第二十七話②(アカリ視点)
2人の分のコーヒーが提供されたその後直ぐに、喫茶店の扉が、カランコロンと音を鳴らしながら開いた。
そこから何やら不機嫌そうにしたマヤトと、何処か気まずそうにしているパンプキンが入ってきた。
通信の時から思っていたが、何に腹を立てているのかわからない。恐らく向こうで何かがあったのだろう。
今はそんなこと、どうでもいいけど……。
「お帰り、遅かったわね」
「急いだつもりだがな」
「それでも遅いわよ……。でも、帰ってきたって事は、何か有益な情報を得ることが出来たんでしょ? 聞かせてちょうだいよ」
「それなら俺ではなくパンプキンから聞いてくれ、俺が得た情報じゃないからな」
「何よそれ、じゃああんたは何も情報を得られなかったってわけ?」
「こちら側はこちら側で、面倒ごとが起きたんだ。……本当に面倒な事がな」
それを思い出したのか、マヤトはどっと疲れな顔を浮かべながら頭を押さえた。
余程嫌な事があったのだろう。この男がここまで疲れを見せるのは珍しい。
「それじゃあ早速だけど聞かせてもらえますか、パンプキンさん? どういった情報を得ることができたんですか?」
「マヤトさんには少しお話したのですが、最初から話させていただきます。…まず、通りを救う鍵となるのがバルサッツ王国の女王様です」
「女王様? ……そもそもいた事に驚きです。話題に一度たりとも出てこなかったので」
「物語とするなら、後付けを問われるであろう唐突な登場だな。伏線の1つもはっていない」
いつも通り話に水をさすマヤトを無視して、私は引き続きパンプキンさんに話を進めるように促した。
「その女王は国王とは違い、寛大な心と優しさを持っている方らしく、通りを国王が滅ぼそうとしている事すら知らないそうなのです」
「知っていたら、そもそも女王なら止めているという事ね……」
女王と国王の相違で通りを潰そうとしている訳ではなく、国王が独断で進めているという事なら、確かにその女王に話を通せば、通りを滅ぼす事を阻止しようと動いてくれるかもしれない。
「ならば直ぐにでも、女王と話をしましょう。何処にいるのかは知っているのですか?」
「残念ながら、そこまでは……」
「城を俺は少し調べたが、その段階では女王の姿など見られなかった。城の中でも目立たない場所、もしくは城以外の何処かにいるのかも知れないな」
肝心の居場所がわからないのであれば、この作戦は使えない。次の目標は、女王探しになるわけだが……。
マヤト達はまた王都に出向いて調べ回る事になるのね……行ったり来たりと、何だか少しばかり不憫に思えてきたわ。




