タイトル未定2026/08/28 00:12
——————深夜、とある田んぼにて
「この聖杯戦争、教会は関わってないんだよ」
そう言うのは天パで金髪のクソガキという言葉が似合う中性的な少年だった。
「つまりね、秘匿されない、無法なんだよ。どんなものがこの戦争に参加しようともね。もっと言うと、魂喰いなんてことをした暁には、まぁ分かるよね」
少年の声は高く、可愛らしい少女のようだが、どこか大人の女性のような艶かしさがあった。
「いや、お前…誰だ?」
キュロスが厳かな顔をして言った。
「いやそれもだけど、お前、サーヴァントだな。…どうして襲わない。どうしてここが分かった」
ガキは舌舐めずり。わざとらしく人差し指を口元に置き、上目でいる。
「分ぁかるよぉ。僕にわかんないことなーいんだよぉ」
嘲笑にも似た微笑みを見せれば、
「僕は襲わないよ。逆に君たちが襲ってこない方が意外だ。無駄な戦いはしたくない、とかそういうことかな?
ま、いいけど。君たちには期待してるし、細心の注意を払って生き残って欲しいなぁ。僕が言いたかったことはもう終わり!ばいばーい!」
そう言うとガキはただ普通に歩いて夜闇に消えた。
「デザートは最後って決まっているだろ」
小声で何か言っていたが、僕もキュロスも、聴こえなかった。
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蹴りとばされたランサーは直ぐに立ち上がり、アサシンを見る。勇ましい目だ。
アサシンはどこに焦点を合わせているのか分からない面持ち。
不自然。圧倒的に不自然。聖杯戦争なのに、殺し合っているのに、目が合わないことに不自然さを覚えているわけではない。何が、何かがおかしい。
ランサーのマスターこと時南咲楽は誰かに電話している。凄く落ち着いた様子。
ランサーは目をぎょろぎょろと動かす。
そうだ、ここは仙台だとPARCO2を見て思い出した。
より不気味さが際立つ。
さっき、何やら音が聞こえた。おそらくあのピエロのようなやつのせいだ。
不自然。
ランサーは毛を溌剌とさせる。いや、この不自然の正体は未だ分かっていない。しかし、原因だけは分かる。それで十分。
ランサーは一直線にピエロに突撃。一瞬で間合いを詰め、棒がピエロの首元まで辿り着こうとした。
ピエロはこちらを見てしたり顔。
ランサーも分かっていたと言わんばかりにニヤッと笑った。
ランサーの棒がピエロの喉を抉り潰すより先に、アサシンがピエロを担いで逃亡。
余波で周囲が吹き飛ぶ。
瓦礫が散る音がする。
そうして、静寂。
不自然だった。
——————音がない。
人の音がしないのだ。悲鳴だとか驚嘆だとか感情の音が聞こえない。
足音だとか焦って溢れる息だとか生物の音が聞こえない。
この不自然は確信的な不気味は変わった。
いやしかし原因は明らかだ。
あのピエロ、何かした。おそらく、アサシンにしたのと同じことを…
と、いうことは
惨憺たる咽び声が生々しく耳を劈いた。
音がした。
生きている音だった。
音がした。人々が動き出した音。
全く意味のない、人間を欠いた生きていない音。
全ての音が機械仕掛けのよう均一に揃って溢れ出す。
この音は歯車がカチカチと鳴っているときに近い。
音がランサー近づいてくる。均一に、単調に、冷徹に。
ピエロは振り返ってランサーに、
「良い収穫だった。また会おう!次は、手に入れるからね」
ランサーはその蒼く燃え盛る眼を外さない。決して。ピエロにも、人々にも、この最悪な事実にも。
翌日、ニュースにて、仙台市で大量殺戮があったとして大々的に報道された。
死者は627人。最初、国はテロだとしていたが、銃器の跡が一切なかった。全て鈍器での殺害だったためあり得ることなのかと警察、自衛隊、防衛省等々が未曾有のパニック。
殺された人たちの関係性はただ同じ場所にいたことだけ。
犯人は未だ分かっていない。
防犯カメラは何故か全て開示されていない。動画を撮ってSNSにあげているものもいない。
しかしこの事件をなかったことにはできない。
直ぐに若者がSNSにニュースを拡散。
日本中が震撼した。
仙台に近づく者は、極端に減った。




