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太陽なき世界のアストロ  作者: 夕凪


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第十四採掘場

 やがて、アストロたちは目的地に近づいてきた。目的地の旧ルミナイト採掘場、【第十四ルミナイト採掘場】だ。


 アストロたちは採掘場から少し距離があるところにバイクを止めた。アストロ、オリオン、カペラの三人が採掘場付近を見渡す。人影はない。


「こちらアストロ。目的地近くに到着した。付近に人影はない。」

「了解した。警戒して慎重に進め。」


 カペラが周囲を警戒し、狙撃銃を構える。


「外は私が見張っておくから。二人は中を見てきて。何かあったら通信で知らせて。」


 オリオンとアストロが採掘場内部へ侵入した。


 採掘場内部には誰もいなかった。アストロはNoctisを構え、慎重に進んでいく。


 さらに奥へ進んでいくと、人の声が聞こえてきた。おそらく、夜刀衆だ。


「…行くぞ、オリオン。バトルスーツを起動しろ。」

「あぁ。」


 アストロは小声でオリオンに言った。アストロとオリオンはバトルスーツを起動する。敵の数が表示される。五人だ。


「奴ら、もう来ていたのか。」


 オリオンが呟く。敵は、どうやらルミナイトの下見に来たらしい。鉱山の採掘機が動作するかどうかの確認をしている。こちらに気付いてはいない。


「まただ…採掘機を動かすと揺れるんだよな…いつ崩れるかわかったもんじゃねぇ。」

「早く作業を進めろ。」


 二人の男が採掘機を操作している。採掘場内に轟音が響く。やがて、鮮やかな青い光が現れた。ルミナイトだ。


「おお、出てきたぞ!ルミナイトだ!!」


 男たちが集まる。全員がルミナイトの欠片を手に取り、目を輝かせている。その背後の物陰から、アストロとオリオンが様子をうかがっている。


「夜刀衆か?」

「…まだわからないだろう。まだ様子見でいいだろう。」


 男たちは採掘したルミナイトをかごに入れていく。かごがいっぱいになると、そのかごを外へ運び出した。


 男たちが全員いなくなったのを確認し、アストロとオリオンは採掘機の前にやってきた。


「こちらオリオン。どうやら、ルミナイトが眠っているのは本当らしいよ。男が五人、採掘をしていた。」


 オリオンはポラリスへ連絡した。アストロは採掘機が掘り起こした地面を見つめる。底にはまだルミナイトが輝いている。


「そこで何をしている!!」


 アストロとオリオンの頭上から叫び声が響いた。アストロとオリオンはすぐさま上を見る。上からやってきたのは武装した人間たちだった。人数は二十名弱。アストロとオリオンは取り囲まれてしまった。


「貴様、この採掘場は夜刀衆の縄張りとなったことと知っての侵入者か!どこの所属だ!!」

「動くな!!動いたら殺す!!」


 夜刀衆のメンバーは口々に叫ぶ。アストロは聞く耳を持たず、NoctisとTsukikageを構える。


「あ…それ、どうしたの?」


 アストロがTsukikageを構えた途端、オリオンの声色が変わる。アストロはオリオンを見る。仮面で顔が隠れているとはいえ、オリオンが怒っている気配は感じ取れた。


「…帰ったら、色々聞かせて貰うから。」

「…あぁ。」


 アストロとオリオンは同時に走り出した。夜刀衆はレーザーを放つ。アストロは驚異的な動体視力で回避していく。床を蹴り、横へ滑る。放たれたレーザーを避け、Noctisを放つ。


 オリオンはレーザーを避けられる程身軽ではない。物陰に隠れ、自慢の怪力で傍にある箱や機械を投げる。夜刀衆に直撃し、床に倒れたまま動かなくなっていく。


「こ、こいつら戦闘慣れしてやがる!!」

「囲め!!逃がすな!!!」


 夜刀衆がアストロたちを再び囲おうとする。しかし、アストロは近づく者を容赦なく撃ち、オリオンは物を投げ飛ばしている。とても囲える状態ではない。


「し、仕方ない!撤退だ!!ここでやられるのはまずい!!」


 夜刀衆は撤退を始める。アストロとオリオンはその様子を見て、攻撃を止めた。そして、アストロはカペラに通信を繋いだ。


「カペラ、増援は来るか?」

「いいえ。増援が来る様子はないわ。」


 増援が来る様子がないため、この採掘場はNight Watchが制圧したと言える。内部に伏兵がいないかどうかを確認し、アストロはオリオンへ通信を繋いだ。


「オリオン、制圧完了した。採掘場にルミナイトがあることは確認済みだ。この採掘場は、まだ使える状態だ。」

「了解した。機材や安全性はどうだ?」

「あぁ…機材の一部は動いていることを確認した。後ですべての機材を確認しておこう。安全性はまだわからない。今のところ崩落は起こっていないが…」


 その時、採掘場内が大きく揺れた。天井から砂が少し落ちてくる。アストロとオリオンは体勢を崩しそうになった。


「…今の揺れは…?」

「どうした、大丈夫か?」

「多少揺れた。怪我はない。」


 揺れの原因は不明だった。揺れによる崩落が起こる様子はない。アストロはほっとした。


「だが、なぜ揺れたんだ?」


 オリオンが呟く。採掘機を起動させていないにも関わらず、揺れることはおかしい。自然に崩落したことで揺れが起きてしまったわけではない。


「原因はわからない。ひと先ず、俺たちは撤収する。」

「あぁ、了解した。ご苦労だった。気を付けて帰っていてくれ。」


 アストロは通信を切断した。オリオンと共に採掘場を後にし、外で待機してるカペラと合流した。


「お疲れさま。無事、制圧完了ね。」

「…そうだといいんだが。」


 アストロは採掘場を振り返る。自分たちが去った後に、別の勢力が採掘場を狙う可能性は高い。だが、いつまでもここに留まるのも悪手だ。


「…大丈夫よ。明日には監視カメラをつけるから。何かあったらすぐに来られるようにね。」


 カペラはアストロの心配を察し、笑って言った。アストロは小さく頷き、バイクに乗った。こうして三人は、採掘場を制圧した。しかし、採掘場内でまたしても僅かな揺れが起こっていた。

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