもらう約束をしている」

「えっと、試験官さんは、お優しい方ですか?」


 受験番号2番の女の子が聞く。


「ああ。優しい人だよ」


 なんか裏がありそうな言い方だった。

 試験開始時間から遅れること20分。ようやく試験官は到着した。


「うぃーっす」


 遅れた癖に悪びれもせず部屋に入ってきたのは――ドレッドヘアーの男。


「げ」


 ……最悪だ。


 胸元のはだけた白いコートに革の長ズボン、あの髪型……間違いない。


「今回試験官を務める宝城阿久津です……って、あれぇ? 知っている顔がいくつか居るなぁ」

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ