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1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
100/171

三度

超スローボールの難点とは、率直に言えばコントロールである。元来、打者のスイングというものは地面とほぼ水平に進んでくるストレートを打ち返すには理想的な形である。それはボールを線で捉えられるからだ。ただ、山なりのボールを打つにはボールを点で捉えなければならない。そのボールの落下する角度が急であればあるほど打ちづらくなる。


「打ちづらいならばずっとそのボールを投げれば良いじゃないか」と思うかもしれないが、目標の無い宙空に目掛けて投げるスローボールに比べ、ストレートはキャッチャー目掛けて投げられる分、ストライクを入れるのはずっと簡単なのだ。



だが、もし、スローボールでストライクが入れられる投手がいたなら。それは投手にとって大きな武器となる。



相沢は二球目にもスローボールを選択した。今度は山南もボールの軌道に合わせてタイミングを取り、スイングを試みる。が、打ち損じ、打球は一塁側のスタンドへと入っていく。



注目の三球目。相沢は辻のサインに首を振ることなく直ぐに投球動作に入った。


山南の読みは三度、スローボール。相沢はその読み通りに超スローボールを投じた。ボールは二球目までのものに比べてさらに高く舞い上がり、急角度でホームへと落ちていく。


そのボールを見つめてバットを振った山南。



しかし、やはりボールをうまく捉えることができず、白球は高々とファーストの頭上へと上がった。栃谷がこのボールを落ち着いてグラブに収めると同時に、球場は大歓声に包まれた。



「これで三人目」


役目を終えた相沢はようやく安堵の笑みを浮かべ、マウンドを降りていった。ベンチ前には待ち受けるチームメートたち。


「お疲れさん」


森国にそう声をかけられハイタッチをした相沢は「今日も本当に疲れました」と答えながらも、疲れたそぶりは全く見せずにロッカールームへと向かっていった。


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