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男は異世界に生まれ変わる。だがそこも地獄の様と呼ばれ強制労働させられる鉱山だった。だけど俺ってば仕事中毒だから平気、むしろ生き甲斐が出来て楽しーや。  作者: くろねこ教授
第三部 変わりゆく世界 第一章 クライン家

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第91話 街のはずれ

 ケルちゃんの引く馬車は出発した。

 乗員は俺とファイズさん。お掃除妖精(ブラウニー)さん、茶色いメイド服を着こなして微笑みを浮かべている美人さんである。

 そして何故かミューギンちゃんも付いてきた。


「先生の行くところ、弟子も必ず付いて行くもんなんですよー。

 そう言えば、先生原案の『黒い魔法医師(デアドラ)』評判になってるそうですよー。

 大人から子供までウケて、大ヒットです。

 いろんな領地からウチでもやってくれ、って言われて大忙しだって、うぃるっちさんが言ってましたー」


 うぃるっちさんとゆーのは舞踊劇ページェントの座長さん。その人に紹介されて、脚本家志望の弟子としてミューギンちゃんは俺のところにやってきた。

 でも俺、脚本なんて書いた経験無いけどなー。

 令和日本の溢れるエンタメの中からどこでも人気出そうな話を伝えたのだが、どうやら上手く行ったらしい。


「そっかー、良かった。

 俺原案なんて気にせずに、ミューギンちゃんの作品と言ってしまって良いんだぞ」

「無理でーす。

 まだミューギンは名も無いド新人ですよー。

 舞踊劇ページェントには演者さんも裏方さんも関わるんでーす。

 ド新人の作品を選ぶハズがありませーん」


 いや、俺だってド新人……とゆーか脚本家志望ですら無いのだが…………

 そんな俺の表情を読んだらしいミューギンちゃんが言葉をつづける。


「イズモ先生には自分の話をリライトして大ヒットさせた実績がありまーす。

 この『黒い魔法医師(デアドラ)』もナゾの脚本家による新作と言ってますが…………

 その一方で賢者イズモが関わっている、とゆーウワサも出回ってまーす。

 話題にもなろうってもんでーす」


「そんなウワサが何処から…………」

「うぃるっちさんが自分で流したに決まってまーす。

 あの人そーゆートコ抜け目ないでーす」


 馬車の中でそんな雑談をしつつ、ヒルトンの街にたどり着く。

 門番にワイロはもう必要無い。議長のトリンダーさんが話を通しておいてくれて、門番は俺たちを見るなり頭を下げて、通してくれた。


 トリンダーさんが人員も少し出してくれる。見ると以前出会った事のある護衛の人が二人来ていた。


「お久しぶり。来てくれたんだ」


「こっちは逢いたくなかったよ」

「バカ! 

 丁寧に対応しろって言われただろ」

 イズモ様、今日はよろしくお願いします」


 彼らの案内で街の大通りから外れた方角へと向かう。

 すると、街の見た目が変わってきた。ピカピカでキレイな大通りとは似ても似つかない薄汚れた街角。建物には崩れた個所もあり、廃墟のようですらある。

 人々は通りを歩かず、建物の影からこちらを伺っている気配だけがしている。


「こいつは……予想以上に物騒ですね。

 血の匂いがアチコチでしてますわ」


 ファイズさんが馬車の荷台から飛び降りる。

 これ以上奥には行かない方が良いらしい。

 俺たちは街角のちょっと開けた場所に馬車を停めた。

 折り畳み式の台を立てて、準備をする。ブラウニーさんがシチューを用意してくれている。大鍋に入れたそれを俺は妖精のマントに入れて運んできた。

 ファイズさんが火を起こして、鍋を温める。その間に台に俺は持ってきた食器を並べる。

 今日のメニューはクリームシチューとパン。初めての事であるし、変わった食材より馴染みやすい食べ物が良いだろう。

 パンはフランスパンタイプ。棒状で表面を硬く焼き、切ってみると中は柔らかい。バゲットなんて呼ばれるヤツ。

 食器は丸いと匙。


 トリンダーさんが送ってきた護衛さんたちは旗を立てている。フェーリン家の紋章が入った旗と横に小さい旗…………小さい方がどうやらルピナスの実家の紋章が入った旗らしい。

 そんな事をやっていた二人の男だが。

 俺の出した食器を見て目を丸くした。

 

「ちょっと待て…………それピカピカしたヤツ。

 まさかその食器で配る気か?」

「んな訳ねーだろ。

 金属製の食器だぜ。

 食料なんかよりよっぽど高い。

 ……アレじゃねーか。食いもんで釣っておいて。

 『これ以上食べたかったら、この食器を買ってもらうよ』

 みたいな道理の分からない子供を騙すアコギな商売」


「そっ、そうか。

 なんで薄汚れたガキにメシを配るんだ、と思っていたら、そんな裏があったのか」

「ちっ、ガキを騙すなんざ手を貸したくねーな」


「ああ、俺もさ。

 だけど、仕事だからな」

「世の中世知辛いよな」


「安心しろ。

 そんな事はしない」


 あれー、食器の選定間違えたかな。銅製のお碗とスプーン。簡単だからあっと言う間に小型魔法炉で作れた。木製で作ると魔法炉じゃ出来ないしー、時間がかかっちゃうんだよねー。


「ただの銅で作ったものだ。

 そんなに珍しくない」

「珍しいよっ!

 新品でピカピカしていて、作りも歪みの全くない美しい食器。

 珍しいに決まってるだろ!」


「そうなのか…………

 このお碗は食べた後、返却してもらって使いまわすつもりだったのだが」

「返さないよ!

 こんな値打ちもの、渡されたら持って帰るに決まってるよ。

 返却するガキなんている訳ねーだろ」

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