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第二十八話①(アカリ視点)

「お前は魔法すら使えないだろ……。行ったとしても問題に巻き込まれるだけだ」

「貴方と一緒にしないでちょうだい。私なら何とか……いや、流石にそうは言い切れないわね…。でも私以外の2人が行くよりかは、リスクがないと思うのは事実よ」


 2人は私の発言を聞いて悩んだ素振りを見せ始めているが、代案が思いつきそうな雰囲気は感じられない。

 

 正直私も不安ではないと言えば嘘になるが、他の案が思いつかない上、これ以上暇を持て余したくはないから何か行動を起こしたい。


「はぁ……わかった。責任を取るつもりはないが、頼めるのか?」

「ええ任せて頂戴、もしもの時は助けを期待しているわ。仲間だものね」

「こう言った時だけ、仲間という言葉を使うな…」


 ようやく回ってきた自分の出番に少しだけ喜びを覚えながら、私はカップに入ったコーヒーを飲み干した。


 その後は会計を済ませて喫茶店を出た後、私たちは王都を目指しながら会話を進めた。


「くれぐれも気をつけて下さい。マヤトさんが侵入したことにより、警備は先程よりも強力になっているかもしれません」

「それもそうですね…はぁ、マヤトがいらないことをするから」

「俺も苦労したんだ。褒められはしても、貶される理由はない」

「兎に角気をつけないとね。監獄に入るなんてごめんだわ」


 こうして私は城に侵入することになったわけだが、結局2人も城の近くまでは同行することになり、3人で王都に向かうことになった。


 ――


「かなりぶかぶかね。歩くことすら困難だわ」

「文句をいうならドレスのまま城に入ってもいいんだぞ」

「無茶言うわね。そんなの、捕まりに行くようなものじゃない」


 先程までマヤトが来ていた兵士の衣服を借りて着替えてみたわけだけど、2つ程サイズが大きいせいで袖や裾の部分が多く余ってしまっていた。


「ひとまず余った生地を折って見えないようにしろ。なるべく不自然なところは無くすんだ」

「それもそうね。まぁ女の私が男物の衣服を来てる時点で、怪しさ満点ではあるけど」


 私はマヤトが簡単に書いた地図を受け取った後、帽子を深く被っていよいよ中に入ろうとする。

 門は直ぐそばだ。開始早々にバレないようにしなければならない。


「直ぐそこに兵士が立っている。もうすぐ城の中に戻るみたいだから、あいつについて城の中へ入れ」

「わかったわ…じゃあ行ってくるから、何かあったらお願いね」

「任せてしまって…申し訳ないです。本来は私がすべきことを…」

「気にしないでください。後は何とかして見せます」


 深々とお辞儀をするパンプキンさんと、雑に手を振るマヤトに見送られながら、私は城の中へと侵入を始めた。

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