【一章のあらすじまとめ】
立ち上がりが悪い一章の構成となってしまったのであらすじまとめました。
ここまで読んできて下さった方はスキップしてもらって大丈夫です。
【第一章】 冒険者ギルドは独自の戦力を保有しないものとする。
【ギルド憲章 第六条】
冒険者ギルドは独自の戦力を保有しないものとする。
ギルドは軍備を持たず、いかなる軍事行動も行わない。脅威への対処はすべて、後援国家の戦力、あるいは後援国家から依頼を受けた冒険者によって行われるものとし、ギルドは仲介者としてのみ存在する。
【1話】
ダンジョンでモンスターを倒すことで手に入るドロップアイテムによって繁栄している世界。
六条からなるギルド憲章によって戦力の保持を禁じられた冒険者ギルドにおいて、ギルド戦力として暗躍する主人公ムクロ・スパルダ。
彼はステータス無しのレベル0にも関わらず、横流しされた魔具『無弦の鉄弓』を用いた犯罪者たちを素手で全滅させる。
仕事を終えて去る彼を見ながら、ギルドの連絡員たちは呟く。
「|我らが世界を支配せんために《ウト・レガルス・オルベム・ノルストム》」
【2話】
アルノーのダンジョンに併設された冒険者ギルド。
そこではムクロ・スパルダは無能極まりない職員として認知されていた。
うっかりそんな彼が担当する受付にやってきてしまった女性、上級冒険者ルナ・リングハート。
ムクロの無能っぷりに呆れるルナだったが、ドロップアイテムでも無い鉄剣をぶら下げている彼を見て「本当は冒険者に憧れているのではないか?」と考え、彼へと言い放つ。
「危険なこともあるけれど、冒険って楽しいわよ」
その言葉を聞いたムクロの表情を、ルナはついぞ見ることが無かった。
【3話~5話】
上級冒険者ルナがアルノーへやってきた目的はそのダンジョンの下層で手に入るドロップアイテムであった。
魔力の温存のために『輝ける道』『赤い円陣』『黒い蹄鉄』という3つのパーティを護衛に雇い、下層を目指すルナ。
熟練の中級冒険者である3つのパーティのお陰もあり、ルナは万全の状態で中層の階層主の元までたどり着く。
そして65という高レベルのルナは3つのパーティが苦戦する階層主を一撃で屠り、下層へと足を踏み入れた。
レベルの制限により護衛パーティが帰還したことで1人下層を進むことになるルナ。
道中の魔物に対しては苦戦せずにいた彼女だったが、その後のことを考え1つの「おまじない」をすることにする。
その「おまじない」とはステータス・ウィンドウに載らない身体強化の魔法だった。
他の魔法と効果が重複するそれのお陰で、ルナは若くして高レベルの冒険者となれたのだ。
だが、その後に現れたモンスターにルナは苦戦する。
ルナの知る道理では、モンスターに一撃を食らっても死ぬはずはない。
だがどうしても目の前に迫る顎に死の恐怖をおぼえてしまったルナはその黄玉色の瞳を涙に濡らす。
「泣くんじゃねぇよ。そんな顔で」
そんな言葉とともに、モンスターは1人の男に斬り倒される。
その男こそ、ギルドの無能職員であるのはずのムクロ・スパルダだった。
【6話】
地上の酒場でムクロと合流したルナは、彼に下層での自体の説明を求める。
ムクロは自身の身分がギルドの監査局員であるとルナに伝える。
そしてアルノーでは現在、ギルドの汚職職員と一部の冒険者が結託してドロップアイテムの横流しが行われていることをルナに明かすと、下層での出来事の情報を報酬として、ルナに調査への協力を依頼する。
それを受け入れ、ムクロに協力することにするルナ。
二人は乾杯をする。
「共に冒険へ」と。
それには「共犯者」という意味も込められていた。
【7話】
ギルドの施設内でレイテ・レノなる女性と合流するムクロ。
彼女は「電話機」の修理のために呼ばれたムクロの同僚であった。
ムクロを先輩と呼び慕うレイテをあしらいながら、ムクロはギルド長、ファラキア・エルフと電話での密庵を行う。
そこで明かされるのはムクロの本来の目的はある『候補者』の調査であったこと。
そして予定外の新たな『候補者』であるルナをムクロは推し量るつもりであるとファラキアに告げる。
ルナに依頼した調査を『茶番劇』と思いながら。
【8~12話】
ルナは調査を行い、『黒い蹄鉄』こそが怪しいと睨むが、ムクロとともに推理することで横流しに関わっている冒険者パーティが『輝ける道』であると気付かされる。
そしてムクロの手引によって衛兵団から捕縛クエストを依頼されたルナは、それに参加する。
衛兵団のみならず、ギルドを監視する役目を担う監査騎士団までもが参加した『輝ける道』の摘発は、彼らの借家の爆発や奇襲により一挙に戦闘へと陥るが、監査騎士団の用いる『瀑布の鉄弓』の圧倒的攻撃力を前に、『輝ける道』のメンバーたちは惨殺される。
だが、横流しした魔具を用いて『輝ける道』のリーダーであるルークは包囲を脱する。
それを追い、彼を追い詰めるルナ。
最後にこの横流し事件に黒幕がいることと、ムクロ・スパルダなる男が存在してはならないはずの『ギルド戦力』であることをルナに伝え、ルークは監査騎士団によって射殺される。
【13話】
摘発を終えたルナはムクロを問い詰める。
横流し事件の犯人について、ルナに依頼するまでもなく全てを知っていたのではないか? そして彼自身は存在してはならないはずの『ギルド戦力』なのではないかと。
ほんの少し、否定して欲しい気持ち抱くルナだったが、ムクロはルナの推理を受け入れる。
自首することを勧めるルナに、ムクロは剣を抜き放つ。
ムクロを捕縛しようと魔法を発動させようとしたルナだったが、ムクロの一言とともに魔法は掻き消え、のみならずステータスの加護まで失われる。
ルナの自慢のドロップアイテムを叩き折ると、ムクロは彼女に強烈な一撃を加える。
「まあ、そんなわけで。無力さを噛みしめてくれ」
ルナの意識は暗転する。
【14話】
暗い森の中をゆく馬車にルナは乗っている。
同乗するのは軽い調子の女性レイテ・レノ。
彼女によって真実が告げられる。
「レベル、ステータス、属性、経験値、スキル、モンスターにドロップアイテム。それらは《《全部》》、《《嘘なんです》》」
ルナをはじめとした冒険者たちは、実は全く強くなっていなかったのだと。
「ルナさんがそうであるように。魔法とはレベルアップして覚えるものだ、戦えば強くなるんだと誤解させて、《《魔法への理解を遠ざける》》。コレがダンジョンのひとつめの目的。ふたつめの目的は便利な道具をポコポコ与えて、科学や技術の発展を妨げつつも、《《社会だけは発展させて人間の数を増やす》》こと。みっつめの目的は、そうして《《増やした人類から魔力を奪う》》こと」
そしてダンジョンに依存する現代の社会が何のためにあるのかをレイテは語り、そして明かす。
一体ダンジョンとは何なのか
「この恒星系の遥か彼方から放たれた魔法の波。《《恒星間侵略魔法》》」
ダンジョンとは、遠い星から放たれた魔法の産物。人類の成長を阻み、搾取するための侵略魔法であった。
「端的に言うと。ワタシたちは戦った実感すら無く負けて、成長していないのに成長した気分にされて、搾取されている実感すらなく搾取されて、この惑星に来たことすら無い連中に支配されてるってことです」
レイテの話す単語の意味すら理解し難いルナ。だが分かることもあった。
ムクロたちギルド戦力とは、ステータスではない『本当の魔法』を使って、そんなダンジョンそのものと戦っているのだと。
|我らが世界を支配せんために《ウト・レガルス・オルベム・ノルストム》
その言葉の持つ意味は、いま《《現在》》、《《我々のものではない世界》》を、取り戻そうとする決意表明だったのだと。
そしてルナは、新たなギルド戦力候補としてムクロに見出されたのだとレイテは告げる。
これまでの人生が失われたことを嘆くルナに、レイテはもう戻れないと告げる。
ひとつは、ルナのステータスはもう失われたから。
そしてもうひとつは。
レイテは告げる。
「そしてなにより。『本当の魔法』を使える人間を見つけると、ダンジョンはそういう人間を殺してしまうか―—『端末』に変えてしまう」
下層は特に危険です。深層から他の『端末』が登ってきますから。
【15話】
ところかわってダンジョン深層。
ムクロがダンジョンに潜っていたのはルナの前に素質をもつと判断された冒険者の最期を確認することだった。
そこでムクロはダンジョンの『端末』と接触する。
それはかつて500年前、ムクロや他の仲間と共にダンジョンに挑み、そし端末化・不老化された友グラウであった。
グラウから、ルナの前の『候補者』の死を聞き出し、そして洗脳から逃れる術がないことが示される。
ダンジョンの側につこうと誘うグラウを、ムクロは拒絶する。
ムクロはグラウを一撃で殺すべく跳躍する。
【16話】
もっとも簡単な魔法である「魔法妨害の魔法」により、『本当の魔法』を使う者同士の戦闘は近接戦闘へと収束する。
一撃での決着を逃したムクロは、破壊力に優れた鉄棍と『回復魔法』を用いるグラウに不利な戦いを強いられる。
だが、片刃剣術の奥義を用い、ムクロはグラウを斬り捨てる。
「次はどんな冒険に」
最期にそうつぶやくグラウを仕留め、ムクロは一言「ちくしょう」と呟く。
そして物語は2章へと突入する。




