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五章エピローグ いざメルトの世界へ……?

話数どうにか足りました

 メルトがクウを狙うのは、自分達の世界を救って欲しいからだった。その目的を叶えるのはとてつもなくハードルが高いが、それでもクウを悪用するのが目的で無いだけまだマシである。

 だから俺は、メルトの出したその要望を飲むことにした。


「だ、ダメよダーリン、そんな奴らの言うこと聞いちゃ……!」

「大丈夫だよ、ここから先は全部俺に任せてシンリーは安心して傷の治療に専念してくれ」

「せっかく会えたのに、また離れ離れになんてなりたくない!」

「っ、ああ俺もだよ。だからすぐに帰ってくるから心配すんなって」


 俺はメルトと共に行く決断をしたが、シンリーは当然それに反抗してくる。当たり前だ、俺と彼女は昨日ようやく四百年ぶりの再会を果たしたばかりだと言うのに、俺がまた別の世界に旅立とうとしているのだから、怒るのも無理はない。

 だが、今度は封印される訳ではなく己の意志で離れ離れになるのだから、きっとすぐにまた会えるはずだ。


「……嫌よ、私は嫌!お前達がどうしてもダーリンを連れて行くって言うのなら、この身を犠牲にしてでもそれを止める!」

「シンリー……」


 だが、残念ながら怒り狂うシンリーに俺の言葉が届くことはなく、彼女は殺意の炎を滾らせてメルト達を睨みつける。その目には彼女の覚悟が写っており、恐らくは止めなければ本当に己の身を賭してでもメルト達を妨害するのだろう。


「クウ、シンリーを村まで送ってやってくれ」

「ちょっ、ダーリン!?それはダメ――」

「クウ(分かったよ)」


 だから俺はシンリーの為を思い、今は彼女を遠ざけるのだった。拒むシンリーをクウのワープホールで無理やり村まで強制的に送り、彼女が妨害出来ないよう細工する。


「アカリ、お前は本当に、それでいいのか……?」


 シンリーがこの場から姿を消すと、地面に横たわっているガゼルが満身創痍ながら俺にそう尋ねてきくる。あいつももうボロボロで意識を保っていることすら辛いはずなのに、ここまでよく耐えてくれた。


「ああ、しばらく留守にするから、その間こっちのことは任せるぞガゼル」

「ふん、それは俺には、重すぎる命令だな。だから少しでも早く、帰って来いよ」

「分かってる……」


 ガゼルには俺が去った後のことを全て任せた。それは一人が背負い込むには明らかに過剰な頼み事だろうが、残念ながら今は彼一人に任せる他ない。それは本人も理解しているようで、渋々ながらも了承してくれた。


「別れは済んだか?ならとっととこの世界から出発するぞ。長居してまた邪魔者が増えても面倒だからな」

「ああ、分かってるよ。俺だってこれ以上仲間達が傷つくのはごめんだからな。早く行こう」


 俺がガゼルとの別れの挨拶を交わしたのを見届けたメルトは、出発を促してきた。奴の言う通り俺の仲間達がまたここに戻ってきたら、抑え込むのには苦労するだろうし、怪我人が出るリスクもある。だから俺もその言葉に従って、いよいよ出発のときを迎えるのだった。


『クウ……?(アカリ、ほんとにいいの……?)』

「俺は大丈夫さ、それよりも、またクウに負担を掛けることになって本当にごめんな。頼りない主で申し訳ないよ……」

『クウ!(クウはアカリと一緒ならどこにだって行けるよ!だからクウのことなら大丈夫!)』

「ははっ、ありがとう。クウは強いな」


 メルトの元へ向かって痛む体を引き摺りながら歩いていると、クウが心配げに声を掛けてきた。本当に大変なのはクウの方だというのに、俺の身を案じてくれて本当に素晴らしい竜だ。

 これから向かう世界がどんな場所だろうと、クウだけは必ず元の世界に連れ戻すと俺は心にそう誓う。


「トリーラ、連続使用はこたえると思うが任せるぞ」

「それが私の役目だから当然よ。その為に私はここに居るのだから」

「ああ、本当に感謝している」


 痛む体を抑えながらようやくメルトらに合流すると、桃色の魔石を操る女性が、特大の鏡を出現させた。恐らくはクウと似た力を持つあの鏡が、この世界と彼らの世界を繋ぐ扉なのだろう。

 そんな壮大な力を人一人の身で使いこなすとは、この集団の中で最も有能なのは彼女なのかもしれない。


「ここを通れば俺達の世界に入ることになる。詳細は向こうに行ってから詳しく説明するつもりだから、間違っても移動中に下手な真似はするなよ?」

「分かってるよ、この状況でそんなことするかっての」


 世界を移動することの危険性は、世界を一から創造したことのある俺が一番よく理解している。だからこの期に及んで無駄な悪足掻きをするつもりは無い。


 と、この時の俺はそう思っていたのだが、残念ながら俺の意図しないところでイレギュラーというのは発生するものである。


「開いたわ、あまり長持ちしないから早く移動して」

「了解だ、全員すぐに移動を開始しろ!アカリ、貴様は俺と一緒に入ってもらうぞ」

「あいよ」


 メルトの仲間が世界を繋ぐ扉を開くと、その中へ奴の仲間が次々と飛び込んでいく。一人入る度に淡いピンクの輝きが放たれる光景は、なんとも幻想的なものであった。

 そして彼らが入っていくのを眺めていると、とうとう俺の番が回ってくる。


「さぁ、後はあなた達だからとっとと行って」

「だとさ。どうやって行くんだ?」

「貴様はそんなボロボロの体じゃ移動も困難だろ。俺が抱えてやるから離れるんじゃないぞ」


 残りは俺とメルトと、そして扉を開いている彼女のみとなったところで、メルトが俺の左肩を掴んでくる。恐らく右腕は折れているから、気を使って左側なのだろう。お前自身もボロボロのよくやるよ。


「ついさっきまで戦ってた奴に抱えられるとか、まるで俺が負けたみたいな扱いだな」

「はぁ?何言ってんだ。今回はお前の負けだろうが」

「いやいやいや、別にまだ負けてねぇよ……!」

「はいはい、どっちが勝ちでもいいから早く行ってちょうだい!」

「「どわあぁっ!」」

 

 先程の戦いはどちらが敗者かという話になり俺とメルトが言い争っていると、扉を開けた彼女が後ろから思い切り蹴って押し込んできた。うちの仲間も大概だが、メルトの仲間も随分と荒っぽい連中が多いらしい。

 ともかくそうして、俺は桃色の鏡を通ってメルトの世界へと向かうのだった。

 ただ鏡に入る直前、こちらに向かって走ってくる者が視界に入り、その人相から少し嫌な予感を掻き立てる。


「いや、まさかな……、さすがに気のせいだろ――」

「王子様―!今助けに参りました!」

「ごめんメルト!一人余計なのが着いてきた!」

「やっぱり気のせいじゃなかった……!」


 俺は自分の視界に入ったものはただの見間違いだと忘れようとしたのだが、残念ながら現実がそれを許さなかった。

 なんとあの鏡の扉に、リリフィナが入って来てしまったのだ。


「王子様を狙う不届き者共、今こそこの私が天罰を下す……!」


 恐らくは俺を助ける為に着いてきたのだろうリリフィナは、魔道兵器を乱射しながら俺達に急接近してくる。


「なっ!くそっ、この空間で攻撃してきやがって……。下手すると時空の狭間から一生出れなくなるぞ!」

「やっぱそういう系だよなここ。お前の世界はすぐつかないのか?」

「ああ、世界と世界の移動はどうしても時間が掛かるんだ。とにかくこのままじゃ全員遭難する。早くあいつを止めろ!」


 空間を瞬時に移動する力をもってしても、世界と世界の壁は分厚く移動までにはそれなりの時間が掛かる。そしてその間の道のりであるこの空間は、道を誤れば二度と出て来れなくなる危険な場所であった。

 だからメルトも面白いほどに取り乱して、リリフィナを説得する様叫び散らしている。


「分かってるって。おいリリフィナ、ここは危ない場所だから一旦は落ち着け!話なら後でゆっくり――あっ」

「す、すまん!腕を弾かれた!」

「おいおいおいおいおい!嘘だろぉー!?」


 メルトに頼まれどうにかリリフィナを宥めようとする俺だったが、残念ながらその言葉が届くよりも先に、彼女の魔弾が俺を支えていたメルトの腕に直撃した。

 そしてその結果支えを失った俺はメルトとは離れ離れになり、時空の穴へと落ちていってしまう。


「王子様、今助けますからねー!」

「むしろ悪化してるんだよ!うわああぁぁぁ!」

「え?あれ、きゃあああぁぁぁぁぁ!」

「おい!アカリ!アカリーーー……」


 メルトの俺を呼ぶ声がどんどんと遠くなっていく中、俺は時空の彼方を彷徨うこととなった。しかし何故か俺の後ろには、リリフィナがピッタリと着いてきており、彼女もまた同じ状況に苛まれている。

 何故メルト達ですら自由の効かないこの場所で、お前だけは俺の後をピッタリと尾行しているのか、そのことだけが疑問だ。


 ともかくこうして、俺はメルトの世界に向かうはずがリリフィナの妨害に逢い、不安定な空間を彷徨う羽目になるのだった。


五章までの灯のステータス


竜胆 (アカリ・リーシャン)


戦闘力:メルトとの対戦時はクウのワープを完封されてしまい、魔力を全て肉体強化に回すことで補った。本来ならトイブラスターショートを使っての戦闘を考えていたが、急な襲撃で用意をしておらず、大幅なダメージを受ける結果となる。

本人曰く、それでもまだ負けではないらしい。


精神力:シンリーの登場によって、女性陣の悩みに更に磨きがかかってきた。本人は誰とも深い関係になるつもりは無いのに、周りだけで盛り上がっている為いつも辟易している。そしてシンリーの想いが四百年の時を経て重症化していることもまた、アカリを悩ませる種の一つであった。


所持金

1127万ポット:基本森での活動しかないので、ほとんど減額無し。主に使ったのは森に入る前の物資調達である。


所持魔道具

・トイブラスター…アカリ専用の魔道兵器。自身の魔力を弾にする為、弾薬を補充する必要が無い。引き金を引き続けることでビームを放てる。

・トイブラスター用アタッチメント「ショート」…魔弾を近距離で拡散させる威力重視の追加装備。銃口に付けることでトイブラスターの威力を上げるが、その分射程が十分の一に減衰するのが弱点。


・モンスターボックス…魔獣を入れて置ける特殊な檻。

・モンスターリング…魔獣の居場所を知ることが出来る指輪。

・モンスターピアス…魔獣の話す言葉の意味が分かるようになる耳飾り。

・モンスターガントレット…魔獣と融合出来る小手。

・マジックストレージ…魔力を保存しておける筒。メルトとの戦闘でほぼ空になった。


現在の仲間

・クウ(ディメンションドラゴン。伝説の竜)

・リリフィナ(くっつき虫)


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