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冥王星の艦(ふね)  作者: 田中 健
序章
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序章

 月が漆黒の空に漂う深夜。


 黒い影が蠢(うごめ)く。漆黒のマントを纏(まと)った人影であった。


「各チーム目標の確認を」

俺は通信機に向かって静かに言い放つ。

少し間があり、

「アルファ、目標確認」

「ベータ、確認しました」

「ガンマ、目標確認」

・・・

作戦準備は順調に整っているようだ。


 巨大な建造物を見下ろしながらも、不思議と心は凪いでいた。

春を告げる風が頬に当たって気持ちが良い。


こんな夜はカフェでコーヒーでも飲みながら読書をしていたいものだ。

あのカフェの店員は今夜も働いているのだろうか。

今夜も可愛いのだろうな。


などと考えているうちに部下の一人が声をかけてきた。


「各チーム定点につきました。準備完了です。」

「ありがとう」

そう言い報告に来た部下の肩を叩いた。


「各自、準備ご苦労。現時刻を以て現在の世界に別れを告げる。」


永遠とも思える静寂が刹那流れた。


「作戦を開始する。武運を祈る。」


そう言うと通信機の向こうから「おう」と気合の入った返事が聞こえてきた。


この夜の出来事は忘れる事は出来ないだろう。


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