表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

第1話 石像の中身はマイケルジャクソン?

俺が買った石像、多分マイケルジャクソンなんだよなぁ。


勿論、言葉を発さないからマイケルジャクソンかどうかは分からない。

でも、小さい頃からマイケルジャクソンを聞いていた俺には分かる。

この石像はマイケルジャクソンだ。

何言ってるか分からないだろうが、俺にも分かってない。


話が逸れる前に一から話そう。

俺はしがないマスコミだ。

マイクと手帳片手にネタを追いかけ回す。

本当は有名人になりたかったんだけど、大した芸もなく、結局マスコミとかいう真逆の職についちまった。

んで、俺、最近話題の骨董品店に行ったんだ。取材の為に。そしたら、白髪の店主、俺の方をじっと見て、ニヤリと笑って、これ、買わねぇか?って言ってきたんだ。

それがこの石像。inマイケルジャクソンだ。

ただ、あの店主、別に善意で俺に石像を勧めた訳じゃない。あの野郎、俺が夢見がちなバカだと見越した上で俺にあの石像を売りつけたみたいだ。

まぁ、マスコミにまでモノを売る貪欲さは見上げたもんだが。


割と買ってすぐはっとなって、ご利益とか嘘に決まってんだろとか思ったんだけど、契約書にサインしちゃったし。

折角の貯蓄もパーにした俺はなくなく帰宅した。

石像は7日後に届いて。

そんなに大きくなく、あくまで2mくらいの石像なんだよね。

だけど家、庭にポチマルって犬を買ってて。

このポチマルがまたデカくて。

こんなん置いたらポチマルに悪いかな、と思っていたんだけど、ポチマル、いつもは餌にも飛びつかないくせに、めっちゃこの石像気に入ったんだよね。

もしかしたら、俺より先に気づいてたのかもしれない。

ポチマルには俺のマイケルジャクソン英才教育をしてたからな。


初めから味はあるなぁ、とは思ってた。チリチリ髪の表現が石像の割に精巧だ。でも、段々石像に違和感を感じ始めたんだ。

俺がマイケルジャクソンの音楽を流す度に、ピキピキ音が鳴る。まるで動こうとしてるみたいに。

しかも、時々こいつ、場所を変えやがる。

ポチマルが動かしたのか?とも思ったが、重すぎるはずだ。

でもポチマル以外理由が思いつかないからポチマルってことにしてた。


その1週間後、決定的な事件が起こる。俺がマイケルジャクソンをつけっぱなしにしてテレビの前で寝落ちした日のことだ。

その日は上司に叱られ、最近有名になった若手ダンサー『yuU』(ユウ)君に天才との差をまざまざと見せつけられ、しかもその日のユウくんの機嫌は悪く、俺めっちゃキツく当たられて。

正直ムシャクシャしてたんだ。

あ、ちなみに俺の名前は弘栄です。

水面弘栄(みなもこうえい)

まぁ、俺のことなんてどうでもいいんですけど。


で、寝落ちした俺は、ズゥーン!って爆音とポチマルの鳴き声で目を覚ました。

俺がそっちを見やると、石像が手をついて立ち上がるところだった。

石像が。石像がだ。

立ち上がった石像と窓越しに目が合う俺。

ヒッと声を上げてしまった。


石像はしばらく困惑してるみたいだった。

自分の体を見て、困惑してるようだ。

しかも、なんと口を開いた。

なんか喋るのかと思ったが、喋らなかった。

口をパクパクさせるだけ。

自分でも喋れないことに気づいたのか、口をパクパクするのを辞め、俺の方にジェスチャーで窓を開けるように伝えてくる。

いや、開けるわけねぇだろ。怖い。

警察に通報してもいいのだろうか。

通報理由をなんて言えばいいんだ、コレ。

とにかく写真を撮ってたらシビレを切らしたのか、開く窓を探し始めた。

寝ぼけてたから、「おぉー、探してる探してる。」なんて馬鹿みたいなことを呟いていたが、

窓のカギを開けっ放しにしてたことに気づく。


無情にも1つの窓がサーッと開く。

あっ、やべぇ。

石像が入ってきた。

やばい!食べられる!?石像に!?

そう思ったが、石像が手にしたのはつけっぱなしにしてたパソコンだ。

『これはどういうことだ?』

パソコンにそう英語で打ち込まれる。

いや、こっちのセリフだ。

でも、対話ができるのか?

噛み締めるようにゆっくり英語でしゃべる。

「おまえは、なんだ?」

お互いを警戒しながらの英語の会話は2時間くらいかかった。

俺は途中から頭が痛くなっていたが、それどころじゃなかった。


『俺はマイケル・ジャクソンだ』

奴はそうタイプした。

もちろん、なんかの嘘だと思った。

だから、庭で踊ってみろよ、と冗談まじりに言ったら、こいつムーンウォークをして庭に行き、なんと、マシンガン・ターンを始めやがった。

岩の姿で。マイケルジャクソンと同じ角度の指さし。ターンの緩急まで完璧。

俺には分かる。

こいつは、マイケルジャクソンだ。


そいつは踊り終わった後、パソコンにまたタイプした。

『またステージに立てる』

おいおい、嘘だろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ