【やおた第9話】銀河の清掃と ツチノコの逆襲
【やおた:同窓会前夜】銀河の正装と、ツチノコの逆襲
2026年、標高800メートルの山頂天文台。
やおたは、巨大なバックパックを前に、深刻な顔で腕を組んでいた。
手元には、ついに届いた「57歳の同窓会」の案内状。
「……同窓会か。下界に降りるのは3年ぶりだな。酸素濃度は大丈夫だろうか」
彼は真剣だった。山での孤独な生活が長すぎたせいで、彼の常識は1982年と宇宙の法則だけで構成されていた。
やおたにとって、同窓会は再会の場ではない。**「宇宙の使者として、地元の連中に真理を伝える儀式」**なのだ。
「いいか、自分。ちくやきよぴこ、そしてケメ子……あいつらに『やおたはついに銀河と一体化した』と思わせなければならない」
’82年のあの夏、裏山で木の棒を振り回し、見えもしない怪物と戦っていたあの頃の血が、一気に逆流してくる。
「よし、今夜は『宇宙の真理』なんて、どうでもいい」
彼は、短く整えていたグレーヘアに、この日のために特注した「シルバーのアフロ・ウィッグ」を被り、シャンパングラスを高く掲げた。
「クラシック? 結構じゃない。私はヴィンテージの皮を被った、最新のダイナマイトよ!」
更年期のホットフラッシュさえも、ビルを照らす熱源に変えてやる。
彼は、山小屋の地下室から、厳重に保管されていた「あるもの」を取り出した。
それは、封印したはずの「サクサクが入った妖怪球」
「サクサク……。これを持っていかないとあいつらは安心できないだろう……」いや、待てよ。サクサクを逆に、会場の演出に使えないだろうか?」
そんな妄想に耽っていると、山小屋の無線機が突如としてノイズを発した。
『サクサク……やおた……サクサク。愛知の重力は、サクサクだよ……』
「……通信障害か、それともサクサクのテレパシーか!?」
やおたは慌てて無線機の電源を切った。
57歳の心臓には、このオカルトな再会は少し刺激が強すぎる。
彼は、山で採れた謎のキノコ(食用だが色がエグい)を瓶詰めにしてトランクに詰め込んだ。
「これを食べれば、みんなも宇宙の音が聞こえるようになるはずだ」
やおたの同窓会前夜は、金ピカの迷彩服に身を包み、大量の怪しいキノコを抱え、下界の空気に怯えながら軽トラで山を下りる、最高にシュールな旅立ちとなった。




