第1話 交通事故
俺は山田壮太、25歳。
長距離トラックの運ちゃんをやっている。
正直、拘束時間は長いし、睡眠時間も不定期になりがちなのでこの仕事は世間一般の基準だとブラックもブラックと言って良い。
だが、俺はこの仕事を天職だと思っている。
何故なら俺はコミュ障だからだ。
長距離の運転手は、仕事時間の大半が一人での運転。
積み下ろしの際なんかは色々とやり取りしなければならないが、それも全体から見れば短時間の事だ。
基本、トラックを運転しているだけでいい。
そう!
この仕事は正に俺の様なコミュ障の為の仕事と言える!
ビバ!
長距離運送!
という訳で、今日も今日とて俺はトラックの運転をしていた。
テンションの上がる、お気に入りのアニメソングを流しながら。
「!?」
――それは突然の事だった。
高速を降り、目的地に向かう大通りの前方に突如黒い何かが発生する。
それは瞬く間に広がっていき、線全部を覆いつくしてしまう。
それが何か、俺には全く分からなかった。
分かっているのは、このままだとトラックがそれに突っ込んでしまうという事だ。
やばい。
総本能的にそう感じた俺は、急ブレーキをかけつつ、ハンドルを大きく左にきった。
「げっ!!」
時間は早朝。
本来なら人なんていない筈の時間。
だがそこには早朝マラソンでもしていたのか、1人のジャージ姿の若者の姿があった。
そう、俺のトラックの向かう先に――
トラックは無慈悲にその青年を跳ね飛ばし、そしてそのまま建物へと突っ込んで止まる。
強い衝撃と痛み。
血が目に入ったのか、視界が赤く染まる。
それでも何とか首を動かして、俺は外の様子を伺う。
トラックではねてしまった青年を確認するために。
「なん……だ……」
青年は少し離れている場所に倒れている。
だが不思議な事に、その体からは強い光が放たれていた。
事故で受けた衝撃で、俺は幻覚でも見ているのか?
青年の体から発せられる光が、ますます強くなっていく。
「くっ……」
余りのまぶしさに俺は目を閉じた。
瞼すら真っ白に染め上げるほどの光量。
その白さが消えた所で目をあけると、さっきまであったはずの青年の姿が体も影も形もなく消え失せていた。
「どこに行った……なに……がはぁっ……げほっげほっ……」
なにが起きたかわからず、体を動かそうとしたら胸元が燃える様に熱くなる。
胸の苦しさから咳きが出て、俺の口から大量の血が。
あ、これはやばい……
そう思った所で、俺の意識は途切れた。




