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とある男の悲惨な休日

 今日は月に一度だけ子供に会える日。


 元妻に引き取られた息子はもう10才になります。


 男は心躍る気持ちを押さえながら新幹線に乗り込む。


「お、ここだな」


 指定席を見つけました。


 手前の座席の足元に大きな紙袋が置かれているのを邪魔そうに跨いで席に着きました。


 車両は出発します。


 しかし紙袋の持ち主がやってくる気配はありません。


「前の乗客の忘れ物か?」


 男はそれを覗き込む。


 配線らしきものがごちゃごちゃと見えます。


「ん? なんだこの音は……?」


 なにやらカチカチと音がします。


 その時、懐のスマートフォンが振動しました。


 後輩からの着信でした。


 応答し小声で説教。


「おいどうした。今日の俺は非番だぞ。くだらねえ用事だったら承知しねえからな」


 それに対する後輩の返答はこうでした。


「はぁん♡」



 ◇ ◇ ◇



 男はすぐに気付きます。


「まさか俺は既に事件に巻き込まれているというのか!?」


「はぁん♡」


「そうなんだな!」


 男は紙袋を破って中身を確認すると。


 !?


「や、やはりこれは……」



 爆弾!?



 同じ車両には多くの乗客が乗っています。


 彼らに悟られないようすぐに身体で隠す。


 爆弾のタイマーは残り3分を切っています。


 次の駅に到着するのを待っている猶予はありません。


「こうなったら俺が解体する。指示をくれ」


「はぁん♡」


 男は後輩に誘導されるように解体していきます。


 しかし――。



「おい! 赤と青の線が残ったぞ! どっちを切ればいい?」


「…………」


「赤か?」


「はぁん♡」


「よし! 赤なんだな! 赤を切……いや、念のため聞いておこう。やっぱり青か?」


「はぁん♡」


「あっぶねえ! 危うく赤を切るところだったじゃねーか!」


「はぁん⤵」


「反省は後で聞く。とにかくどっちを切ればいいんだ。赤!」


「はぁん♡」


「青!」


「はぁん♡」


 タイマーは残り10秒。


「えーいままよ!」



 ――。


 ――――。


 ――――――。



 そして男は両眼を見開く。


 タイマーは残り3秒で止まっていました。


 結局男が出した結論は……。



 赤と青の配線を同時に切る事でした。


 新幹線が駅に到着するや否や男は車両を飛び出します。



「おのれ犯人! 逮捕じゃあああああ!!」



 男は仕事を選んでしまい、息子から微妙に嫌われてしまいました。

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