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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
原初の魔族達の暗躍編

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2387.違和感の度合い

 ミッシェルは()()()()()だと口にしたが、ヒノエはどうにも拭えぬ違和感を感じたようで、そのような言葉を口にしていた街の人間、もしくはそんな噂を流した『存在』こそが、ソフィが言っていた『魔族』なのではないかと警戒心を強めたのであった。


(私の考えすぎだろうか? しかしどうにも違和感が拭えねぇ。もしこの男の協力者だったっていう男が、私とソフィ殿の関係を知っている者だとして、あえてこの街で噂を流布し騒ぎ立てる事で何かその魔族にメリットがあったと仮定すればどうだ? そしてソフィ殿がこの街に接近する事を事前に察知していて、そのメリットの為にこの男から離れて連絡を絶ち、その上でこちらの動きを把握しようと距離を取り始めたとすれば、色々辻褄が合わないか? いや、しかしそのメリットが何か検討もつかねぇし、この男が言うように単に噂話だったとする方が自然ではある。そもそも私が違和感に感じているだけで、何の根拠も確証もないんだしな)


 ヒノエが自分の憶測をここまで信用するのには、これまで自分の勘を信じて正解だったという事例が、過去にいくつも有ったからである。


 大きな成功体験というものは、どれだけ時間が経とうと常にその者の意識に残り続ける。それも彼女のように何度も経験してきたとなると、ある種その単なる勘に過ぎない事でさえ、そう思えた時点で正しいと判断を行ってしまうものなのである。


 だからこそ彼女は今回も何の根拠もないが、ミッシェルの言う通りに『単なる噂話』で済ませるのに違和感を残してしまったのだ。


 だが、そんな自分の勘を強く信じる彼女であっても、たとえ協力者の魔族が何かを企てていたとして噂を流して騒ぎ立てたのだとしても、何のメリットがあってそんな事をするのかが分からず、そもそも自分達が一度この街から離れるまで特に何もおかしな事が起きたわけでもない為、彼女もこの違和感を単なる違和感として処理する以外に、やりようがないと考え始めていくのだった。


 そしてようやく彼女も『違和感』が『気のせい』だったんだろうと結論を下して、ようやくこれまでいつでも抜けるように充てていた刀から手を離すのだった。


「わりぃ、やっぱ私の勘違いだったようだ」


「はははっ、そりゃあそうだ。そもそも今は私も商会と距離を取っているし、ここを訪ねてくるのは私の協力者と諜報員の者達だけだからな。まぁ、あんたらっていう例外が居たのも確かだが……」


 ソフィ達が現れた時の事を思い出しながら震え始めるミッシェルを見て、ヒノエはやはり単なる違和感だったかと改めて自分を納得させるのであった。


(私も()()が鈍ったかな? まぁここは慣れ親しんだノックスの世界でもねぇし、仕方ない……か)


 刀を抜きやすいように鞘を傾けていたヒノエだが、その鞘を元の位置に戻しながらそう考えて、最後に小さく溜息を吐くのだった。


 ……

 ……

 ……


 ヒノエが自分の感じた違和感を勘違いだったと結論付けた頃、ダールの世界に居るシェイディ達の元にとある『魔族』が報告に現れていた。


「シェイディ様、大魔王ソフィが例の商人と接触を果たしました。すでに大魔王ソフィは自分の仲間を奴の護衛につけており、今後関与する事は難しくなりそうです」


「例の商人……? ああ、アイツか。別にもう興味もねぇし、どうでもいい。それに今はレキ様の為に色々と動く準備もあるしな、奴に構ってる暇はない。そうだな、お前もアイツからの連絡は全て無視して放っておいていいぞ」


「……分かりました。では、今後はそのように」


 どうやらシェイディはすでにミッシェルへの興味が完全に薄れていた様子であり、ソフィが近づいて来たからミッシェルと距離を取っていたというわけでもなく、最初から離れるつもりでいたようであった。


「何だ? 何だか不服そうな顔をしているが、なんかあったのか?」


 シェイディに不満があるのかと問われた男は、慌てた様子で口を開き始める。


「い、いえ、そういうわけではないのですが、大魔王ソフィが離れた後も商人たちの様子をずっと窺っていたところ、護衛についていた者が、私の存在を察知していたようでして……、少し興味があったものですから」


「ほう? お前は『隠幕(ハイド・カーテン)』を使って近づいていたんだろう? 確か司令官殿は、相当に魔力に自信があるものでも気づけない程の隠密性に優れている『魔法』だと言っていた筈だが、そいつはまさか大賢者って奴なのか?」


 シェイディは自分ではまだ『隠幕(ハイド・カーテン)』を使えない為、マルクスの受け売りの言葉を口にするのだった。


「いえ、見た感じは『大賢者』どころか『魔』の概念理解度も大した事のなさそうな女の剣士でした。あれは『魔力』で感知したというより、単に勘が働いた……といったような様相でしたね」


「……お前、いつもの能力も使っていたんだよな?」


「はい、あまり『魔力』を込めすぎると相手が私を上回る『魔』の概念理解度の場合に、逆に気づかれる可能性を高めてしまう恐れがある為、あえて違和感を残す程度に能力を使っておりましたが、どうやら能力を看破されて警戒心を強められてしまいました。ただ『隠幕(ハイド・カーテン)』を見破られたわけではないので『魔』の概念自体は、私より遥かに劣っていると思われます」


 部下からの報告にシェイディは、近くに居た『イングラム』と顔を見合わせる。


「……いよいよ以て、大魔王ソフィの周りの連中は化け物揃いみてぇだな。メナスの『結界』の中でも意識を保っていられる奴、俺達が気付かねぇ程の距離から監視を行える程の『魔』の概念理解度を持っている奴、そんでこいつの能力に晒されながらも独自の『勘』だけで警戒心を持てる奴か。当面は本当に大魔王ソフィ関係には近づかねぇでおこうぜ?」


「ああ。というか、メナスのせいで俺は、当面は動きたくても動けねぇっていうのが本音なんだがな。アイツは本当に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だぜ……」


 シェイディは前回、イングラムとの戦闘の最中に何やら不機嫌丸出しといった様相で割って入ってきた『メナス』の魔瞳によって、自らがイングラムに放ったつもりの『殲滅魔法』を無防備に自らに直撃させられてしまい、全魔力を用いて生命維持に努めさせられる程の致命的な状況に陥らされたのであった。


 現在はそのシェイディも体力回復に全力を注いだ甲斐もあり、危険な状態をとっくの昔に脱しているが、それでも普段通りというところまでは完治していない状況のようだ。


「そういや、そのメナスは()()に行ったんだ? 俺が起きてからはまだ一度もアイツの顔を見てねぇんだが」


「……知らねぇよ、俺がお前を担いでここまできた頃には居なくなっちまってたよ。俺もそれから一回も見てねぇよ。どうせエグゼ様の時の一件や、俺とお前が戦っていた事が気に食わなくて、へそ曲げて出て行っちまったんじゃねぇの?」


(アイツがいつも自分勝手なのは今回も変わらないが……。それでも一夜明ければ大体は、いつも顔を見せていた筈なんだがな。なんだか少し今回はいつもと違う気がするな)


 目を覚ましてから一度もメナスと会っていないシェイディは、今のイングラムの話を聞いて少しだけ懸念を抱くのだった。

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