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拉致被害者奪還作戦  作者: 日本民主主義人民共和国
3/3

 アメノハバキリ作戦

ー護衛艦あかぎー


【アメノハバキリ作戦前線司令部】


 前線司令部は空母あかぎに設置された。

護衛艦あかぎは、いずも型の進化形態であり、司令部機能が充実しているのだ。

特殊作戦群群長と第5護衛隊群群司令が詰め、指揮を執ることとなる。


 空母あかぎの艦長は、航空自衛隊飛行教導群出身の1等空佐であり、史上最年少の1等空佐でもある八洲勇人が務める。

米軍の伝統に習い、パイロット出身の幹部が艦長となったのだ。


 彼は野心家として知られていた。

 適性を問題視する声もあったが、的確な判断力が彼にはあった。



―陸上自衛隊陸上総隊司令部(朝霞)―


 統合任務部隊の会議は終盤に差し掛かっていた。


 洋介は手を挙げる。

それに対し、司令官は怪訝そうに訪ねた。周りの視線も集まる。

「どうしたね……?洋介君」

「自分を……地上部隊に同行させてください」

「「……!!」」


 洋介は美香を自分の手で助けたいのだ。


 当然、司令官は拒否する。

「まあ気持ちは分かるが……」

そこに幸一が割って入る。

「やらせてやりましょう」

「「!?」」

「通信担当だし、特殊作戦群とあかぎの間の連絡要員なら、適任でしょう?」


 幸一がそう言うと、司令官も頷いた。


 数年前にヤマト作戦を成功させ、陛下をお守りした戸村大佐に、海軍や海自の関係者は頭が上がらないのだ。


 洋介は会議出席者に深く頭を下げた。


 幸一の妻は、イージス艦ちょうかいで殉職しており、彼の心に深い傷をもたらしたのだ。

 惚れた女を何としてでも助けたい……。

 息子の気持ちは痛いほど分かっていた。


 1人の参加者が口を開く。

「さながら、彼は特殊作戦群(アメノハバキリ)を持ち、北朝鮮(ヤマタノオロチ)から西条美香(クシナダヒメ)を救うスサノオですね」


 ヤマタノオロチ退治のエピソードになぞらえた表現である。彼は日本神話に詳しいようだった。


 司令官はフッと笑った。

「どこかのリメイク怪獣映画でも、そのエピソードに登場する、ある飲料が作戦名に用いられていたな……。あ!!もしかして!!」

 司令官は何かに気付いたようだった。

「戸村大佐……始めからこれを見越して、『アメノハバキリ』という作戦名を!?」


 幸一は「左様です」と言った。


 陸上総隊司令官はまた笑った後、姿勢を正して洋介に語りかける。

「洋介君。君の役割は重大だ。恋人(クシナダヒメ)を必ず奴らから取り返せ!!」


 洋介の力強い返事が部屋に響いた。






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