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水明恋歌(イラスト入)
水面は静止したまま。
透き通る水に変化は無い。
少年は恩師に恋愛を禁止されてはいなかった。
生きるため。新たな名を受け入れて、生まれ変わらざるを得なかった少年。
仮初めの名を一時的に受け入れた少年は、お世話になるその間、己の役割を全うしようと務める。
透き通る水に変化は無い。
泉を見詰める老人は変化の種を投げ込んだ。
それは水面に波紋を生み、最深部を目指し沈んで行く。
水底に光は届いていない。
老いた言葉は遂に届かなかった。
故に、老人は新たな可能性を投じたのだ。
次を託すと決めた少年の人生が、他の誰のものでもない自分自身のものであると。その存在が偽りの生命ではないと気付かせることのできる温もりを。
後はただ、信じて見守ろう。
息子が価値のある青春を謳歌し、苦難の末に選び抜いた道ならば、今度こそ、その全てを祝福しよう。
水城院 源次郎の願いは1つ。
ただ、息子の幸福を願っている。




