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家族という仕事  作者: 阿井 亜斗
3章

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11/16

1.

 毎日同じことの繰り返し。

 高校を卒業してから、働き詰めで会社は悪くはないが中小企業で仕事を任せされると自分のキャパシティを考えず受けてしまい、残業した後にサービス残業を隠れてしている。

 大変なら同僚や上司に伝えればいいのに、自分の気の弱い気性が原因で誰にも言えずに仕事をこなしてしまっている。

 そして、今は同僚に誘われ休みの日に別荘を訪れている。

 週末は家で休みたかったのに。

 別荘は同僚の親戚のものだった。

 誘われた理由としてはなんか暇そうだからというよくわからない理由だった。

 そこで同僚から紹介したい相手がいると言われた。





 今は夏。

 日本の夏の現在は、異常なほどに暑い。

 そんな蒸し暑い中、建物の中は涼しく維持されてるいつもの喫茶店で佐藤と会っている。

 2人の前には、アイスコーヒーが提供されていた。


「お前の友達に会ってくれ?」

 ここで会う時はいつも『家』に関することだったのが、佐藤個人の頼み事で会おうとするのは珍しい。


「個人的な頼み事で悪いのですが・・・。」

 本当に悪いと思っている顔でこちらを伺うよう見てくる佐藤。


「辰三という男でして。悪いやつではないのですが、気が弱いために強く出られると断れないタイプです。その辰三が同僚から紹介された女性がいるそうです。」

「あんた、友人の男女関係に突っ込むタイプだったけ?」


 佐藤と会う時は『家』に関わる話の時のみであるため、晶への情や大地主への複雑そうな感情は伺い知ることはあるが、プライベートな話はあまり出ないためよくわからないところがある。

 そんな佐藤が友達に会ってくれと言ってきた。


「いえ、友人のお祝い事がありましたら喜びますよ。満月さんがもし結婚されるとしたらお祝いなど持っていきたいです。」

 佐藤に友人と思われていたこと驚いたが、考えればお互いに仕事で関わって世話になっているのだからそんな気持ちになるのもわかる。

 自分も佐藤が結婚するとなったら、とりあえずお祝いする。

「話を戻しますね。友人の辰三ですが紹介された女性が体が弱いようで、今時恐らく聞かないことですが別荘で療養されていたそうです。」

「お金持ちのお嬢さんなのか?」

「そうみたいですね。」

 別荘が昔より身近になったとはいえ、体が弱い女性を療養のために別荘に行かせるのは昨今聞いたことない。

 本物のお嬢様なのかもしれない。


「辰三の同僚がお嬢さんを紹介したのは、ただ単にお互いの気晴らしになればと思ったから見たいですね。辰三は仕事が行き詰まっていましたし、お嬢さんの方は療養が続いて気鬱になっていたため新しい人と会えば気持ちも明るくなるかと思ったみたいです。」

「普通いいとこのお嬢さんだとそんな男と会わせないと思うが、その同僚は何を考えているんだ?」

「同僚は辰三の性格も知っていたので、お嬢さん相手にどうにかなるとも思ってなかったみたいです。ただ、なぜかお嬢さんの方が辰三を気に入ってしまったそうです。異性は身内か年嵩のお手伝いさんしか会ったことないお嬢様としては辰三の気の弱さからくる優しが気に入ったようです。」

 異性に会う機会が年嵩や身内だけだと、若い男が新鮮に見えるものだろう。

「同僚はお嬢さんの身内なのか?」

「友達みたいですね。若く性格も顔もいい方のようです。」


 ここまで聞いていたが、話が見えない。

「お嬢さんい気に入られたのはお前の友達で、恋人になるのも結婚するのも拒否するのも俺には関係ないのだがなぜ会わせようとしてるんだ?」

 そこで、佐藤は言葉を切り、顔を曇らせた。

「お嬢さんが、なくなったんですよ。」

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