体力があるって素晴らしい
目が覚めたら異世界だった。
ひ弱で病気がちだった俺は、どうやら前世で死んでしまったらしい。
現世の俺はリクド・アルスベールという名前の五歳だ。
謎の高熱を発症して3日、熱にうなされているときに前世のことを思い出した。
(ここでもまた病気がちなのか……)
高熱を出して苦しんでいた俺は、当然のように考えていた。
けれどもそれは間違いだった。
リクド・アルスベールはその後、風邪を一回も引いていない。
身体を鍛えたら鍛えただけ強くなる、頑健な子どもだった。
この世界にはレベルが存在するらしく、剣も魔法も、魔物もいる。
ゲームの世界みたいで楽しい。
ステータス画面も見られる。
他の人間はそんなことをしている素振りがないので、俺だけの特権みたいだ。
レベルは──1。
基本的な能力も最低値だ。
軒並み1で、唯一5なのは体力だけ。
体力。
そんなものに縁がない人生だった。
しかし俺はこれから変わることが出来るだろう。
なにせリクドは頑健だ。
その上、俺という前世の記憶もある。
「体力があるって素晴らしい!」
俺は、外に出られるようになってから毎日走るようになった。
走るだけで楽しい。
親に倒れるか心配されることもない。
なぜなら頑健だから。
俺はこの素晴らしい肉体に感謝した。
鍛えるほどに結果が出るレベルという概念に感謝した。
この世界の人にレベル上げをするという考えはない。
身体を鍛えるという意味での騎士団とか冒険者はいるっぽいが。
レベル上げ。
ひ弱な自分の代わりに強くなっていくゲームのキャラクターたち。
どれほど羨ましかったか。
また、どれほど虚しかったか。
しかしこれからは俺がそのキャラクターたちと同様、レベルを上げることが出来る。
それがどれほど嬉しいか。
ということで俺は、まだ五歳という身で草原に繰り出す。
そしてレベル上げの第一歩として、ゴブリンを殴ってぶちのめすのだった。
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