追記 あとがき2
本来、このようなことをするのはどうかと思ったのですが、先日この作品を読み返してみて、主題というか、言いたかったテーマが他の要素に埋もれてしまっていたことに改めて気づかされました。全ては、広げすぎた私の責任です。そこで最後に一度だけ、私がこの作品を通じて言いたかったテーマの一つについて語らせていただきたいと思います。
アイザックは盲人です。カルメンにいたっては手足がありません。力が正義である無法地帯において、これは致命的です。にも関わらず、彼らは二人一組でお互いの欠点をカバーし合い、凶悪なギャングや異能力者と戦いました。
チートキャラを悪いとは言いません。私もいずれはチート物に挑戦してみたいという気持ちはあります。しかし、私が彼らを通じて言いたかったのは、弱者が傷つき打ちのめされ、血を流しながらも強者に立ち向かい、針の穴ほどの小さなチャンスをものにして勝つ姿から何かを感じて欲しい、ということです。特に若い人たちに。
もっとも、それを伝えきれなかったのは、完全に私の力不足です。また、話を広げすぎ、ギャング同士の抗争という要素を入れてしまったがゆえに、この二人の存在が埋もれてしまいました。本来、必殺シリーズのように、能力者をこの二人が次々と狩っていく話にしていくはずだったのですが……私の甘さゆえです。申し訳ありません。
また、この二人がジュドーと出会い、血ヘドを吐くようなトレーニングの末に生まれ変わり、殺人に手を染めてゆく場面も描きたかったのですが、そうなると性描写(特に獣姦)やリンチなどの虐待シーンなどが避けては通れないため書けませんでした。いずれノクターンの方で書いてみようとは思っていますが。
もう一つのテーマである、人殺しの業という点については、ちゃんと描けたと思います。
アイザックとカルメンは平和な生活を捨て、あの街に戻ってきたのです。あの無法地帯に骨を埋める。それこそが、あの二人が自らに課した罰なのです。
数多くの命を奪った自分たちへの、死刑にも等しい罰。
最後に、こんな未熟な作品を読んでくださって、本当にありがとうございました。私にとっても、一つの作品を書き上げ、そしてそれを読んでくださった皆様がいた、という事実は一生モノの宝です。
みなさん、ありがとうございました。