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「あなたは…」
私がおばあちゃんのお墓の前で手を合わせていると、後ろから声をかけられた。
「シンイさん…?」
振り向くと、リンドウの花束を持った白髪の美人さんがいた。
美人さんは私の前まで歩みを進めると、リンドウを墓前に置き私を強く抱きしめた。
「命日ですから、戻ってきたのですか?でしたら、先に教えてくださってもいいでしょうに。でも、どうやって戻ってきたのですか?黒百合の
「あ、あの…
「どうしたのですか?カレーが食べたいのですか?」
「いや、カレーは好きですけど…」
たしかに大好きだよ。
「私、シンイおばあちゃんじゃなくて…おばあちゃんの孫のタウチザクラです。」
美人さんはしばしの間目を見開いていたが、やがて懐かしむように目を細めた。
「…ああ、モクレンゲの娘ですか。いつのまにか…そんな時間がたっていたのですね。」
「あの…おばあちゃんかママの知り合いなんですか?」
「…ええ。」
へぇー。
「モクレンゲはどこに?」
「…ママは…七年前に病気で亡くなりました。」
「…そう、ですか。むかしから、体の弱い子でしたからね。」
…ママのこと、随分詳しいんだな。
「ところで…あなたは…?」
「私は…スノウとでもお呼びください。」
「え?…あ、はい・…。」
フルネームでは明かしたくないのかな?
「…あ、もう仕事の時間だ。ごめんなさい。帰らなきゃ」
「そうですか。それでは…
スノウさんは少し目を伏せると、道を開けた。
そんなスノウさんの隣を通り過ぎようとした瞬間、腕をガシっとかなり強い力で掴まれた。
「ふひょっ…!!!?」
「…貴女、悪魔と契約していますね?」
仮面に覆われている方の瞳が紅く染まり、私を鋭く睨みつける。
「え、いや、えっと…してな
「嘘はいけませんよ。タウチザクラさん。特にすぐ見破られてしまう嘘は」
「…ごめんなさい」
だって、悪魔と契約だなんて外聞が悪いかなぁって思って・・・・・。
「わかればいいのです。…さて、どういたしましょうか。」
スノウさんは私の腕をがっちりホールドしたまま考え込み始めてしまった。
ううー仕事…。いや、むしろ仕事をさぼるいい口実…!!!?ま、今やらなくても今度辛くなるだけだもんなー…。
「あのー…」
「ああ。申し訳ありません。それではまたあとで」
そういってスノウさんはあんがりさっさり腕を離してくれた。
…ん?あとで?
* * * *
「今日から貴女専属のお世話係です。それではよろしくお願いします…んふふ」
アー、サッキノ言葉、気ノセイジャナカッタカ…。
「えっと…スノウさん?よろしくお願いします。私の名前は長いのでタウチと呼んでください」
「ええ、わかりました。タウチさん。…ふふっ」
なんだか不思議な人だし、よくわからない人だけど…悪い人では…なさそう?か?
うん、信じよう。今度こそは私の不運がつれてきた最悪の人材じゃないって。
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