第一回イベント④
また目的を見失い、素材採取に夢中になってしまったルクスは、何とか思い出して素材採取を中断した。
「さて・・・。プレイヤーは何処かなっ、と」
ガサガサと森の中を進んで行くと、石畳が敷かれた場所に出た。
辺りを見渡せば、風雨に晒されボロボロになった石製の建造物群がその姿を現した。
「遺跡ステージか・・・」
そう、その光景はまさに遺跡が相応しい。
ルクスは目の前に広がる遺跡に男の浪漫心をくすぐられたが、「ここは我慢、ここは我慢!」と自身に言い聞かせながら遺跡の探索を始めた。
そして、遺跡の中心にある一際大きな建物へと入っていくと、物陰から飛び出す影があった。
「へへっ、隙あり!」
「っ!?」
襲って来たのはヒョロリと痩せた男だ。その両手には、それぞれ短剣が握られている。
ルクスは咄嗟に『逃げ足』のスキルを使って緊急回避を行なった。
そして見事紙一重に痩せた男の短剣を躱したのだった。
「あっぶな〜っ!!」
ゴロゴロと転がってしまったが、ルクスはまさかの奇襲に間一髪避けられた事に胸を撫で下ろしていた。
無論、ルクスは男性アバターなので、撫で下ろす胸は見事な絶壁大平原なのだが。
「へへっ、俺の短剣を躱すなんて、やるじゃねぇか嬢ちゃ痛えぇ!!」
「・・・・・・」
何が起こったかを説明すると、痩せた男がペロペロと舌を動かし自身の得物を舐めながら喋り、見事に短剣の刃で舌を切ったのだ。
その姿に、ルクスも流石に呆れてものが言えない。
「・・・くくくっ!この俺様にダメージを負わせるなんてな?」
「いや、自分で勝手に舌切ったでしょ?」
男の言葉に思わずルクスはツッコミを入れる。
すると、そのツッコミは図星だっただからだろうか、「う、五月蝿い!」と必死な顔で男はルクスに怒鳴り返す。見事に噛ませの風格を匂わせていた。
「・・・悪いが嬢ちゃんには退場して貰う「召喚『ホクト』」・・・ぜ?」
痩せた男の口上を聞かず、ルクスはブラッドベアーのホクトを召喚した。
召喚されたホクトはLV2と言えど、元々のスペックが高い為、プレイヤーにとっては十二分に脅威なのだ。
それなのにルクスはホクトに攻撃を命じると同時に、火魔法の『ファイアバレット』を放つ。
「グボォアッ!?」
ホクトの剛腕に跳ね飛ばされ、空中で炎の弾丸に身を焼かれた男は悲鳴を上げる。
そして地面に落ちて来たと同時に、再びホクトの剛腕が痩せた男を襲う。
ルクスも杖を振るって叩き、ダメージを与える。
そして暫くしてプリズムのようなエフェクトを撒き散らしながら、消えていった。
「ふぅ、これで更にポイントゲット」
ウインドウにポイント加算の報せが書いてあるのを横目で見ながら、ルクスは遺跡探検を始めるのだった。




