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65ガチャについて考察する転生者の女生徒

 ふむふむとメモを取る。なんでもかんでも取り入れるわけじゃないが、顧客のリクエストは叶えればそれだけお金を入れるわけだ。


「お、回った」


 ガチャを回し始めた。ガチャ、くるり。商品がころりと出てきてそれを手に取り周りも集まって、中身をぱかりと開ける。中身はデフォルトしたパフェだ。リアル仕様の。


 一時期回したことあるなと、作ってみた試作品だ。試作品を得て完璧に作り終えたものは帝国の聖女たちのプライベート部屋に置いてきた。

 値段はまぁ、ゼロみたいなもの。募金並の金額にしてある。そこで無料とかタダにしてしまうとガチャという概念ではなくなるから。

 お金を出して回すからこそ価値が生まれる。お金を出して買うからこそ楽しい体験ができるのだろう。マーケティング学って、そういうところがあるみたいだ。


 生徒たちのところに思考を向けると中身を見て、パフェじゃないかと喜んでいた。この国でもパフェを少し取り入れたらあっという間に流行ったらしく、学園の食堂にどうかという話が上がっているのだとか。

 話の仕入れ先は食堂の管理を担当している業務者。カメラで撮影して知った。

 パフェについての特許を取っているので支払えば誰でも作れるし、オリジナルも許可している。民もそれを知っているので盗作にならない。疑われることなく、好きに作れる。


 それを眺めながら、じっとしていると王太子たちがまた群がって登場した。毎回みんなで移動しているけど、バラバラにならないのはなんでなんだろう。こんな小国の王族を狙う国なんてないのに。自意識過剰。思い上がった男女だとしか思えない。


 恥ずかしさを感じないところがまさに王族といった感じで鼻につく。なんでも思い通りにしてもらえると思っているのが、普段の生活を見ていたら嫌でもわかる。

 わらわらと集まって貴族ごっこをしているような、スカスカ感が拭い切れないというか。貴族という肩書きを延々と巻きつけて見せつけ歩いているように見えた。

 正直に言わせてもらうと笑いそうになっていると、言わせてもらう。これは別に青春じゃない。だって、大人だってやるし。だから、別に学生特有じゃない。


「ん?これはなんだ?」


「えっ、これってもしかして、ガチャ?」


「ガチャ?これのことを知っているのか?」


「知ってるも何も……え、この世界ってこういうのある系?」


 王太子妃候補がなにか言い始めたけど、転生者だとは思わなかったらしい。何か聞いてくるのかもしれないが、馬鹿正直にはいそうです、なんていう真似しないから質問に答えることはない。


 そもそも、こちらが置いたことを認める発言をすることはない。仮に学長が王子などに言ったとしても、こちらが知らないと言い続けるだけで、そこで終わりなのだ。

 権力で言い聞かすのも無理、振り翳しても無理、脅しても無理。脅したらこの国は明日でも即終了なことになるから、そこは王の教育の最終的な答え合わせなことになる。


 可哀想とは一切思わない。小さいことに権力を使おうという驕りが招くのだ。めちゃくちゃやりそうなことをポツポツと考えていると、ガチャを回す生徒達が現れる。

 王子たちもやろうとするが並んでいて嫌そう。並ぶことを強要して守らねば撤去すると書いてあるから渋々並んでいる。回数制限はないから好きなだけ回せばいい。


 回されたものが勝つ。お金がひたすら入ってくるのだ。次の日にはガチャの個人購入を問われたと聞いたがそういう場合も売らないことは先に言ってあるし明記されている。

 買われたら利益が出ないではないか。完全なる自家製を謳っているから、こちらの利益。王族もお金を出して買っていたり、ダブっているのをお金で払ったりしているという噂がこちらにも流れてきた。王族もそうしているのだと生徒達も真似する。

 生徒達の親も興味があるのか食堂に現れるが、基本的には生徒達のいない時間なので、邪魔ということもなくうまく共存している。


 それよりも、このガチャ出現によってマリナサの興味がペコラたちよりもこれを制作した存在にシフトされた。当たり前の心理に内心手を振る。さよーならー。

 とはいえ、見つけられなかったら再びこたらへ首を回して犬みたいにくんくん地面を鼻で嗅ぎにくるだろう。汚いものを向けられたくないな。


 眉間に皺を寄せたりはしていないけれど、アルクレイをムニムニして思考を働かせた。

 彼らの生徒会は実質的に破綻している。そこをつけばこちらに取り掛かることもないのでは?と思った。どう見てもどう見なくなともブラックな環境だし?


「撫でるのはいいが、あいつらをそろそろ見たい」


「うん。用意する」


 カメラ魔法を準備して二人して自室のソファーに腰掛け深く座る。用意した今日のお供はカレー味の煎餅(せんべい)。パリッと美味しい国民的味付けで食べたら止まらなくなるものだ。

 これは止まらなくなる美味しい。モッモッと二人で食べてはお茶で口直し。映像はガチャを回すところからだ。


「これはなんだ?」


 王太子たちがざわざわしている。


「ガチャと書いてある」


 ガチャを回そうとしているところだ。説明の板を設置しているからわかりやすいのだが、誰であろうと並ぶことということを強く言われており、王族としてこれまで並ぶことをしてこない人たちは嫌そうにしている。

 あの時見たのと同じなので、ズームアップした時の顔も同じ。耐えるくらい鍛えとけばいいのに。そんなことでは外交とかどうなるのか。

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