神様のアルバイトⅢ
まだまだ雪が止まないので神様は次のアルバイトへ向かいます。
大神宮では月に一度の御守り市があります。
こんなのいつ使うんだよと思われそうな御守りがたくさん集結するマニア向けのイベントです。
その店番をしていたのは……。
「あら先生。お出掛けなんてどういう風の回し者ですか?」
桜子です。
「それを言うなら風の吹き回しね。てか私は引きこもりじゃありませんー。もうアルバイトシリーズの三作目ですー」
「え、ってことは私の仕事を手伝ってくれるんですか? やった!」
御守りがずらりと並ぶ商品台。
桜子はその中でぽっかりと空いた部分のみを選ぶように。
「じゃあ……。どーれーにーしーよーおーかーな……これだ!」
「え、何? どういうこと?」
「これは見えない御守りです」
「見えない御守り?」
「嘘です」
「帰る。ここにわたしの仕事はないとわかった」
「あ、待って待って、冗談です。ちゃんと経緯を説明しますから!」
◇ ◇ ◇
つい先程この場所には一つの御守りがありました。
それは誰もが絶対に売れないと決めつけていた……いわゆる客寄せ用商品でした。
でも一応ご利益はちゃんとあって……。
今度小学校に入学する孫の為に年金暮らしにも関わらず頑張って貯金して奮発して買った水玉模様のランドセルをプレゼントしたら孫から「こんなダサい色のランドセルいらない!」と全否定されて孫との関係性がなんか気まずくなった時に何とかしてくれる御守り。
「っていう超ピンポイントなやつだったんです。初老の女性が買っていったのでなんだか心配で……」
「それをわたしに解決しろって言いたい訳?」
「その通り!」
「だったらあなたが確率操作で孫と仲直りさせてあげればいいじゃない簡単でしょう?」
「ええ。もちろんやりましたよ。その結果、私の目の前にこうして先生という名のスケットが現れたという訳です」
「あっそ。わかったわよ」
「話が早くて助かります。よっ! 神様、スケット、お大尽ー! それじゃあ頼みましたよー!」
こうして桜子に見送られながら購入した人物を追いかけることになりました。
◇ ◇ ◇
その人物はすぐに見つかりました。
割りと近所に住んでいました。
水玉模様のランドセルが入った箱を見つめながら溜息を吐く女性。
さらに孫は近くにいたって目も合わせてくれません。
「まさにそのまんまの状況って訳ね……」
神様は考えます。
「孫を洗脳して赤いランドセルを好きにさせる? うーん……。これはないわね」
さらに考えます。
「孫の好きな色を聞いて、マッキーで塗り潰しちゃう? これもナンセンスね。仕方ない」
神様はランドセルを購入したであろうお店に向かいました。
こういう時は地道に根回しをするしかありません。
その日の夜。
神様は女性の夢枕で囁きます。
「そのランドセルは返品してきなさい。大丈夫きっと悪いようにはならないから……」
女性は言われた通り購入した店舗に向かうと。
「お待ちしておりました。ではこちらで承ります」
すんなりと返品ができたのです。
「今度はお孫さんといらしてくださいね」
それはとても素晴らしい接客でした。
次の日、女性は孫と一緒に今度こそ本命のランドセルを買いに来ました。
「あ! これがいい!」
孫が選んだのは赤なのか青なのか黄色なのか……とにかく色という色が混ざり合ったマーブルカラーでした。
それを見ていた神様。
「う~ん……。婆が婆なら孫も孫ね」
思わず呟きました。




