―結―
しかし、悪の道へ堕ちようとした勇者(♂)を救ったのは勇者(♀)の大きなお胸でした。
勇者(♀)は勇者(♂)の手を取り、その腕を強引に自分の胸の谷間に押しつけながら言いました。
「勇者様! ダメです。それだけは本当にダメです!」
「放せ……ッ! 例え世界が救われたとしても、オレ自身が救われなければ意味がないんだッ!」
最低な発言です。
「勇者様。それほどまでに子作り……エッチがしたいのであれば、どうか私で! 私とエッチしてください!!」
「え…………? 君と?」
「はい! いっぱい子供を作っても構いません! なんなら目の前にいる魔王を倒した後スグにでもエッチしてもいいです…………いえ、しましょう! ローションプレイがお好きであれば是非やりましょう! だから、魔王に付いていくことだけはどうか、どうか止めてください!!」
必死の説得でした。
勇者(♀)は分かっていました。ここが重要な分岐点であることを。ここの選択肢次第でグッドエンディングになるか、それともバッドエンディングになるか。最悪、勇者(♂)が取る行動次第では、勇者(♀)が彼を手にかける必要が出てきます。しかしそれだけはやりたくありません。だからこその、必死の説得なのです。
「…………」
勇者(♂)の傾きかけていた天秤が反対方向に傾きつつあるようです。
しかし魔王も負けてはいません。
「勇者よ。そんなに難しく考える必要はあるまい。妾の方が胸が大きいだろう? それにこちらは色んな美女とやりあえるのだ。質と物量。どちらを取ってもこちらが上じゃ」
こちらも丸見えのおっぱいを勇者(♂)の腕に押しつけてきました。
「くっ……!」
勇者(♂)の中の天秤がちょうど釣り合っている状態でした。
勇者(♂)はもんもんとする中、冷静に考えようとします。
一方は、いろんな大きさのおっぱいがある、美女達と毎日戯れる至福のコース。
もう一方は、一年も一緒に旅をしてきた(それ以前からも知り合いだった)思い入れのある巨乳美少女と幸せコース。
さあ。どちらをとるのが正解でしょうか。
「勇者様!! 私は信じてます!」
「勇者よ。変態なお主には淫乱な妾がうってつけじゃ」
勇者(♂)は悩みます。悩んで悩んで悩んで悩んで悩んで悩んで悩んで悩んで――、
そして、決断しました。
この決断の意味は、勇者(♂)が持つ二つの剣を、片方には心臓に刺し、片方には股に刺すことを意味します。
勇者(♂)はどちらを選んだのでしょうか。
その後の世界は大きく変わりました。
当時の勇者(♂)と勇者(♀)は後世の世に長く語り継がれるほど伝説な勇者となりました。
ですが。
伝説は終わりませんでした。