【職業神見習い】と自称女神
急いで自宅まで戻ると、師匠が荷造りを終えていた。
「どうしたの?ユーナちゃん。」
「良かった。まだ出発してなくて。」
2つ目の職業が勝手に【】になってしまう事と【農民】が固有スキル欄に出ている事を説明した。
「ごめんね。スキルは管轄外だからよくわからない。彼女に聞けばいいんだけど・・・ハァ。」
いつも明るいドゥさんが溜め息を吐くのはどんな人なのだろうか?
「彼女って、能力神様の事ですか?」
プロフエの神話は語り継がれており、殆どの人が知っている。
その中でも特に有名なのは能力神様、食神様、職業神様の三神。
私たちの生活には欠かせない神様達だからだ。
名前とその最後が語られているのは食神イト様だけである。
神話の時代が終ると同時にどこかの島国に隠居してると語られている。
「ごめん下さい。誰かいませんか?」
「はい、今行きます。師匠はここで待ってて下さい。」
お客さん?でも変だな?
門から1番遠い私の家に来るのはおかしい。
両親に用があるなら道中の教会にいるのだから来る必要がないし・・・
警戒しながら扉を開くと、そこには僕と変わらない位の年齢で黒髪のショートヘアの中性的な人がいた。
「旅の者ですけど、【職業神】候補の誕生と新しい固有スキル【農民】を見に来ました。」
なぜ職業と固有スキルの事を・・・
固有スキルは鑑定持ちでも見るのが難しい。
師匠は【職業神】の能力で【鑑定士】や【神官】等を使ってレベルの高い鑑定を行ってるけどこの人はどうやって知ったのだろうか?
私は黙って扉を閉めて壁に立てかけてあった農具(鍬)を持って扉をもう一度開けた。
しかし、客人はいなかった。
安心して扉を閉めて振り返ると目の前にさっきのの中性的な顔があった。
「成る程。コレは興味深い。」
「キャーーーーー!」
ホラー展開みたいな感じで余りにも怖かったので思わず悲鳴を上げてしまった。
「どうしたの?ユーナちゃん。・・・って何であなたが、ここに?」
師匠の顔が引きっつていた。師匠の知り合い?
「申し遅れました〜。スキルある所に私あり!
呼ばれなくてもいつでもどこでもあなたの側に!超絶可愛い女神、能力神マクロ・ミナセです☆」
・・・キャピってするのは良いんですが、見た目が中性的なので無理しない方がいいのでは?
キリッとしてた方のが良いのでは?
「ハァ・・・・。」
師匠は呆れながら溜め息をついた。
どうやら師匠はこの神様が苦手なようだ。