第八話 霧の谷
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レイは、キューブ界がまだ混沌だった頃に転生した3×3キューブ。ステッカーは今より鮮やかで、仲間たちと霧の谷で「色を守る」戦いを繰り広げてた。リーダー格の6×6キューブ、クロウが仲間を鼓舞し、レイは若造ながら突っ走ってた。
だが、シャドウキューブの先祖みたいな「混沌キューブ」に襲われ、仲間は次々色を失った。クロウはレイを守って消滅。最後の言葉は「レイ…色を…揃え続けろ…」。
「俺、クロウの分まで戦うって誓った。でも、仲間を失うのが怖くて、ずっと一人でやってきた。」
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レイの声、初めて弱気だった。
「…レイ、お前、そんだけ背負ってたのか。」
俺、なんかグッときた。ミオが「レイ、かっこいい!アタシ、泣いちゃう!」とスリスリ。
「やめろ、キラキラうぜえ!」
レイ、照れ隠しで笑う。悠真がポツリ。
「レイ、一人じゃねえよ。俺たち、揃ってるだろ。」
「…ガハハ、新入り、悠真、ミオ。悪くねえな。」
チームの空気が、なんか熱くなった。
霧の谷の奥で、シャドウキューブの部下、「フォッグキューブ」と対峙。5×5のキューブで、ステッカーは霧みたいに揺らぐ灰色。
「色は不要。霧に沈め。」
「ふざけんな!俺たちの色、絶対守る!」
バトル開始。フォッグの無色の霧は、触れるだけでステッカーを曇らせる。俺の青が薄れ、ミオのラメがガサガサに。
「アタシのキラキラ、返してー!」
「…ミオ、泣くな!回転で霧かき散らせ!」
レイが「新入り!クロウの技、思い出したぜ!」と叫び、渦巻き回転で霧を吹き飛ばす。悠真が「キューブ!ミオ!コンビネーションだ!」と指示。
「ミオ、キラキラで光らせ!俺が回転で突っ込む!」
「オッケー!キラキラパワー、フルチャージ☆」
ミオのラメが霧を反射し、俺の六色回転がフォッグのコアを直撃。レイの援護でフィニッシュ。
「クロウ…見てろよ!」
フォッグが崩れ、霧が晴れた。だが、シャドウキューブのテレパシーが響く。
「六色の魂…無色は逃れられぬ…」
また逃げやがった。
霧の谷のキューブたちに色が戻り、感謝される俺たち。ミオが「アタシ、ヒーローみたい!」とポーズ決めると、レイが「キラキラうぜえ」と突っ込む。悠真が笑いながら俺に言う。
「なあ、キューブ。お前、ほんとすげえよ。」
「…お前らがいなきゃ、俺、ただのプラスチックだろ。」
なんか、六色の魂が温かくなった気がした。
その時、霧の谷の奥で、壊れたキューブの破片を見つけた。クロウのステッカーの欠片っぽい。レイが静かに見つめる。
「…クロウ、お前、まだここにいたのか。」
破片から微かな光が漏れ、ビジョンが浮かんだ。クロウの声。
「レイ…六色の魂を…全て揃える者へ…」
ビジョンは途切れた。俺、気づいた。
「全て揃える者…それ、俺たちのことじゃねえか?」
悠真がニヤリ。
「だろ?最後まで回転するぜ。」
ミオが「アタシのキラキラも、フル回転!」とギャグ。レイが笑う。
「新入り…クロウの意志、俺たちで継ぐぜ。」
帰還後、悠真の部屋で俺は考える。シャドウキューブ、クロウの遺志、六色の魂。俺の転生理由は、まだ見えねえ。でも、悠真の笑顔、レイの誓い、ミオのキラキラが、俺を突き動かす。
最終決戦はまだ先だ。クロウのステッカーの秘密、シャドウキューブの真の目的、俺がキューブになった理由。それらが揃う時、俺たちはきっと、色んな意味で「完璧」に輝く。
ステッカーはボロボロだけど、六色は止まらねえ。
回転、続けようぜ。
第三章 完
続く