1…この星の片隅で
ガチャコン、ガチャコン、と捻るごとに、小さい箱の中でカプセルがころころ混ざって移動した。
ぽこっと出てきたその赤い玉を取ると、プラコは「ああ…」と残念そうな声を出した。
お目当ての、ものではない。
ぽりぽり、と頬を引っ掻くその長い爪には、カラフルな色味と装飾が施されている。
長くてまるで武器みたいにも見えるその爪は「ネイル」と呼ばれているらしいことを、プラコは最近知った。もっぱらこのネイルとやらを随分と気に入ってしまい、こまめにネイルサロンに通っては、いろんな色で彩ってもらい、プラコなりの個性を表現して、とても楽しんでいる。
鎌のようにも見えるそれは、もしもの危機的状況が来たら「ザシュ!」っといけなくもないのかもしれない。なんてことも、プラコは思ったりした。
「それで?」
頭上から突如声をかけられ「へっ」プラコは素っ頓狂な声を出した。
「お目当ては出たわけ?」
「…出ない。 ぜーんぜん、これっぽっちも、出ない」
「運ないね、プラコ」
ナヒアの無慈悲な投げかけに、プラコは「うあーん」と泣き真似をした。
プラコのしゃがんだ足元には、空になったカプセルがごろごろ転がっている。
一番お目当てのシークレットがなかなか、どうしたって、出ない。
「何が出るのか分からないものにお金を使うなんて、私にはどうしても理解できない」
「あたしも最初はそうだったけど〜」
そう言いながら、プラコは財布から小銭を出した。
お気に入りの「カエルのぴょん子ちゃん」財布。がま口タイプで、閉じる時の「ぱちっ」となる音が、たまらなくて、プラコの大のお気に入りだ。
「でもさ〜ナヒア? このカプセルの中には、詰まってるんだよ?」
「何が?」
「そりゃもちろん」
夢と、希望。
「…なんじゃそら」
1回400円の夢と希望。それに人間は運を賭け、夢を見る。
その気持ちも、分からなくもないんだ、とプラコは深く共感していた。
すると突然、ナヒアのピンヒールがカツカツ、と床を踏んだ。プラコにはそれが自分の名前を呼んだ音に聞こえ て、ガチャガチャをしながら、そのつま先に目を見やる。
「あんたさ、どうすんの?」
「え、何が?」
「この後行くっつってたじゃん」
「………あ」
「フラペチーノ代、残ってますか〜その財布の中に〜〜〜〜」
通算7つ目のカプセルを、その長い爪が施された指がぱかっと開ける。
そこには、プラコのこの後のフラペチーノ代がなくなった真実が飛び出てきただけで、お目当てのシークレットは、見事に出ることはなかった。
「バカだね、プラコ。 今日は奢ってあげないからね」
「…………」
もしもし、地球の皆さん。
バカ、とはどういう意味ですか?
まだ地球に来て1年目のあたしに、その意味を、ちょっと誰か教えてくださいよ。




