第3話 集え運命!ここが俺たちのスタート地点だ!
森を抜けた瞬間、視界が開けた。
濃い緑の帳が途切れ、陽の光が一気に降り注ぐ。
その先に広がっていたのは、
木造の建物が肩を寄せ合うように並ぶ小さな町――リュミエール。
乾いた風に乗って、生活の匂いが流れてくる。
焼いたパンの香ばしさと薬草を煎じる独特の苦み。
そして、どこか鉄のような、戦いの残り香。
石畳の道は、ところどころ擦り減り、長い年月を感じさせる。
その上を、荷車を引く商人や、装備を整えた冒険者たちが行き交っていた。
「魔物対策の薬だ! 効き目は保証する!」
通りの一角では、声を張り上げる商人。
瓶の中で淡く光る液体は、どこか怪しげで、それでいて頼もしい。
井戸の周りでは女たちが談笑し、水を汲む音がリズムを刻む。
少し離れた場所では小川がさらさらと流れ、
子どもたちが無邪気に水を弾いて笑っていた。
その光景を、王土は目を輝かせながら見渡す。
「……おお、ここがこの世界の町か!
まるで漫画の世界みたいだ!!」
視線はあちこちへと飛び、まるで一つ一つを確かめるように動く。
セリアはその横を歩きながら、少しだけ誇らしげに口を開いた。
「ここは、森の向こうの旅人もよく通る町です。
商人や冒険者も少しずつ増えてきました」
町の外周へ目を向ければ、高い城壁はない。
だが代わりに、木で組まれた見張り台と、防御柵が等間隔に設置されている。
「良い町だな。物語の始まりって感じがしてさ」
王土は腕を組みしばし町を観察し、
そしてセリアへ視線を向けた。
「……で?」
「これからどうすればいい?」
あまりにも自然な問いに、セリアは目を丸くする。
「え?」
「その……旅の目的は……?」
王土は少しだけ考え込む。
だが次の瞬間、口元がゆっくりと吊り上がった。
「決まってるだろ!」
剣を肩に担ぐ。
「困ってる奴がいたら助ける!悪い奴がいたらぶっ飛ばす」
一拍置いて。
「勇者みたいなことをやる!」
あまりにも真っ直ぐな言葉。
セリアは一瞬ぽかんとしたあと、こらえきれずに笑みをこぼす。
「うふふ、やっぱり変わってますね」
「そうか?」
王土は首をかしげる。
セリアは少し考え込み、やがて小さく頷いた。
「それでしたら……」
「冒険者になるのがいいと思います」
「冒険者?」
王土の目が、わずかに輝く。
「はい。依頼を受けて人を助けたり、魔物を討伐したり……」
「今の王土さんにぴったりだと思いますよ」
その言葉を聞いた瞬間――
王土の中で何かが“カチッ”とはまる。
「いいじゃねぇかそれ!」
声が弾む。
「クエスト受けて、強くなって、仲間も増える……」
拳を握る。
「完全に主人公ルートだな!!」
セリアは少し呆れたように、それでも楽しそうに微笑む。
「……そうですね」




