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正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第2章
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第18話 我が子に

「この時のセリカは知らなかったようだけど、お母様もお爺様も気づいていたそうよ。セリカが隣国の聖女の血を引いている家系の娘だってね」

 そういいながらお母様が少し寂しそうな表情で語られる。


「それじゃそれをご存知の上でセリカさんを王都へ?」

 一緒に聞いていたミリィも聞かされていなかったのだろう、お母様にセリカ母さんの事を尋ねている。

「お母様もお爺様も私の体調が良いのはセリカのお陰だって知っていたらしいからね、二人ともセリカの力を手放したくなかったようで私を近づけたらしいわよ。結局考えていた以上に私たちが仲良くなってしまって、その心配もなくなったのだけれどね。

 王都に戻ってからは客人として迎える予定だったのだけれど、セリカったらすっかりメイドとして呼ばれたのだと思い込んじゃって、そのままズルズルと私の専属メイドとしてお城までついてきちゃったのよ」

 そうだったんだ、でもそれじゃ公爵様はお母さんのことを。


「アリス、勘違いしないでね。お爺様もお婆様も国にセリカが隣国の聖女だって一度も報告はしていないわ」

「えっ?」

 国に報告していない? それじゃ何で公爵様はなんでお母さんを助けたの?

「確かにセリカの力を当てにしていなかったと言うのは嘘になるけど、それは本人が決める事よ。無理やり強制させて儀式をやってもらっても、そんなの何の意味もないわ」

「豊穣の儀式はね、ただ力があるだけではダメなの。祈る者がどれだけ国を愛しその地に暮らす人々の事を想っているのかが大切なのよ」

 そうお姉さまが優しく教えてくれる。


「それじゃセリカさんが儀式をしたというのは間違いなんですか?」

 噂ではお母さんが神域に一人で乗り込んで儀式を成功させたと言われている。そのお陰で荒れた大地が蘇ったと、毎年領主様から私にお礼の品が届いているのだ。

「それは本当よ、以前にも話したようにたった一人で成功させたわよ。その時の周りの反応ったら今思い出すだけでも笑いがこみ上げてくるわね」

 あ、あれは本当だったんだ。

 私は幼かったからお母さんがどんな人だったのか正直覚えていない、だけど中々のお転婆だった事が伺える。私と正反対の性格なんだ。


「私の力ではセリカさんの足元にも及ばない。でもね、アリスならセリカさんを超える事が出来るかもしれない。現にあなたは精霊の声を聞き自在に操れれる事が出来る」

「私がセリカと出会ったのはあの子が17歳の時。その頃に比べてアリスはすでに同等の力をもっているわ」

 それってつまり、現時点で私がお姉さま以上の力を持ってしまっているという事になるのだろう。私からすればお姉さま凄い聖女だと思っているのに。



「現在ドゥーベ側からアリスをケーレス王子の嫁に嫁がせろと書状が届いている。友好関係を築くためにと言ってな」

「お父様、それは!」

「なにそれ? 私がドゥーベに?」

 お父様が語った内容は余りにも残酷だった。貴族の女児なら私と同じぐらいの歳で結婚するのはさほど珍しくもない。私もたった今公爵家の血を引いていると知らされたばかりだ。でも……


「心配せずとも良い、大切な娘をドゥーベなんぞにはやるつもりは微塵もない。だがそうなると戦争は免れんだろう」

 ミリィの話によるとドゥーベ側の上層部は、先の戦争で負けたという自覚がないらしいので、敗戦者と信じているレガリアが断れば再び戦争になる可能性は高いだろう。


「なら、私も戦場に行きます」

「ちょっ、なに言ってるのよアリス。今自分の重要性は十分にわかったでしょ? そんなあなたが戦場に立ってどうするのよ」

「だからと言って騎士が、国が、人々が苦しんでいるのに私だけがお城でのうのう過ごしているなんて出来ないよ。だったら私の力で癒す事ぐらい出来る筈だよ」

 せめて戦ってくれる騎士達の傷を癒すぐらい私にだって。


「アリスの正体までは気付かれてはいないだろうが、聖女の力に関して既にバレているだろう。ドゥーベ側も真の聖女ともいえる存在の不在が続いている関係、アリスの力は喉から手が出るほど欲しい筈」

「まさかお父様はアリスを囮にでも使う気でいるんですか?」

「バカを言うな、大切な娘をそんな危険な目に合わすわけがないであろう。だがな、戦争は長引けば長引くほど国民を苦しめてしまう」

 ミリィもお兄様達も王族だから何が優先させるべきかが分かっているのだろう。私が聖女としてこの国を導くにしても、その事で国民が苦しんでいいわけがない。

 結局その日は結論が出ないまま夜が更けって行く。




 その日から丁度三ヶ月後、再びレガリア王国軍とドゥーベ王国軍が国境沿いで戦いの火蓋が切って下される。

 ドゥーベ王国軍はおよそ5万、対するレガリア王国軍は2万の騎士団で迎え撃つ。

 その時レガリアの若き公爵家の子息達の手には4本の光り輝く武器があり、全軍を指揮するエリクシール王子の手にも光り輝く剣が握り締められていたという。


 後に聖女戦争と呼ばれる戦いが始まるのであった


―― Fin ――


お詫び


 誠に勝手ではございますが、この回で一旦この物語は終了とさせていただきます。

 初めて何も考えずに書いた物語のため、プロットも構成も行き当たりばったりだったのと、この続きを書こうとした際見直した文章が余りにも酷かったので、改めて『改正版』として完全に書き直しをさせていただきます。

 ストーリーや物語と構成等はほぼ変わりませんが、一部のキャラを削除し新たに登場するキャラ、新たに追加するエピソード等ございますので、改めてお付き合いいただければ幸いです。

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