【続編 第12話】鉄橋の決断と浮き上がる希望
【続編・第12話】鉄橋の決断と、浮き上がる希望
轟音を立てて疾走する列車の屋根の上。ちくとケメ子が必死に身を寄せ合っていると、煤煙の向こうから、やおたと千春が飛び乗ってきた。
「やおた、千春! 大丈夫か!」
「……数が多すぎる。キリがない……!」
やおたが息を切らして答えたその瞬間、ちくが叫んだ。
「やおた、後ろだ!」
「ケメ子、こっちの後ろからも来たわよ! 挟み撃ちだわ!」
前後に正体を現した鬼たちが迫り、四人は逃げ場のない鉄の屋根で完全に孤立した。絶体絶命のその時、列車の前方に巨大な鉄橋が姿を現す。
「皆さん、川へ飛び込みましょう! 僕がなんとかします!」
千春の突拍子もない提案に、全員が息を呑む。
「飛び込む!? この速さでかよ!」
「さあ、早く! 僕から行きます!」
千春は迷うことなく、夜の闇が広がる川面へと身を投げた。
「……千春を信じろ! 鉄橋を通り過ぎる前に、早く!」
やおたに促され、ちくとケメ子も意を決して虚空へと飛び出した。
冷たい水柱が上がり、激しい水流に飲み込まれる。
「皆さん、大丈夫ですか! 僕に捕まってください!」
水面に顔を出した千春の声に応え、やおたとちくが必死に泳いで歩み寄る。
「……おい、ケメ子は!? ケメ子はどうした!」
全員が周囲を見渡すと、少し離れた場所に、釣りの「ウキ」のように直立した状態でプカプカと浮かぶ影があった。
「ケメ子! 泳げないのか!」
「……違うわよ! う、浮き輪じゃないんだから、勝手に浮いちゃうだけだもんっ!(お腹の脂肪が……)」
「では、僕が ケメ子さんを引っ張って泳ぐので、兄さんとちくさんはケメ子さんの浮き輪に捕まってください!」
「う、浮き輪 じゃないもん!? 本当だもん!」
「とにかく千春に捕まれ! 岸まで引っ張ってもらうぞ!」
千春の強靭な泳ぎによって、一行はようやく川岸へと辿り着いた。
「……皆さん、無事ですね。あそこにある小屋で少し休みましょう」
古びた小屋の中で火を焚き、濡れた服を乾かす四人。パチパチとはぜる火を見つめながら、ちくが重い口を開いた。
「……おい、これからどうする。きよぴこ達はたぶん東京についてるぞ!」
千春は火を絶やさないように薪をくべながら、静かに告げた。
「この近くに港があるはずです。獲れた魚を築地まで運ぶ船があるでしょう。それに乗せてもらい、先回りしましょう……」
濡れた体に焚き火の熱が染み渡る。一行は次なる追撃、そして「海」への旅路を見据えていた。
挿絵に悪意はございません。




