出会い
俺達はSNSという広い海の様な場所で出会った。
SNSには本当色々な人、いや、俺には魚に見えてしまう。いつも悪口ばかり書き込み投稿し、人をジワジワと殺していく毒を持っている様な魚の人、見た目が華やかで綺麗だが見た目だけで中身がスカスカで短命な人、ただの一般人、等が海に漂っている。
「はあ...綺麗なものばかり流れてこればいいのに最近は見てると心が汚れてくる様なものばかりだな。」
そんな時1人の投稿に目が触れた。
(ここはまるで海みたい)
という一言と小さな金魚が袋に入っている写真が1枚。祭りで取ったのだろうか?気付いたらフォローをしDMを送っていた。
(初めまして。貴方はこのSNSを海みたいだと思いますか?自分もここは海のようだと考えていたので奇遇だと思い連絡させて頂きました。)
「....何送ってるんだろ自分、よく考えたらこの金魚が入っている袋を海に例えてるかもしれないのに。どうしようか。送信を取り消そうか。」
長いため息をつきスマートフォンを閉じた。その時1件の着信音が鳴り響いた。画面を見ると彼女からだった。
(初めまして。同じ事を考えている人に初めて出会いました。お名前はなんというんですか?)
今まで誰とも考えが合わず孤立していた俺は初めて少しでも誰かと話が出来ることに高揚した。
(廉、れんです。)
そこからはよく覚えていない。他愛もない会話を沢山し、深い世界について語ったりもした。ああきっとこの人は運命の相手だ。そう思うのも当たり前だと思う。なぜならこんな広い海の中からここまで話が合う人と出会えるというのは奇跡に近いからだ。
(会ってみませんか?そう、どこか、私の知っているお店で良い喫茶店を知っています。)
胸が高鳴った。だが、俺は会う勇気はない。人は誰しも見た目が良い物を好むものだ。水族館へ行っても皆大きくて美しい、色鮮やか、だが俺は程遠い。例えるならただの赤い金魚だ。祭りで狭いプールで泳いでいる様な。小さくていかにも数ヶ月で死ぬだろうと思われるような。いや無理だ絶対に会うなんて。
「初めまして!夏帆です!」
黒い日傘を指し白いフリルのカーディガンを羽織った小柄で正直、地味な子だなというのが最初の印象だった。しかし文面や見た目からは程遠く明るくて活発な女の子だと知るのに時間はかからなかった。俺はなぜこの子から離れられなかったんだろう、そしてなぜ今目の前にいるんだろう。人間は好奇心には勝てない生き物なのだと気付いた。眩しい、眩しすぎる。
「廉です。じゃあ、そのオススメの喫茶店に案内してもらってもいいかな?」
俺達は歩き出した。太陽がアスファルトを照らしまるでスポットライトを照らしている様だ。だが、この子は日傘を刺しているので影に入っている。この時の俺の状況はこの後起こる事と繋がっていたのだろうか。今じゃもう分からない




