第二十七話③(アカリ視点)
「そこでだ……お前の意見を聞きたい。どう動くべきだと、お前は考える?」
私はマヤトの問いかけを聞いた途端、口に近づけていたカップをピタリと止めてしまい、そのまま少しの間じっと固まってしまう。
「……私に聞いてるのそれ? ……あんたが?」
マヤトが私相手にこんな質問を投げかけてきたのは初めてのことで、私は少しばかり動揺してしまっていた。
プライドが高く、私に何かを頼るような事など何もしてこなかった男が、わざわざ私に問いかけてくるなんて、一体どう言った風の吹き回しだ?
「正直、今回の通りでの俺の動きはどうも空回りしてしまっている。やることなす事どうも上手くいっていない。このままでは手間と時間がかかるだけだ」
「なるほど…そこで私の意見が欲しくなったのね」
理解を示した後、ようやく私も今回の件に参加できるのかと、ホッとため息を吐いた。
せっかく頼ってくれたのだからと、私は自身の頭をいつも以上に回した。それも、転生した後に得た、悪役令嬢としての悪知恵を生かしてだ。
「先程言った通り、女王様に早速会いに行くべきだと思うわ」
「だが肝心の居場所がわからないんだ。そこはどうするつもりだ?」
「貴方、城の中を調べたのよね? どの部屋が何処にあるのか、どこまで把握することが出来たの?」
マヤトは手持ちのペンを取り出して、カウンターにあったペーパーナプキンに、簡単な地図を書きながら説明を始めた。
「大した部屋はわかっていないが…このような感じだ。物置や使われていない部屋、そして調理場や他には……」
「調理場がわかったの? ……だったらそこに向かいましょう。今直ぐに」
「どうして調理場に? そこに何かヒントがあるのですか?」
「女王様がわざわざ城以外の場所で暮らしているとは考えにくいわ。ならば城の中のどこかにいる」
「それと調理場がどう関係してくるんだ?」
「女王様も人間何だから食事をとる訳でしょ? それを作っているのは調理場よ。きっと出来上がったものを女王様の部屋まで持っていく人が、そこにやってくる筈」
ここまでの私の話を聞いて、この後の内容を理解したのか、マヤトは少しばかりの笑みを浮かべた。
こう言った事は察しが早くて助かる。
「つまりはそいつをひっ捕えて女王の部屋を聞き出し……」
「女王の部屋に料理を運ぶふりをして近づけば、女王に会うことが出来るわ」
荒っぽい作戦ではあるが、何せ時間がないのだ。
これくらいしか今は思いつくことができない。
「だがその作戦なら、3人全員で入り込む事は難しいな」
「その通りよ。そもそもマヤトは顔がバレてるわけだし、パンプキンさんも、被り物をかぶっていたとはいえ、一度城の中に入ってるんだから、何処かの特徴で怪しまれる可能性は高いわ」
「……少し待て、ならば一体誰がこの作戦を……」
何をわかりきったことを言っているのかと呆れた笑みを浮かべた後、私は堂々とした態度で口にする。
「そんなの、私に決まってるじゃない。お留守番係は、これにて終了よ」




