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ウミガメ奏者とステータス


 茶色い空き瓶の首が水平線をバックにきらきらとかがやいているコンクリートの埠頭ふとうの上で、憂花と笑う蜘蛛は唄を聴いていた。—— 唄うのは、グリフォンテリアの子犬を連れた中性的な面立ちの吟遊詩人だった。

「私の使う竪琴はウミガメの甲羅だから、みな私のことをウミガメ奏者というけれど」

 奏者は竪琴をポロンと鳴らして言った。

「もちろんこれは偽物だ。詩歌しいかのために亀を殺すなんてあり得ないから、安心してくれたまえ」

 わんわんわんと、グリフォンテリアが三度吠えた。





 ***


「ステータスの唄」



 ポロン……


 ミツバチの誘いに乗ってやってきた、ひとりのユウなる少女

 コントローラ握りしめて蜂巣はちのすのようなはすのトンネル駆けるハスッパ


「だれがハスッパよ」


 行きは毛深い蜘蛛連れて、帰りは裸の蜘蛛引きずって

 そんなようすが目に見えるような恐るべき勇者少女


「だれがよっ」 


 他人ひとより少しぼんやり勇者

 従者乗っけて運ぶ自動車

 「風車ふうしゃ」の名を持つ純喫茶

 恐ろしいらしいサルヴァトル・ローザ

 もうさ、猛火に放りこむさ


「意味わかんないわよ」


 そんな勇者のステータス

 下手すりゃあたしゃ死刑ダス

 唄いだす前、確認必須

 キッスの儀式も必須、だからほら、愛しのマイ・ペット


「いいなワンちゃん。私の蜘蛛と交換しない?」

「ひどいなあ。—— いでっ」


 さあ、上品に竪琴鳴らして唄おう勇者のステータス

 悲しげな生首さえ瞳閉じて聴き入るような美声で

 けっして間違うこともなく、ヨナ抜き音階で


 ポロン……



 まず攻撃性・千百五十

 次、狡猾性・二百五十

 残忍性は計測不能

 ちゃっかり度合いは千五百


 能力値はちょっと省略して

 全体値だけでいいかしら、二万五千……


 現状武器は両刃もろはの斧と

 従者を兼ねるサッカーボール、

 おしゃべり相手に事欠かないのが

 特殊ステータス「笑う蜘蛛」


 とステータスはこんなもん、ポロン……



 ちなみにお次の対戦相手は、ローザの描いた悪魔……です……









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