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1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
98/171

実況解説にて

「いやあ、山本さん、相沢投手はいろんなバリエーションがある投手ですね」


実況アナウンサーの伊藤からそう質問された山本は少し驚きを含んだ口調で答える。


「ええ、開幕戦からこれまで、アンダースロー、サイドスロー、スリークォーター、トルネードと投げ方も様々ですが、持っている球種も大変多いです」


「かつては山本さんもダイヤモンズのエースとして活躍されていましたが、同じ投手として、ここまでフォームを変化させることのメリットとデメリットを教えていただきたいのですが」



「ええ…普通でしたら、フォームを一球ごとに変えるというのは非常に危険な事なんです。プロの場合はですね、投手に何が求められるかというと、一番に制球力なんですね。ただ、ボールを離す感覚というのは非常にデリケートです。フォームを変えているにもかかわらず、制球力も乱れないとすれば、デメリットは無いに等しいのではないでしょうか」



山本の解説は説得力があった。投手とは非常に繊細な生き物である。肩や肘に少しでも違和感を感じれば、それだけで制球力に大きな支障をきたす事もある。相沢のやっている事は一見、簡単そうかもしれないが、山本はその困難さを見抜いていたのだ。


「相沢投手、勝利まであと一人というところまで来ましたが、この後はどのようなフォームでどのようなボールを投げるんでしょうね」


山本は、元プロ野球投手でありながらも、一観客と同じように、相沢の投球が楽しみでしょうがなかった。ここまで規格外の投手は初めてだ。次に何を投げるのか、それだけで胸を高鳴らせることができる。


「本当に楽しみですよ。今シーズンのレッドスターズも、相沢投手も」


それは紛れもなく山本の本心から出た言葉だった。

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