第3話
「「かんぱーいっ!」」
「カリーサビラー!」
夕暮れにはまだ少しだけ早い時刻、新宿の居酒屋の座敷で、焼酎のグラスを持った裕以外はソフトドリンクのジョッキを手に、バンドの結成記念の親睦会が始まる。
「紘輝くん、残念だねー、バイトで来れないなんてー」
ジョッキの中のオレンジジュースを一口飲み、唐揚げに箸を伸ばした澄人が、後ろでまとめた長い金髪を揺らしてしみじみと言う。
「しょうがないよ。生活かかってるんだし、僕だってそうだ」
トマトジュースを既にジョッキ半分空けた彬が肩をすくめる。
「都内に家がある人はいいよね、家賃や光熱費の心配しなくて済むもん」
海鮮サラダをトングで自分の皿に取り分けながら、寧々がむくれる。
「あっはっは、寧々ちゃんだったらいつでもうちの二階、間借りしていーからねー」
「……発声練習したら、お客さんの迷惑になるからいいよ」
澄人の言葉を寧々はかわし、ドレッシングのかかったイカとレタスを口に運ぶ。
「いーじゃん、せっかくうちでバイトしてるんだし、寧々ちゃんの実家もうどん屋さんだし、同業のよしみってことでさー」
「沖縄料理とうどんじゃぜんぜん違うってば」
「こらこら、やめとけ澄人。バンドの解散の原因でいちばんつまんないのは男女問題だ」
イカの塩辛を肴に焼酎をロックで飲みつつ、裕が苦笑する。
「結成初日で解散とかやめろよ、高校生じゃあるまいし」
亜炉我が烏龍茶で口を潤してからため息をついた。
「それはないってー、まだ名前も決まってないのにさー」
「名前なあ……なんかいいの思いつく?」
澄人の言葉を彬が拾って腕組みをする。
「可愛いのがいいなあ」
「いいよねー」
「よくねえわ! 俺は嫌だぞ、『キャンディ』とか『リボン』とか入ってる名前」
寧々にさらっと同意する澄人に亜炉我が噛みつくと、まさにそう考えていたであろう彼女は残念そうに肘をついて口をとがらせる。
「なんかこう、シンプルで覚えやすいのがいいよな。それでいて唯一無二というか、検索結果に俺たちしか出てこないような名前」
今度はだし巻き卵を自分の小皿に取りながら、裕が頭をひねる。
「むっず」
早々に考えることを諦めた亜炉我が前髪をかき上げる。
「そんなのあるかなあ、……やっぱ『ピンキー』とか『ラブリー』とか……」
「……寧々、お前俺の言ったこと聞く気ねーだろ」
「名前で解散するのは勘弁してほしいな、寧々ちゃん」
いらつく亜炉我を横目に見つつ、はしゃいで我を通そうとする寧々に彬が釘を刺す。
その時ふと思い出したように、
「そうだ、紘輝くん。紘輝くんだったらなんかいい名前考えてくれるかなー」
澄人はスマートフォンを出して、先ほど手に入れた紘輝との個別チャットの画面を開いた。
「ちょっと、今バイト中だよ」
「休憩時間に返事くれるかもしれないじゃん?」
慌てて止める寧々にそう言うと、澄人はメッセージをさくさくとフリックして送信し、そのままスマートフォンをテーブルの上に置いた。
「とりあえず返事来るまで、別の話しよっかー」
二個目の唐揚げに手を付けながら、面倒ごとを紘輝に任せた澄人は話題を変えた。
「……おっと」
新宿の高級焼肉店のテーブルの上に出しっぱなしだった紘輝のスマートフォンに、個別チャットの着信があった。
「だあれ? お友達?」
焼き網を挟んで向かい側に座る、長い黒髪を行儀よく頭の後ろで縛った女性――昨日電車の中で痴漢に遭っていたところを助けた、『舞坂いずみ』という名の女子大生――に訊かれて、
「……友達というか、まあ、……今日、俺をバンドに誘ってくれた子です」
ロック画面の澄人の名前を見て、まだそうは呼べないな、と思った紘輝は正直にそう答える。
「返信しなくていいの?」
「バイトだって嘘ついてこっち来たんで、バレたら困るから後でいいです」
既読を付けずにスマートフォンを再び同じ場所へそのまま戻しつつ、『嘘』を彼女に言うことだけはなんだか気が引けて、それも正直に彼は言ってしまう。
「やだ、別にそこまでしなくてもよかったのに……」
「いや、そう言わないと帰してくれなさそうな雰囲気だったんで、致し方なかったんですよ。俺は今日、舞坂さんとお話したくて、それだけは絶対に譲らないって思ってたんで。だいいち、先に約束したほうが優先なのは当たり前ですから」
焼き網の上でいい具合に火が通り始めた分厚いハラミをトングでひっくり返しながら、紘輝はそう言っていずみに屈託のない笑顔を向ける。
「……そう……ふふっ、なんか嬉しいな、藤枝くんにお話したいって言ってもらえて」
「そうですか?」
その言葉に、赤いフレームの眼鏡の向こう側で、丁寧な化粧で縁取られた大きく流麗なつり目が嬉しそうに、しかし少しだけ困ったように微笑む。
「うん。わたし、大学でも友達ができにくいっていうか……顔見てわかるでしょ、私、フィリピン人の血が入ってるの。だから、純粋な日本人の子たちから、遠巻きにされちゃってる感があって。それに、背だって無駄に高いし、悪目立ちするのよ。服装やお化粧で誤魔化そうとしても限界があるし……東京のキャンパスに来たら人も増えるから、ちょっとは違うかなって思ってたのに、なんだかんだでいつもお昼ご飯、ぼっちで食べてる」
「ええ? 舞坂さんが? 嘘でしょ」
「嘘じゃないよ。地元に友達はいたけど、進学したらみんな縁が切れちゃったし、東京に来てからこっち、あんまり学内の人ともラボの人とも話が出来なくて……」
ひときわ豊かな胸のせいで余計に華奢に見える、開襟シャツの襟から見える鎖骨の先の細い肩を落とし、ほんの少しだけいずみはうつむく。
が、すぐに顔を上げて、目の前で肉の番をする青年を見ると、くすくすと笑い始める。
「ていうか、本当にこんな偶然あるのね。まさか同じ街の出身だったなんて」
本当に嬉しそうに笑ういずみに、紘輝も同じだけの微笑みを返す。
「はい。どっかでニアミスしてたかもしれないですね」
「二個下かあ、なんかホントにほっとしちゃった。昨日の格好、年上に見えたもの」
「いやいや、まだ子供ですから。確かにもうすぐ十九ですけど、なんかまだ、高校生気分が抜けなくって……」
年上に見られたことを喜びつつも紘輝はすっかり照れてしまい、無意味にひっくり返したばかりの肉をまた返しそうになって、慌ててやめる。
そのはにかんだ笑顔を、いずみは肘をついて楽し気に見つめる。そして、
「しかも、弟が今通ってる高校の先輩だったなんて、ちょっとびっくりどころじゃないね」
もう一つの、偶然というより、もはや奇跡に近い巡り合わせに目を輝かせた。
「あはは、弟さんに俺の名前聞いたら、案外知ってるかもしれませんね。去年ちょっとした事件を起こして、しばらくの間、有名人になったことがあるもんで」
「へえ、どんな事件?」
「話せば長くなるんですけどね、……」
網の上で具合よく肉が焼けるまでのつなぎにはなるだろう、と思いつつ、紘輝は自分が三年生の時に軽音楽部全員で起こした、『放送室ジャック事件』の顛末について話し始めた。
「……あいつ、あの曲のギターソロ、完璧に弾いたな」
「はは、やっぱ悔しそうだね」
追加のピザと軟骨揚げが来た頃、飲んでもいないのに目が据わってしまった亜炉我を、三杯目の濃い口なレモンサワーを飲み干したというのに顔色一つ変わらない裕がなだめる。
「他の奴も言ってるんだよ、あいつ何年弾いてるんだろうって。クラスの誰も追いつけない。あいつの腕前、俺らより頭二つか三つくらい飛び抜けてやがるんだよ」
セッションルームでの合奏中、『群青日和』のソロを難なく弾きこなしたうえ、曲の途中でカポタストが必要になったとき、それを余裕綽々で自分に放ってよこした紘輝に、亜炉我はそこはかとない彼の非凡さを感じ、嫉妬というよりは怯えに近い感情を抱いていた。
「バチバチに弾いてたもんねー。すげー楽しそうで、見てるこっちもチムドンドンしたよー」
澄人がそれを思い出して、愉快そうに笑う。
「何が『チムドンドン』だよ、しゃらくせえ。ギターなんて魅せてなんぼなのに、動きは地味だし弾き方がつまんねえよ」
「いやいや、パフォーマンスも大事だけど楽器を雑に扱うのはよそうって。藤枝君、ドン引きしてたぞ、あれ。もうやめとけよ」
演奏終わりにギターを天井付近まで投げ飛ばし、あわや澄人にぶつかるかという寸前でキャッチした亜炉我に、彬が注意する。
「いや、やってる人いるじゃん、プロでも」
「あのなあ、亜炉我くん、勘違いしてるみたいだから言っとくけど、あれはプロだから許されるんだ。ピート・タウンゼントじゃあるまいし、素人がマネして、万一キャッチミスしてぶっ壊したらどうする? 君が楽器壊れて困るだけならまだマシだけど、機材に当たったら弁償ものだし、メンバーやお客さんに怪我させる可能性だってあるんだ。やらかしたらタダじゃすまないぞ。以後慎んでくれ」
チェイサー代わりのレモンサワーと一緒に頼んでおいた、ストレートの梅酒をちびちびと舐めていた裕が、兄貴然として亜炉我を叱る。
「何言ってんだ、絶対大丈夫だって。それに楽器は所詮道具なんだから、買い直せばいいし」
「……亜炉我くん、その発言、今どきは絶対に敵を作るから人前ではもう言うなよ。あと、壊したいなら専用のギターでも買っとけばいい、ちゃんとそういうのあるから」
「へー、そう」
特段興味のなさそうな亜炉我に、裕は大きなため息をつく。
「ていうか、いまどき楽器破壊なんて流行んないよー。そんなジミヘンみたいなこと、俺らがマネしても恥ずかしいだけだしー。楽器は大事にしようねー、ミュージシャンにとっては彼女みたいなもんなんだからさー」
「うっさいな、楽器も女も替えが効くようなアーティストになればいいだけだろ? どっちも毎日とっかえひっかえできる程度に売れれば誰も文句言わねーよ」
澄人の言葉に半笑いでそう返す亜炉我を、
(この人怖いな……澄人、なんで誘ったんだろ。藤枝くんと全然違う……)
寧々は真顔で見てからふいと目線をそらした。
(……かっこよかったな、藤枝くん)
歌いながら横目で見た紘輝の、いきいきとギターを奏でる姿を思い出すたびに、寧々はどうしても胸がどきどきするのを抑えられなかった。
(ギター弾くの、大好きなんだろうな。あたしたちが話しかけた時と、ぜんぜん顔違うんだもん)
おかわりに頼んだピーチソーダを飲み、その甘ったるい味と同じ心持ちのまま、青いストラトキャスターを抱えた横顔を思い出す。
(それに、今まで歌えないと思ってた歌、歌えるって教えてくれた……すごいな、藤枝くん)
紘輝の提案で歌った曲は、どうしても元のボーカルの素晴らしさもあって、自分には手が出せないと思っていた歌だった。
それを無事歌い終えた時、一緒に演奏していた全員からもらった笑顔と拍手に、寧々はまるで違う世界が目の前に開けたような気がした。
自分が目指していた『可愛い女の子の可愛い歌』ばかりでなく、今まで歌ったことのない歌を歌おうという気持ちが不意に湧いた。
(歌える歌はきっと、もっとたくさんある。……藤枝くんが教えてくれた……)
友達同士のカラオケと授業以外、人前で歌ったことのない自分の背中を紘輝が後押ししてくれたような気がして、寧々は酔ってもいないのに頬が熱くなる。
(いいなあ、藤枝くん。ちょっと好きかも……言葉がなまってたから地方の人なんだろうし、彼女いなかったら付き合えないかな……)
この場にいないその姿を思いつつ、隣の澄人を見る。
(……名護くん、最初からあたし目当てというか、あたしのためになにかしようとしてくれてるのはわかってるし、嬉しいんだけど、……なんかその気持ちがちょっと鬱陶しいんだよね、この人)
入学式の後、友達になろう、と差し出されたその手を取ってよかったのか、わずかに迷う。
正直に言えば異性から好意を向けられることはまんざらでもないのだが、その澄人の気持ちに流されてしまえば、きっと取り返しのつかないことになるだろうという気はして、寧々は心の中で大きく頭を振る。
(……でも、あたし、間違ってなかったよね。こうやってバンドだって組めたし、藤枝くんにも会えたし。名護くんはいい奴なだけ。友達だから。……だから、もしも告られたら、絶対断る)
先ほどの裕の話を思い出して、せっかくこうして集った仲間なのだから、と強く心にそう決めると、寧々はもう一口ピーチソーダを飲み、たぶんまた明日会えるだろう紘輝の横顔を思い浮かべ、ひとり笑った。
食事を終えて街に戻ると、平日とは言え新宿を歩く人の波は途切れることなく、どこまでもこんがらがったまま続いている。
「ご馳走になりました。なんだかすみません、かえって申し訳ないです」
「いえいえ。こんなことじゃぜんぜん足りないくらいだから、気にしないで」
その人波の岸辺のような、雑居ビルのエレベーターホールで礼儀正しく頭を下げた紘輝に、いずみはにこりと屈託なく笑う。そして、
「……ねえ、藤枝くん……この後なにか予定ある?」
まだ彼と離れ難そうな声色で、そう切り出した。
「いえ……帰って風呂入って練習して寝るだけですから、特にそれ以外は」
正直な答えに彼女はほんの僅かに逡巡した後、
「そっか。……その練習、一日だけサボっても平気?」
「え……」
そう言って彼を見上げた。
潤んだ瞳と薔薇色の唇にあらぬことを想像しそうになって、紘輝は頭の中で顔が後ろに回るほどの勢いで自分の頬を殴る。
(ばっか、期待しすぎだって!!!)
もやもやと浮かんでしまった考えを打ち消そうと一度逸らして戻した目線が、細い鎖骨の下にある柔らかそうな大きな胸に留まってしまい、ますます紘輝は自己嫌悪に陥る。
彼女の放つ色香の強烈さに意図せず狂ってしまいそうになる理性をどうにか整え直して、彼はとりあえず何を望んでいるのか彼女に訊くことにした。
思わず生唾を飲みそうになったのを隠すために、紘輝は咳払いをしてから口を開く。
「な、なんか、どっか行きたいとことかあるんですか……?」
「うん。せっかくだから、あっちのシネコンでレイトショー観て、……その後も、できたら終電まで、もうちょっとお話したいなって……」
そう言ってうつむいたいずみの頬に、ほんのり朱がさしたように見えて、紘輝は疚しい気持ちよりも強く沸き起こった、なんとも言えない甘酸っぱい気分に心臓が跳ねた。
(この人、可愛い……)
こんなに素直に甘えられてしまっては、断るわけにはいかない。
(……今日だけ、サボってもいいかな。できれば家の最寄り駅まで送ってあげたいし)
上京してから一日も欠かしたことのなかった練習の息抜きだと思って、紘輝はうなずいてからギグバッグをきちんと背負い直し、彼女と共に人波の中に飛び込む準備をする。
「いいですよ。なんなら、最寄りまで送ります」
「あ、……でも、うち、大森だから遠いし、それはさすがに……兄さんに迎えに来てもらうから、大丈夫。ありがとね、気を遣ってくれて」
微笑む紘輝の申し出を申し訳なさそうに断った後、いずみは一瞬だけためらい、
「……紘輝くん、優しいね。……助けてくれたのが、あなたでよかった」
彼を下の名前で初めて呼んで、その左手に自分の右手をそっと触れ、緩く繋ぐ。
(ちょっと待て待て待て待て、この人『肉食女子』ってやつか!!?)
名前を呼ばれた嬉しさと絡まってしまった指先の柔らかさに感じた喜びより、彼女に溺れて自分の目標が揺らいでしまうかもしれない怖さの方が先行し、紘輝の額に冷や汗がにじむ。
(俺、絶対嫌だぞ、女で身を持ち崩して何も出来なくなるの……! 一番ミュージシャン志望としてダメなパターンじゃねーか! やっぱ、連絡先交換する時点で断ればよかった……)
誘われるまま会ったことを今さら後悔しながら、繋がれた手の方を見る。
自分を見つめるいずみの表情がひどく心細そうで、紘輝の胸はずき、と痛む。
(……違う。そんなんじゃない)
疑ってしまった自分が申し訳なくて、わずかに眉根を寄せる。
(相手が俺だから信頼して、こうやって甘えてきてるんだ……そうだよな、痴漢に遭ったの、初めてじゃないって言ってたし、きっと、毎日怖い思いして、嫌な目に遭いながら生きてきたんだよな……)
繋がった手をぎゅっと握り返してやると、彼女は少しだけ紘輝の身体に寄り添う。
(男に触られるのも、二人っきりで会うのも怖いだろうに……きっと、俺だったら絶対に大丈夫だって、この人は信じてるんだ。その気持ちを裏切っちゃいけない)
彼の心に、『彼女を守りたい』という強い想いが、硬く砕けない宝石のように宿った。
紘輝は互いの腕が触れるか触れないかの距離まで自分も身体を寄せると、
「人混みが凄いから、俺から離れないでくださいね。……いずみさん」
自分も初めて彼女を下の名前で呼ぶ。
ぱっと光が差したような笑顔を浮かべた彼女に抗う気力は、もう紘輝にはなかった。
「行きましょうか。なんか面白いのやってるといいですね」
「……紘輝くん、ため口でいいからね?」
「それはおいおい」
見つめ合って笑うと、二人は肩を並べて、夜もたけなわの新宿の雑踏に足を踏み出す。
日付が変わるころにはまた雨を降らせそうな雲に隠れて見えない星の代わりに、床に落としてしまったビーズのようにきらきらとちりばめられている街の明かりの中へ、その姿は紛れる。
「……あれ?」
飲みに飲んだ裕が半額出してくれた上での割り勘を済ませ、居酒屋の入っている雑居ビルの中から澄人たちと一緒になって出てきた寧々は、視界の端で目の前の歩道を見知った影が横切ったような気がして、まだ外の暗さに慣れていない目を凝らす。
「……気のせい、かな」
夜の新宿の人混みでは、もうそれが現か幻かも判別がつかない。
(藤枝くんが通ったような気がしたんだけど……そんなわけないか)
それでも気になってほんの刹那、シネコンの方角を見ている寧々に、
「寧々ちゃーん、早くラーメン食べ行こー」
澄人がそう呼び掛け、彼女は考えるのをやめて、その声のほうに急いだ。




