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11 元気じゃないけど生きてます

3回目の摘出手術は16時間。

 手術後は、腫瘍の大きさ的には3センチくらいまで小さくなっていた。が、ここで顔面神経麻痺発症。今度は以前よりひどい症状で、投薬も点滴も効かず、私の左側の顔面は麻痺固定状態になってしまった。併せて、まったく瞬きができないため、左目が「兎眼」と呼ばれる状態になり、一気に視力が下がり、黒目が白濁状態になり、片目の視力をほぼ失った。ドライアイのままにしておけないので、上下の瞼を縫い付けて乾かないようにした。今でも外出時には眼帯が必須だ。


 片耳と片目を失い、それでも生きていかないといけないんだなぁ……と今も思う。

 それでも今のところ、この摘出手術が最後で腫瘍の再増悪はしていない。が、再度の増悪の可能性は十分にあるので、地元の病院に紹介状を出してもらって、この三年、3か月に一度のMRIで経過観察を続けている。大きくも小さくもなってないけれど、大きくなってないだけ良い。

 この三年の間に顔面神経麻痺の神経の再建手術を受けた。左側の顔半分が落ちていたのが今では戻って少しマシになっている。左顔面の麻痺はずっとあるし、左側の味覚は痺れてなくなってるし、左での咀嚼ができないから、かみ合わせが右に偏ってきてる、と歯医者で注意されている。


 時々、左の指先がしびれて動きにくくなったり、左足に違和感を感じたりと怖いことはたくさん残った。

 何より、平衡機能がイカれてしまって、杖がないと歩けなくなった。家の中はあちこち手すりだらけだ。そして床に座ると自力で立てない。幼い子がおしりの重さで転んでしまうように体勢を保てない。

 健康は失ってその価値に気づく、という言葉を身をもって知った。病気になってしまったことは仕方ない、と頑張って咀嚼してきた。

 先生に原因を聞いても、この病気の原因は不明ですが生活習慣などは関係ないと言われています、と言われた。


 この先のことはまだわからないけれど、二度の余命宣告は越えたので、もし再度腫瘍が大きくなるようなことがあったらその時考えて、後悔しないように決めたい。

 私の好きな小説の好きな登場人物のセリフに「後悔しないようにするのって、後悔するより大変なのよ」って言葉があって、割と私の座右の銘になってる。

 たぶんどうしたって後悔はしちゃうだろうから、ならせめて後悔しないように、と考えて決めたいと思う。

 今は不便も諦めることも多いけど、何か一つでも楽しいことを握りしめて生きていきたいと思ってる。


 これだけは伝えたい。

 みんな、人間ドックやがん検診は行こうな!

 特に脳ドックは受診率がめちゃくちゃ低いらしく、S先生がもっとたくさんの人に受けてもらえたら、と言っていた。

 私は今も定期的にMRI受けているけど、合わせて脳梗塞とか動脈硬化とかくも膜下とかも診てもらえてるので頭の他の病気の安心材料になってる。

 割と30代や40代の若い働き盛りの人がくも膜下や脳出血を起こした場合、検診を受けて予防していたら発症しなかった可能性もあるらしいので。

 人間ドックも年一回受けているのだけど、今年の人間ドックで引っかかって精密検査したところ婦人科に紹介状を出された。おそらく手術になる。またか、と思いつつも何とか乗り切りたい。


良性、という言葉には妙にプラスに感じるけれど、実はそんなことなくて良性でも命に関わることはあるのだと知ってほしい。某アイドルの方も良性脳腫瘍、と報道された時、良性、という言葉が安心できるもの、として先行しているように感じた。良性は転移しない、ただそれだけ。大きくもなるし、命の危険もある。彼は後遺症でサングラスなしではいられなくなったと聞いたけど、本当に脳って替えが効かない部位なんだなぁと思ったよ。脳は一部でも壊れたら戻らない。私はもう二度と走れない。なので、テニスはもうできないと諦めてラケットは処分した。

それでも生きていくことが最優先。


 2019年の病気発覚から6年目、私は元気ではないけど何とか生きてます。


 終

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