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第155話 贅沢な悩み

 一方、男性陣はと言うと──。



「カミラちゅわ~んっ! 約束通り会いに来たよ!! あぁ、ウェイトレス姿もすごく良い!! 銀星亭の制服ぐっじょぶっ!!」



「……あ、どうも。それじゃ」



「そのクールな感じが素敵ぃぃい!! あぁぁあ冷たい目でもっと俺を見てくれぇぇ!!」



 そこには変態の客とそれを冷たくあしらうウェイトレスの図が出来上がっていた。



「コラッ、バカ、やめろっ! あっ、そのカミラさんでしたっけ? うちのバカがすみません」



 そして、テュールはそんないつも通り迷惑を振りまくテップを鉄拳制裁で黙らせ、そのまま頭を一緒に下げる。



「いえ、別になんとも思っていませんので、大丈夫です。それに結構な額を頂けたのでなんでしたらテンションアゲアゲです」



 そんなテュールの謝罪に対し、全然テンションアゲアゲには見えないカミラがそう答えた。



「そ、そうですか。お気遣いありがとうございます」



 テュールはそれがボケなのか気遣いなのか、恐らくその両方だとは思ったが、上手く笑うことができず、苦笑を浮かべて再度頭を下げる。そして、カミラは特に表情を変えずにそれを見届けると踵を返し、別のテーブルへと行ってしまった。



「あぁ、カミラちゃんがあぁぁぁ……。注文だ、俺は彼女と会話するために注文をするっ!」



 そして、去りゆくカミラを未練がましい視線で追ったテップは慌ててメニュー表とにらめっこを始める。



「ホホ、相変わらずの年中色ボケ小僧じゃの。そんなんでは、ほんに好きな女子が見つかった時苦労するぞい?」



「ガハハハ!! ちげぇねぇ。てめぇもマジメな顔して、マジメなこと言ってりゃ女には苦労しなさそうなんだがな」



「フハハハ!! リオン、これは異なことを言う。マジメなこやつだと? それはもはやこやつではないわ!」



「フフ、たしかにねー」



 師匠陣はハイペースで酒を呷りながら、テップを煽った。



「ぐぬぬぬ、言いたい放題言いよって……」



 テップは拳を握りしめ、師匠陣を睨み返すが、堂々と抗議することなど当然できず、小さく呻くだけであった。



「でも、テップは聖──あ」



 テュールはつい勢いでからかおうとして、そこまで言葉を出しかける。しかし、聖女がラグナロクに関わる最重要ワードであることを思い出し、不自然に止めてしまった。当然それを察した一同は──。



「ホホ、ペナワンじゃの。ほれ、とりあえず飲むんじゃ」



「ガハハハ、んじゃ俺からもペナワンだ」



「フハハハ、では我も、っと」



「フフ、じゃあボクも~」



「えぇ、ではテュール様、私からも」



「んじゃ、俺も」



「はいはーい、ボクもー」



「じゃあついでに俺も俺も!」



「……あ、こちらは私からのサービスです。どうぞ」



 どこから取ってきたのか、エールのジョッキをゴンゴンゴンと並べていく一同。さり気なくカミラも一杯置いていき、テュールの目の前には合計九杯ものジョッキが並んでいた。



「あ、カミラさんありがとうございます。……じゃないっ! 無理だって、流石にこの量は絵的に無理。飲む気が失せ……る。分かった、分かったよ!! 俺が悪うござんしたっ、テュールいきまーす!」



 ニコニコ笑顔で見つめる一同。許す気など毛頭ないと悟ったテュールはヤケになり、呷る呷る。



 そして、十五分後。



「うぅ、みんあ俺ぁ、ろうしたらいいんら……。セシリアはもちろんかわいい。らけどレフィーとのあいらにはミアもいる。それにカグヤの気持ちらって……まさか俺の人生で女性で悩む日がくるなんれ信じられない……。なんれ日らっ!!」



 眼の前の酒を全て飲み干したテュールは顔を真赤にし、涙を浮かべながら嘆いていた。



「ホ、贅沢な悩みじゃの。テップ言ってやるんじゃ」



「ハンッ、この主人公属性め、バーカ! バーカ!」



「ガハハハ、しかしこのままだと女の闘いが激化するな。どの国も重婚が認められているのは王族のみだからなー」



「フハハハ、それに我らの孫娘は王族だからな。他国の王族と重婚など余程の者でなければ……」



「ハハ、じゃあ新しい国でも作って王様になればー?」



「「「それだ(じゃ)」」」



 ──アハハハハ!!



 そう言って、師匠陣は愉しげな笑い声を響かせる。



「うぅ、みんあバカにしやがってぇ。アンフィスぅ! お前はセンパイとどうなんだっ!」



「あん? 別にどうもこうもねぇよ。あれから会ってねぇし」



「かぁ、情けないっ! んじゃヴァナルっ! お前はろうなんらっ! シャルバラさのこと、ろう思ってんら!?」



「んー、真っ直ぐでカワイイ子だと思ってるよー?」



「く、臆面もなく言いよってからにっ! じゃあテップ!! おまえは……おまえは……まぁいっか」



「おい」



 テュールはテップにそう言うとテーブルに伏せ、寝てしまう。すかさずテップがツッコミを入れるも反応はなしだ。



「ホホ、冗談で済めばいいんじゃがの……」



 そして、モヨモトは最後にちびっとお猪口を傾けながらそう呟くのであった。





こういう野郎だけの飲みの回を書きたかったんですよね~。

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